2023/08/05

やったら意味ないよ

 日大アメフト部にまたスキャンダルが出たのだ。
寮における大麻や覚醒剤使用の疑いだって。
大学の運動部の寮というとかなり閉鎖的な環境っぽいけど、その中でそういうことが蔓延してしまったのだろうか?
繁華街でいわゆる脱法ドラッグが広まっている、みたいな報道はよくあったけど、今回は完全に規制対象薬物なんだよなぁ。
入手ルートの解明とかも重要だよね。

日本においては、こういう薬物規制は、主に5つの法律で規制されているのだ。
大麻取締法、麻薬及び向精神薬取締法、あへん法、覚醒剤取締法と、麻薬特例法とも呼ばれる国際的な協力の下に規制薬物に係る不正行為を助長する行為等の防止を図るための麻薬及び向精神薬取締法等の特例等に関する法律の5つだよ。
このうち、最後の麻薬特例法は直接薬物規制をするものではないので、その所持や使用などについて規制をしている法体系は4つ。
まとめた方がよさそな気がするけど、歴史的な経緯なんかもあってわかれているんだ。
それに、例外的に認められている使用方法なども異なるので、運用上は分かれている方がよいみたい。

まずは大麻取締法。
大麻はその樹液にドラッグ成分であるテトラヒドロカンナビノールやカンナビジオールが含まれているんだよね。
一方で、古代から麻の繊維として成熟した茎を利用してきたし、その種子(麻の実)も食用にしてきたのだ。
これらはドラッグ成分をほぼほぼ含んでいないんだよね。
なので、ドラッグ成分を規制しつつ、歴史的に利用してきた部分は残す、という思想で規制の枠組みができているのだ。
そのため、規制対象から成熟した茎や種子が除かれているんだよね。
また、大麻だけは「使用」が禁止されていないんだよね。
これは、茎や種子にもほんのわずかにドラッグ成分が含まれるため、尿検査等で調べたとき、マリファナをきめたのか、大量の朝のみを食べたのかは判別できないのだ・・・。
なので、「所持」は規制されるけど「使用」は規制されない、という不思議なことになっているよ。
もちろん「所持」せずに「使用」というのはまずあり得ないので、概念的な整理のような気もするけど。
また、これはアヘンも同じだけど、大麻やアヘンの場合は、それぞれ農作物である大麻草やケシそのものを規制する必要があるという特徴もあって、許可なく内バイすることが禁じられているのだ。

続いてあへん取締法。
けしの樹液を乾燥させたものがアヘンで、これはこの法律の規制対象だけど、ここからモルヒネを抽出すると、今度は麻薬及び向精神薬取締法の規制対象になるのだ。
この法律上も「医薬品として加工を施したものを除く」と明確に書いてあるよ。
もう一つの規制対象が「けしがら」。
これは「けしの麻薬を抽出することができる部分(種子を除く。)をいう」と定義されていて、基本的にはけし坊主なんかが想定されているわけ。
わざわざ趣旨を除いているのは、歴史的にけしの実(ポピーシード)は食用とされてきたから。
アンパンの上に乗ってるよね。
なので、これもわりと大麻に近い規制体系になっているよ。
ちなみに、大麻取締法とは異なり、栽培の許可のところがかなり充実しているんだけど、これは、大麻の樹液は使わないものだけど(一部で医療用大麻の解禁を臨んでいる声はあるけど)、あへんは医療用麻薬の原料でもあって厳しい管理で栽培しないといけないので、その分だけいろんな規定が必要なのだ。

次はて麻薬及び向精神薬取締法。
実はこの法律が一番カバー範囲が広いんだよね。
いわゆる「違法ドラッグ」はこの法律で規制されるものだし、「脱法ドラッグ」や「合法ドラッグ」と呼ばれるものは、この法律の規制の網の目を逃れたものなのだ。
麻薬や向精神薬は医療上必要なものだけど、依存性が高いので、医療目的以外で濫用されるとまずい、ということで規制されるのだ。
そういう思想なので、副作用が強すぎて医療用には使われないジアセチルモルヒネ(ヘロイン)は、「何人も、輸入し、輸出し、製造し、製剤し、小分けし、譲り渡し、譲り受け、交付し、施用し、所持し、又は廃棄してはならない」ということで、原則全部禁止になっているよ。
医療上の有用性があるものは許可制で輸出入や製造・製薬、施用・所持ができるのだ。
ちなみに「違法ドラッグ」は、この法律の別表3の向精神薬に該当するもので、第十一号に「前各号に掲げる物と同種の濫用のおそれがあり、かつ、同種の有害作用がある物であつて、政令で定めるもの」とあって、政令改正で順次追加できるんだけど、これが間に合わないと「脱法ドラッグ」になるというわけなのだ。

最後は覚醒剤取締法。
戦前は規制されていなくて薬局でヒロポンが買えたりしたわけだけど、戦後になってその依存度の高さから麻薬並みの規制をしよう、ということで新たに設けられた法律。
基本は麻薬と同じような規制の枠組みなんだけど、特徴は罰則の量刑が他に比べて重いこと。
これは、我が国で検挙される薬物濫用事案の多くが覚醒剤であり、社会的にインパクトが大きいからなんだって。
例えば、単純所持で比較すると、覚醒剤が10年以下の懲役なのに対し、麻薬(ヘロイン以外)とアヘンは7年以下の懲役、大麻は5年以下の懲役なのだ。
というわけで、覚醒剤は今では割と簡単に手に入ると言われているけど、罰則は重いので、うかつに手を出すと大変なことになるよ。
っていうか、基本的にはドラッグには手を出しちゃいけないわけだけど。

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