2024/02/17

リリース&キャッチ

 ネパールの地元政府は、エベレスト(チョモランマ)の登山者に対し、排泄物の持ち帰りを義務付けることにしたそうなのだ。
ちなみに、登山前に、中で排泄物を固形化・無臭化する特殊な袋を渡し、ベースキャンプまで持って帰ってもらうのだとか。
これまでもゴミの持ち帰りを求めてきたけど、今回はさらにその上を行く話。
プラスチックのような生分解性でないものについての持ち帰りは当然と思うけど、なぜ排泄物も持ち帰らないといけないのか?
ちょっと穴を掘って埋めておけばかえって肥料になるようなきもするけど・・・。
これには、8,000mを越える高さを誇る高山であるが故の理由があるのだ。

そもそも、エベレストの山頂付近のような超高度の場所だと、ものが非常に腐りにくいのだ。
バクテリアやカビがいないということはないけど、年中低温なので腐敗反応が進みづらいんだよね。
なので、生ごみのような放っておけばくさるようなものでも、エベレスト山頂付近ではほぼほぼずっとそのまま残って、水分だけ抜けていくんだよね。
昆虫の類もいないので、かじられたりすることなく、しぼんでいくだけ。
冷蔵庫の奥の方で見つかる、数年前の食材のように・・・。

つまり、し尿についても同様で、穴を掘って埋めておいても冷やされた、或いは、氷漬けになったし尿のままなのだ!
臭いはとんでいるだろうけど、自然に帰るわけではないわけ。
実際、エベレストのような高山の場合、山頂付近で人がなくなると、担いでは下りられないケースも多く、そのまま放置するしかないんだよね。
でも、その死体は腐らないので、そのまま残るのだ。
エベレストの場合は年中氷点下なので氷には覆われるらしいけど、近年は温暖化の影響で再び露出してきた死体もあるみたい。
っていうか、死体の中には「グリーンブーツ」よ言われるもののように目印になっているものとあるんだって。
天然にミイラができちゃうわけだよね。
アルプスの氷河で見つかったアイスマンのように。

地上で死体を放置した場合は、仏教で諸行無常を説くために使われる九相図(くそうず)にあるように、徐々に腐敗していくのだ。
内臓から腐り始めて発生するガスでおなかが膨らみ、肉や皮膚がボロボロになって溶解しだすのだ。
その後、ウジがわき、鳥獣がついばんで骨についた肉もこそげていき、最後は白骨が残る、という感じ。
こういう過程が進まず、そのまま少しずつ水分だけ抜けていくんだよね。
エベレストの場合は、そもそも近年になってからしか登山者の事故死が発生していないので、ミイラと呼べるほどには乾燥はしてなくて、普通に氷漬けの死体があるみたい。
アルプスのアイスマンの場合は、数千年の時を経て乾燥して自然ミイラになっているのだ。
おそらく、エベレストの死体もこのままだと数千年後にはそうなる感じ。

エベレストくらいの高度になると、空気が薄すぎて浮力が得られず、ヘリコプターが使えないそうな。
なので、重いものでも人力で運ぶしかないのだ。
そうなると、なかなか死体を下ろす、という感じにはならないんだよね。
ボランティアでゴミを持ち帰る運動はしているみたいだけど、今のところは死体には手つかず。
ばらしたりしたらひょっとしたらが運べるかもしれないけど、それはそれで死体の尊厳の話が出てくるよね。
そんなこんなでそこは手を付けないみたい。

一方で、山頂付近で発生するごみや糞尿は、もともと登山者が持ってこられたほどの重量のものなので、当然持って帰ることができるもの。
だからこそきちんと持ち帰りましょう、ということなんだよね。
この山からのごみの持ち帰りはエベレストのような高山の話だけではなくて、日本では富士山でも問題になっているんだよね。
富士山では入山料(任意)をとってバイオトイレを整備したりもしているけど、世界遺産登録されてから観光客も増えてごみ問題が大きくなってきているみたい。
さすがに富士山は山頂付近にもトイレはあるみたいだけど、せめてごみは持って帰らないとね。

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