2024/02/10

草を食む

 ドンキで安売りしていたので「ヴィーガン・グミ」というのを買ってみたのだ。
完全植物由来原料なんだって。
味はというと・・・。
なんかちょっと固くて、もそっとしてる。
普通のグミの方がおいしいと思うけど、グミの主成分であるゼラチンは、塗擦された家畜の食肉に加工されなかった部分(牛豚の骨や皮、鶏の足とか)を原料にしているので、ヴィーガンには食べられないのだ。
なので、グミは食べたいけど、というニーズに基づいた商品なんだよね。
とはいえ、あまり売れなかったからドンキで安売りされているんだろうけど。


ヴィーガンは完全菜食とも呼ばれるけど、単に、その思想の根底に、「人間が生きるために動物を犠牲にするのに反対する」というコンセプトがあるので、牛乳やハチミツもだめなのだ。
動物から搾取してはいけないんだって。
毛皮や革製品もだめ。
むかしなら到底生きていけないようなライフスタイルになるけど、合成皮革とかもある現代だと何とかやっていける感じだね。
で、そういう思想だからこそなのか、自分がそういう生き方をするというだけでなく、まわりの人にも「啓蒙」しようとしてくるのだ。
これがネット上とかでヴィーガンが嫌われる原因でもあるんだよね。
欧州では肉屋さんを集団で襲ったりもするらしいから本当に過激なんだけど。

で、どの世界にも「行き過ぎ」は出てきて、ヴィーガンの例で言うと、赤ちゃんや子供に親がヴィーガン食を強制することで、栄養失調になったり、場合によっては亡くなったりする例が知られているよ。
牛乳もだめな中で植物しか食べないと、どうしてもタンパク質が不足するのだ。
これは子供には痛い話。
大人であっても、ヴィーガン食では必須脂肪酸(特にω3系)やビタミンB12、ビタミンDが不足しがちだと言われているよ。
なので、現代のヴィーガンはこれらの栄養素をサプリで補給するとか。
一応、そのサプリの原料も動物由来でないことを確認しているそうな。

で、ふと思ったんだけど、日本の禅宗における精進料理って、ヴィーガン食なんだよね。
もともと牛乳を食材としていないからそこもOK。
でも、けっこう禅宗のお坊さんって長い間修行しているけど栄養失調になったみたいな話は聞かないような・・・。
隠れて食べている、なんてことを言う人もいるけど、日本の精進料理の場合は、大豆加工食品を大量に使うことで、タンパク質の不足問題は解決しているのだ。
豆腐や油揚げ、がんもどき、湯葉は豆乳を加工して作る食品で植物由来食品としてはタンパク質が豊富。
今でいう代替肉の大豆ミートみたいなものだからね。
さらに、味噌やぬか漬けのような発酵食品をとることで、ビタミン類も補給しているのだ。
わりとキノコもよく食べるので、シイタケからビタミンDも摂取できるのだ。

問題はビタミンB12。
これは動物性食品だとわりと含まれているのだけど、逆に、植物性食品にはほとんど含まれていないのだ・・・。
そんな中、」植物性で比較的多く含んでいるのが海苔。
禅宗の精進料理で海苔がたくさん出てくるようなイメージはないけど、食材として使わないわけではないよね。
おそらくはこれが鍵だと思うのだ。
それでも、不足しがちにはなるんだろうけど、重篤な欠乏症にはならない程度じゃないかな。

精進料理の方が欧米式のヴィーガン料理より栄養学的には優れているようにも見えるけど、そうでないところも当然あるわけで。
欧米式では生野菜や果物を摂るので、ビタミンCは全く問題なく摂れるのだ。
ところが、日本には生野菜を食べる習慣がほとんどない。
精進料理の野菜はゆでたり煮たりされている!
なので、実は緑茶でビタミンCを補給しているんだよね。
禅宗で常にお茶を飲むのには合理的な理由があるわけだね。

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