2023/08/19

旅人算で割り出せ

 すっかり残暑本番。
そして、夕立というか、スコールのような突然の雷雨に見舞われる季節になったよね。
いきなり空が暗くなって、雷が鳴り出すからびっくりするよ。
で、ぴかっと光って、しばらくして轟音が響いて、その後にざーっと雨。
夏の風物詩みたいなものではあるけど。

で、こういうときって、ついつい、光ってから音が聞こえるまでの時間で雷の近さを計算しちゃうよね
光速は約300,000km/s、一方で音速は約340m/s。
光はめちゃくちゃ速いので(1秒間で地球を7周半)、基本的にほぼ光ったと同時に観測できていると考えてよいのだ。
なので、光ってから音が鳴るまでに係った時間に音速をかけてあげると、雷までの距離が出るんだよね。
仮に光ってから5秒後に鳴ったら1.7kmほど離れたところに落ちているのだ。
光が来た方角もわかるので、実はだいたいの落雷地点はこれで割り出せるんだよね。
多少の誤差はあるけど、異なる地点にいる複数人で同じようなことをすれば、ほぼほぼ落雷のあった場所は絞り込めるんだよね。

実はこれとまったく同じようなことは、地震の震源地を割り出すときに使われるのだ。
ボクたちが感じている地震波は実は何種類かあって、この推定で使うのは、いわゆる「横揺れ」のP波と「縦揺れ」のS波。
Pはprimaryのことで、先にやってくる地震波だから。
逆にSはsecondaryで、次にやってくる地震波だから。
これはそれぞれ疎密波と呼ばれる物質中のゆがみが波として伝わっていくもの。
音波も同じなんだけど、平衡状態では均一な状態になっているわけだけど、外から衝撃を受けたりすると、その部分がへこむんだよね。
すると、そこは密度が高くなるのだ。
で、その後、反動で膨らむんだけど、そのときは密度が低くなるわけ。
この密度の高い・低いのゆがみが波として物質の中を伝わっていくのが疎密波だよ。
「波」と言われてイメージするものとは少し違うのだ。

で、このP波とS波は伝わる速度が違うんだよね。
P波は岩盤中で5~7km/s、S波は3~4km/s。
この速度差=S波とP波が到達する時間差で震源までの距離が推定できるわけ。
これを公式化したのが、珍しく日本人の名前がついている「大森の公式」。
中学の理科で習うやつだ。

厳密にはP波の揺れの向きで震源方向は推定できるのだけど、通常は複数地点で地震波を計測して、それぞれからの距離を割り出して震源を推定するんだ。
これは地震波が二次元ではなく三次元であるため。
そう、地表上の座標に加えて深さ情報があるんだよね。
地震速報でも震源の深さには常に触れるのだ。
なので、地震波の場合は確実に麩食う地点で計測しないと震源がわからないんだよね。
(震源までの距離を割り出し、各観測点を中心とする球面を作ってその球面が接するところが震源になるのだ。)

ちなみに、今の地震計は、揺れを3方向に分解して計測できるみたい。
つまり、横揺れはXY両軸の二次元計測で、これにZ軸の縦揺れ計測が加わるのだ。
揺れたかどうかしか計測できない時代は、最初に揺れが来てから次に揺れが来るまで、ということでP波とS波を見分けていたみたいだけど、現在は、XYで揺れているのか、Zで揺れているのかで区別できるんだよね。
あんまりないことだと思うけど、複数の震源でほぼ同時に地震が起こると、こうやって方向を分解して計測できないと震源が割り出せなくなるのだ。
それにしてみも、地震計ってそんなに進化しているんだ。

0 件のコメント: