2012/02/04

やっぱり「草」が好き

あっという間に1月も終わってしまったねぇ(>o<)
今年はお正月に日本にいなかったのであまりおもちを食べなかったのだ。
ま、保存食として常にストックしているし、比較的簡単に調理して食べられるからそれなりには食べるんだけど。
今年は食べ飽きていないから、出動回数も増えるかな?

そんなおもちの中でもボクがもっとも好きなのは草餅。
緑色のにくいやつだよ(笑)
コンビニで売っているものなんかだと本当に色がついているだけだけど、きちんと作ったものは独特の香りがよいよね。
切り餅にしたものを焼いてから食べるのもまたおいしいのだ。

草餅は通常もちをつくときにヨモギを混ぜるものとばかり思っていたんだけど、実はそうでもないらしいのだ。
春にヨモギの新芽をとって、一回湯がいてアクをとり、それを丸ごと、或いは汁をしぼってまぜこむんだけど、もちをつくときに入れるものと、上新粉を練るときに加えてそれを蒸すものがあるようなのだ。
後者はむしろ「草団子」なんじゃないかと思うんだけど、あんこを包むと草大福や草餅として売られるんだよね。
糯(もち)の米粒をついて作るのがもち、粳(うるち)をひいた上新粉を練って蒸したりゆでたりして作るのが団子、というのが一般的なんだけど、この境界はとてもあいまい。
そもそも白玉団子は糯米の粉で作るし、コンビニなんかで売られている大福餅などはついたものではなくて練ったものがメインなんだよね。
むしろ、最終的な形態で名前を変えている、という方が正確なような気も(笑)

今ではヨモギを使うけど、もともとは春の七草のひとつ、ゴギョウこと母子草を使うものだったんだって。
その起源は中国で、3月3日の上巳の節句に米の粉(?)に母子草の汁を練り込んで羮(あつもの)にしたものを邪気払いで食べていたようなのだ。
粉を練って蒸していることから団子のような作り方だけど、蜜も混ぜて甘くしていたようなので、ういろうに近いものだったのかな?
でも、実物が現代に伝わっていないようなので、よくわからないみたい。
伝わったばかりの平安時代には母子草が使われていたようなんだけど、それがいつしかヨモギに変わっていくのだ。

母子草は七草に入っているくらいだから邪気を払う効能があるとは考えられていたようだけど、正式な漢方には使われていないようで、あまり「薬効」というのは期待されていなかったのだ。
一方、ヨモギは止血止めにも使えるし、漢方では健胃、冷え性、貧血、腹痛などに効くなどとも言われ、身近にある薬草だったのだ。
沖縄では臭み消しの意味も込めて、今でも料理に入れるよね(ふーちばー)。
モグサの原料でもあるし、「薬効」という観点ではヨモギに軍配が上がるんだよね。
ちなみに、薬に使うヨモギは、乾燥させてから葉の裏の綿毛をとるのだけど、その綿毛はモグサになるのだ。

詳細は不明ながら、鎌倉期以降にヨモギが使われるようになって、江戸期ではもうヨモギが主流だったみたい。
「かつては母子草を使っていた」という言われ方になってしまうのだ。
薬草としての効能だけじゃなく、ヨモギの独特の香りは春を感じさせるさわやかさがあるので、色目だけでなく香りでも季節を感じさせるところがよかったのかもね。
実際に春の節句に使われるものが起源だし、より春らしいものが使われるようになるというのもうなづける話ではあるのだ。
今でもひな祭りの菱餅の「緑」担当はよもぎ餅だよね。
そういうところにかつての節句に食べられていた痕跡が残っているようなのだ。

ヨモギというのはなかなか有用な植物で、荒れ地でも生えるし、多年草なのでしっかり根をはって土を固定するのだ。
草餅や草団子に使うことから、商品作物としての需要もあるんだよね。
なので、道路を造ったときに切り崩した斜面に植えられたり、休耕地に放っておいても栽培できる作物としてはやすままにされたりしているみたい。
その辺の空き地にも生えているような気がするけど、現代においても身近なところで役に立っていそうなのだ。
まだまだ日本人とヨモギのつきあいは続きそうだね。
そのためにも、色をつけただけじゃなく、しっかりヨモギを練り込んだ草餅をおいしく食べよう♪

2012/01/28

三大を取り戻せ

農業や漁業に従事している人たちは現金収入が少ないこともあって低所得者層に分類されるんだけど、実はそうではないのだ!
というのも、農家の人であれば自分で作った農作物については自家消費できるし、自分で漁をしている漁師さんも自分でとった魚で市場に卸さないものは自分で食べているのだ。
実はそれがとても新鮮なもので、買おうとすると高価だったりするんだよね・・・。
なので、その分の価値を換算すると、決して所得が低いわけではないのだ!
そう言えば、漁師さんは普通にうにやらあわびやらを漁師料理にふんだんに使っているよね。

で、それを思い知ったのは三陸の漁業復興の話を見ていたときなのだ。
三陸沖は世界三大漁場のひとつに数えられるくらいの漁獲量の多い優良な漁場だったのだ!
今は震災のダメージでどこまで復活できるか未知数だけど・・・。
日本の海の幸を守るためにも、海産物とともに生きてきた日本の伝統をつなげていくためにも、三陸漁場は復興させたいよね。
ちなみに、文部科学省ではこんな取組をしていて、科学的な手法で復興を目指すみたい。

もともと三陸沖は日本を代表する海流の日本海流(黒潮)と千島海流(親潮)がぶつかる潮境(潮目)なんだよね。
それぞれ暖流と寒流なんだけど、残り2つの世界三大漁場(アイスランド・イギリス・ノルウェー沖、アメリカ・カナダ東海岸)も同じような場所のようなのだ。
黒潮は栄養分に乏しい暖かい海流で、水の透明度が高いから黒く見えるんだよね。
そこから「黒潮」と呼ばれるのだ。
でも、この黒潮の流れに乗って、南海の回遊魚が北上してくるんだ。
寒流である親潮は栄養分に富んでいて、海の生物を育むところからその名が来ているのだ。
プランクトンが大量にいて、緑がかった色や茶色に見えるらしいよ。

その二つの海流がぶつかるのが三陸沖のあたりで、冷たい親潮が暖かい黒潮の下に潜り込む感じで混ざるんだって。
このとき、黒潮に乗ってきたイワシなどの小型の回遊魚が親潮が運んできたプランクトンを食べ、さらにそれをカツオやマグロなどの大型回遊魚が食べる、という流れで優良な漁場が形成されているんだよ♪
親潮は北から流れてくるわけだけど、北海道の釧路沖なんかではウニやカニなんかを育てているんだよね。
まさに我が国の漁業にとっては生命線とも言うべきものだよ。

黒潮や親潮はよく見ると見た目でその流れが確認できるんだけど、三陸沖の潮目はもっとよくわかるみたいだよ。
2つの海流は密度も気温も違うので、そこに陽炎のようなゆらゆらとして境目が確認できるそうなのだ。
海藻や木片などもその潮目にぷかぷかととどまる傾向にあるので、そういうところを目指していくことになるよ。
むかしの漁師さんは魚群探知機なんて持っていないから、まさにそういう「潮目」を読んで漁をしたんだろうね。

今回の震災では海底の地形が変わってしまっていると考えられるので、この海流の流れにも影響があるはずなんだ。
すると、三陸漁場にもおそらく影響が出るわけで、それがいったいどういうものなのかをまず調べてみよう、というのが文部科学省の研究事業だよ。
海底にたまったゴミを取り除いたりして普及できるところはあるけど、不可逆的な変化についてはこれからどうなるのかを予測し、それに合わせた漁業・水産業を考えていく必要もあるのだ。
こうして三陸の漁業を復興させていかないと、我が国の漁業全体にも大きな影響が出てしまうんだよね(>o<)

しかも、海流は漁場に影響を与えるだけでなく、気候にも関係しているのだ。
よく北海道並みに緯度が高いのにパリやロンドンが比較的暖かいのは暖流のおかげ、というけど、まさにそういう話が日本でもあるんだよね。
一般に日本の本州の夏が蒸し暑いのは黒潮が関係していると言われているんだ。
ちょうど季節風が黒潮の上を通ってくるので、その際に湿度が高くなって、蒸し暑くなるのだ。
逆に、冬は季節風が逆向きになるので、黒潮のおかげで寒さが緩和されることがないんだよね・・・。
北海道の場合は親潮の影響で夏は季節風が冷やされ、気温が上がりにくく涼しいのだ。
さらに、冷却されるとともに湿度も高くなるので霧が発生しやすくなるんだって。

こういう影響があるので、海流の流れが変わると日本の気候全体に変化がある可能性があるんだ。
実際に冷夏や暖冬の時にも海流の流れが少し変わっていることが知られているよ。
今回の大地震による海底地形の変化もゆくゆくはそういうところにまで影響を与えかねないんだよね。
すると、漁業だけでなく、農業にも及んでくるのだ。
いやはや、今回の話は三陸だけにとどまらないのだ。
地球規模でものを考えないとだめなんだね。

2012/01/21

乾かして固めよう

報道でびっくりしたんだけど、まだ震災から1年たっていないのに、汚染コンクリートってかなり広がっているんだね!
それだけ復興需要で資材不足になっているということなのかも。
前に海砂を使った質の悪いコンクリートの問題があったけど、これは強度的にはほとんど問題ないから、まさにその放射線をどれだけ許容するかの問題なんだよね。
レベルが高い場合は、建てたばかりでも撤去しなくちゃだからね・・・。

で、これで気になるのは、コンクリートがなぜ汚染されたか?、だよね。
もともとコンクリートというのは、単純に言うと砂利や砂にセメントと水を混和したものを固めたもの。
この砂利や砂が福島の汚染された地域由来のものだったのでコンクリ自身も汚染されることになったのだ。
おそらく放射性セシウムなんかが付着していたんだろうね。
一度水で洗うなりすれば容易に除染できるし、汚染されていない砂利や砂を使えばいいだけなので、今後はきっと大丈夫なのだ。
問題は、すでに固まってしまったコンクリートをどう処理するかだろうね。

コンクリートの固まる前のものがいわゆる「生コン」。
これを型に流すと徐々に固まっていくのだ。
人工石としていろんな形に成型できるというのが魅力なんだよね。
一方、圧縮する力には強いものの、引っ張る力には弱いので、建材として使う場合は鉄筋を入れた「鉄筋コンクリート」にして補強する必要があるんだ。
木材に比べれば耐火性にも優れているし、現代の建材としては主流だよね。

そのコンクリートを固める接着剤がセメント。
高分子系の接着剤は重合して固まるときに回りのものを巻き込んで接着するわけだけど、セメントは乾いて固まるときに回りのものを巻き込むのだ。
「乾く」というのもただ乾けばいいだけじゃなくて、伝統的なセメントである石灰を使う場合は、二酸化炭素の存在が重要なんだよ。
石灰を用いたセメントは古代エジプトから連綿と使われている技術なんだけど、これは、水酸化カルシウムは水に溶けるけど、炭酸カルシウムは水に溶けない、という性質を利用しているのだ。

石灰石を高温で加熱すると、二酸化炭素が発生して生石灰(CaO)が残るのだ。
これを水と反応してできるのが消石灰(Ca(OH)2)。
これは水によく溶ける化合物で、溶けるときに熱を発生する性質があるんだ。
この性質を利用して、乾燥剤として使われたり、お弁当を温めるのに使われたりもするよ。
この消石灰=水酸化カルシウム水溶液が空気中の二酸化炭素を吸収すると、炭酸水素カルシウム(重炭酸カルシウム、CaHCO3)ができるのだ。
さらに二酸化炭素との反応が進むと、炭酸カルシウム(石灰、Ca(CO3)2ができるんだ。
ここで重要なのは、炭酸水素カルシウムは水に溶けるけど、炭酸カルシウムは水に溶けないということ。
小学校の理科実験で使う石灰水は炭酸水素カルシウムの水溶液で、ここに二酸化炭素を通すと水に溶けない炭酸カルシウムが生じて白く濁るのだ。

セメントの場合は、水酸化カルシウムのうちは水溶液になっているわけだけど、徐々に二酸化炭素を吸って炭酸カルシウムができてくるとその部分が固体として固まってくるのだ(これを「気硬性」と言うのだ。)。
そうして炭酸カルシウムの結晶ができていくうちに、炭酸カルシウムが軽石のように網目状の構造で固まっていくんだ。
で、コンクリートの場合はその間に砂利や砂が巻き込まれているというわけ。
石灰だけだとすぐぱりぱりはがれて強度が弱いけど、そこに砂利や砂といった骨材を加えることで建材としてのコンクリートになるのだ。

その中間くらいのが、モルタルや漆喰。
モルタルはセメントに砂を加えたもので、かつては日本の住宅でも外壁によく使われていたし、欧米ではれんがとれんがを接着する目地材として使われていたのだ。
日本が伝統的に使ってきた漆喰は、海藻(フノリ)を炊いて作ったのりで麻の繊維のくずと消石灰を混ぜたもの。
木材建築が中心だった日本では、木の骨組みに土壁が基本なんだけど、その壁面に不燃材の漆喰を塗ることで建物の耐水性・耐火性を上げることができたのだ。
それをきれいに薄く塗るのが左官の技術だったわけだよね。
また、土壁に塗って補強したり、漆喰の上に絵を描いて装飾に使われたりしたのだ(海外のフレスコ画や日本の古墳の壁画なんかが漆喰に描かれたものだよ。)。
海外でも接着剤としていわゆる漆喰が使われていたのがわかっているんだけど、日本の海鼠塀のようなきれいな白い漆喰はなかったみたい。

今では石灰系だけでなく、様々な化合物を使ってセメントやコンクリートを作っているようだけど、原理的には似たようなものなのだ。
ま、価格の安さや手法の容易さからまだまだ石灰が使われているんだけどね。
より耐火性を上げたい、水を使わずに固めたい、強度を上げたいとかなると、ちょっと効果になるけど特殊なセメントを使うみたい。
そういう意味では、セメントは古くて新しい建材なんだよね。

2012/01/14

じっくり火を通そう♪

なんとなく食べたくなって、家でふかし芋をしたのだ。
レンジでやると簡単だけど、ちゃんと蒸して作ったんだよね。
そうしたら、焼き芋並みに甘~いっ!
時間はかかるけど、これはなかなかいけるかも。

で、調べてみると、サツマイモって、じっくり熱を通すと甘くなるのだ。
その秘密は、サツマイモの中に大量に含まれているデンプンが麦芽糖に分解されるから。
もともとサツマイモの中にはアミラーゼというデンプン分解酵素が含まれていて、60~70度くらいでじっくりと熱を通すと、この酵素のおかげでデンプンが糖に変わって甘みが増すんだよ。
石焼き芋が理想的な熱の通し方なんだけど(さらに水分も飛んで甘みが凝縮されるしね。)、その次くらいがふかし芋なんだ。
沸騰させないようにゆでたりしてもいいけど、けっこうめんどくさいよね。
一番ダメなのは電子レンジでの加熱で、一気に暖めてしまうので、ぱさぱさとして甘みがないのだ(>o<)

このアミラーゼは唾液にも含まれていることでおなじみ。
小学校でごはん粒を口の中で租借してからヨウ素液を垂らすと紫色になる実験をするよね。
人間の口の中でもデンプンはアミラーゼにより分解され、麦芽糖やオリゴ糖などができるのだ。
ごはんやパンをかみ続けるとちょっとずつ甘くなるのはそのため。
古代のアルコール醸造はこの唾液のアミラーゼを活用していたんだよね。
ごはんやパンを租借したものを壺などに入れて発酵させたのだ!
デンプンのままでは発酵できないので、一度唾液のアミラーゼで糖化して、それをアルコールに発酵させたわけ。
お酒を「かもす」はもともと「かむ」から来ているとも言われているよ。
なんだかちょっとばっちい感じもするけどね・・・。

でも、この動物の唾液や膵液などの消化液に含まれているのはαアミラーゼという酵素で、植物に含まれているβアミラーゼとはまた別のもの。
αアミラーゼはランダムにデンプンの糖鎖の結合を切っていくんだけど、βアミラーゼは必ず2つずつの単位(麦芽糖)に切っていくのだ。
端から糖を2個ずつ切り離していくイメージだよね。
この植物由来のアミラーゼで有名なのは大根に含まれるジアスターゼ。
大根おろしを一緒に食べると胃もたれしない、というのはこのジアスターゼやプロテアーゼ、リパーゼなどの大根由来の酵素が消化を助けてくれるからだよ。
お正月の時期だと、大根からみ餅は胃もたれしづらいと言われるのだ。
これはもともと消化しづらいお餅の消化を大根のジアスターゼ(アミラーゼ)が助けてくれるからで、さらに、お餅自体が甘くなるという効果もあるのだ!

このβアミラーゼなんだけど、デンプンを分解できるのはデンプンが水分子を抱え込んで膨潤している状態だけなんだ。
デンプンはまだ粒が残っている状態で水に懸濁してもさらさらなんだけど、適度に膨潤するとゲル状になってどろどろになるのだ。
これが「糊化」された状態で、このときだけβアミラーゼは反応できるというわけ。
これはデンプンの結晶の構造が少しゆるんで、その間に水分子が抱え込まれている状態なんだけど、あんまり熱を加えすぎると結晶構造自体が崩れてまたさらさらな状態にもどってしまうのだ。
片栗粉でとろみをつけるとき火を止めてから水溶き片栗粉を入れるのはこのため。
片栗でとろみをつけたあんを電子レンジで加熱するととろみがまったくなくなるのでわかるよ!(中華料理をレンジであたためるときは注意しよう。)

これはデンプンの糊化が60~70度くらいのときに最適化されるからで、いったん火を止めたくらいから徐々に冷めていく過程でちょうどよい温度になっているのだ。

一度とろみがついたものは火で温める程度なら問題ないんだけど、電子レンジの場合は熱を発生させるために水分子の運動自体を活性化してしまうので、デンプンの結晶構造の隙間に水分子が抱え込まれているという状態が維持できなくなるのだ(ToT)
で、話はもどって、サツマイモはじっくりと熱を通した方が甘くなる理由もまさにここで、サツマイモのデンプンがアミラーゼで分解されやすい糊化された状態にするためにはゆっくりと熱をかけるのがいい、ということなんだ。

さらに、サツマイモを食べるときにはほくほく派とねっとり派で好みが分かれるよね。
このほくほくとねっとりもデンプンの状態に依存しているようなのだ。
もともとサツマイモはデンプンの粒子が細かいので、ジャガイモやトウモロコシなんかと比べてなめらかな舌触りなんだよね。
さらに粒子の細かいサトイモになると、あの独特のねっとりした食感になるのだ。
サツマイモの場合、長時間かけて熱をけけると、細胞壁が壊れてゲル状に糊化したデンプンがくっつきあうようになるのだ。
これがねっとりした状態のサツマイモ。
逆に、細胞壁が壊れず、各細胞の中で小さな粒子状に糊化した状態のデンプンがある状態がほくほくのサツマイモだよ。

これは単純に細胞壁が残っているかどうかなので、サツマイモの種類や調理方法により変わるのだ。
ベニアズマのような種類だとほくほくに仕上がりやすいし、ベニマサリや安納芋の場合はねっとりとなりやすいんだ。
ちなみに、もともとデンプンが糊化しないとねっとりした食感にはならないので、電子レンジではムリなのだ。
電子レンジでの加熱の場合、急激な温度変化なので細胞壁は壊れるけど、デンプンは糊化しないので、ぱさぱさした感じに仕上がるよ。
逆に言うと、粘りなどがでないので、いもきんとんやいもあんを作るときはそっち方が便利なこともあるんだよね。

2012/01/07

よ、4回も・・・

新年も明けたけど、まだまだ日本の政治状況は不透明だねぇ。
現政権が増税路線をとりまとめ、野党と協議しようとしているけど、閣僚の進退問題でもめているからどうなることやら・・・。
このまま行くといつ通常国会が開けるのかもわからないのだ!

その通常国会といえば、戦後処理をまだしていた昭和22年以来の第4次補正予算案(補正予算案第4号)の審議をする予定なんだよね。
その後に24年度の政府予算案が来るわけだけど、あまりにもめるようだと、近年あまり見られなかった年度内の予算不成立に陥るかも・・・。
民主党政権になってから何度か危機が叫ばれたもののうまく回避したけど、今回はどうなることやら。

で、その補正予算だけど、すでに3次までは成立しているのだ。
憲法では、第86条で「内閣は、毎会計年度の予算を作成し、国会に提出して、その審議を受け議決を経なければならない。」と定めていて、これが通常の予算の根拠規定になっているのだ。
これを受ける形で、財政法第27条では「内閣は、毎会計年度の予算を、前年度の一月中に、国会に提出するのを常例とする。」としているので、毎年毎年8月末に概算要求をし、年末までに政府予算案をとりまとめているんだ。
で、通常1月中に開会される通常国会に提出し、3月までに審議を行うわけ。

一方、財政法では第29条で「内閣は、次に掲げる場合に限り、予算作成の手続に準じ、補正予算を作成し、これを国会に提出することができる。」と定めていて、一定の条件下で補正予算を作ることを来てしているのだ。
その「次に掲げる場合」とは、「法律上又は契約上国の義務に属する経費の不足を補うほか、予算作成後に生じた事由に基づき特に緊要となつた経費の支出(当該年度において国庫内の移換えにとどまるものを含む。)又は債務の負担を行なうため必要な予算の追加を行なう場合」と「予算作成後に生じた事由に基づいて、予算に追加以外の変更を加える場合」の2つ。
日本の場合は緊急対策というよりも、例年「経済対策」の名の下に編成されてきた歴史があるんだよね。
今回の震災対応なんかは珍しい例なのだ。

なお、補正予算は追加的な支出をするだけではなくて、不要な支出をとりやめる「減額補正」もあるんだよ。
トータルで減額になるような「倹約令」みたいなものはないけど(米国の補正予算ではあるんだよね。)、一部の予算の不要を取り崩して他に必要な予算の財源に充てることはよくあるのだ。
例えば、今回の補正でも、2次補正でつけた予算の一部を3次補正で減額し、他の財源に充てていたりするのだ。

その減額された予算というのは「予備費」という費目。
これはあらかじめ「不測の事態」に備えるために積んでおく性質のもので、有事の際に使途を定めて支出するのだ。
憲法87条第1項で「予見し難い予算の不足に充てるため、国会の議決に基いて予備費を設け、内閣の責任でこれを支出することができる。」と規定されているのが根拠だよ。
基本的に国会開会中は補正予算で対応するんだけど、閉会中で特に緊急を要して対応が必要な場合は予備費が充てられるのだ。
ただし、憲法第83条で「国の財政を処理する権限は、国会の議決に基いて、これを行使しなければならない。」となっているように、国の歳入・歳出は原則として議会の承認を得ることになっているので、第83条第2項で「すべて予備費の支出については、内閣は、事後に国会の承諾を得なければならない。」という事後承諾の規定がついているのだ。

この予備費は、財務大臣が管理していて、予備費の支出が必要となった段階で所管大臣から財務大臣に調書を作成・提出し、財務大臣から閣議にかけるんだ。
閣議決定を経て予備費の支出が決まるんだよ。
閣議決定をするので、いつ予備費の支出が決まったのかは閣議の案件を見ればわかるのだ。
例えば、最新の予備費使用の決定は昨年の12月20日の閣議だよ。
今回の震災対応では、あらかじめ積んでおいた予備費が不足する事態になったので、改めて2次補正で積み増しをしたんだけど、思ったより使わないですみそうだ、ということで3次補正で減額したんだ。
ややこしいね(笑)

ちなみに、補正予算も予備費も当該年度の対応として支出されるわけなので、その年度中に使う必要があるのだ。
とは言え、例えば4次補正なんてこれから国会で審議をするわけで、いつ使えるようになるかわからないよね。
しかも、2月くらいに成立しても残り1ヶ月くらいしかないのだ!
これまでの「財政支出拡大」の目的で行われてきた補正予算も予算案と同時提出で2~3ヶ月予算で執行される例が多かったけど、とてもじゃないけど、まともに全部使い切ることは不可能なのだ。

そこで出てくる制度が「繰越し」。
基本的に国の予算は憲法第86条「内閣は、毎会計年度の予算を作成し、国会に提出して、その審議を受け議決を経なければならない。」に基づいて単年度主義なんだけど、それだけじゃどうしてもまわせないので、一部の予算を翌年度に繰り越して使うことが認められているのだ。
それは財政法第14条の3第1項に「歳出予算の経費のうち、その性質上又は予算成立後の事由に基き年度内にその支出を終らない見込のあるものについては、予め国会の議決を経て、翌年度に繰り越して使用することができる。」と規定されているんだ。
ただ、やみくもに繰り越されてもいけないので、認められる事由というのが決まっているのだ。
制度繰越事由については財務省のHPに掲載されているよ。

予算というのは、前の年に一定の歳入・歳出の予測の上に作るわけだけど、どうしても年度途中に発生した事由で実態にそぐわない部分が出てきてしまうんだよね(>o<)
それをうまく合わせる仕組みがこの補正予算と予備費なのだ。
実際に適切に使われているのかどうかはよくわからないけど・・・。
なんとなく税金負担と連動した国費の適正使用という観点ではどうしても本予算だけが注目を集めがちだけど、補正予算や予備費にもしっかりと目をつけておいた方がよいのだ!

2011/12/31

え、蒸して乾燥!?

寒い季節においしい日本料理といえばふろふき大根♪
ボクはカブの方が早くやわらかくなるし、甘みもあるので好きだけどね。
前から気になっていたんだけど、なぜ「ふろふき」なのか?
まさかお風呂をわかしながらゆでるんじゃないよね(笑)

由来を調べてみると、漆器職人が漆を乾かすのに大根のゆで汁を吹き込むとよい、と教えられ、果たしてうまくいくんだけど、そのときにゆでた大根が余ったので近所に配るとこちらも評判。
漆器を乾燥させる場所が「風呂」と呼ばれていたので、「風呂吹き」大根になったのだとか。
むしろ前後逆転で、漆器を乾かす風呂に水蒸気を吹き込む際、ただただお湯をわかすだけじゃもったいないから、ついでに大根もゆでちゃえ、という方が正解かも、とも言われているよ。

ここで言う「風呂」とは「蒸し風呂」。
江戸時代以前は「風呂」と言えば蒸し風呂だったんだよね。
で、江戸時代の間、いつかはわからないんだけど、お湯につかるように変わったのだ。
弥次喜多の「東海道中膝栗毛」には五右衛門風呂の話が出てくるから、そのころ(19世紀初頭の文化・文政期)にはすでにお湯に入る風呂が一般的になっていたはずだよね。
ちなみに、人が入るお風呂でゆでた大根じゃ食べる気がしないから、風呂吹き大根は蒸し風呂がメインだったころの発明なんだろうね(笑)

で、ここでさらに疑問。
漆を乾かすのに「風呂」ってどういうこと?
乾かすというと、水分を飛ばすイメージがあるので、暖めるとしても乾燥させる必要があるよね。
でも、漆の場合は違うのだ!
「乾かす」と言っても、それは言葉上だけで、実際には水分を飛ばしているわけじゃないのだ。

漆はウルシノキの樹液から作るもので、主な成分はウルシオール(タイやミャンマー産の場合はラッコール)と呼ばれる長い炭素鎖のついたフェノール系化合物。
これが「乾かす」という工程を経ると重合して高分子の樹脂になるのだ。
それが漆器表面の被膜だよ。
この被膜により、木の器は耐熱性、耐水性、耐油性などなどが高まり、かつ、腐りにくくなるのだ。
漆器はお手入れは大変だけど、しっかり手入れすると長持ちするんだよね。

採取したウルシノキの樹液(これを荒味うるしと言うのだ。)は、最初は乳白色なんだけど、空気に触れると褐色になるんだ。
この荒味うるしに少し熱を加えて流動性を上げてから濾過をし、不純物を取り除くのだ。
こうしてできたのが「生漆」で、これをよく攪拌し、成分を均一にするとともに粒子を細かくすることを「やなし」と言うんだ。
漆の主成分のウルシオールは水に溶けないので、ウルシオールは小さな粒子状の脂が水溶液中に分散しているエマルジョンの状態なのだ。
その油の粒子を細かくし、さらに均一に分散させるわけ。

さらに天日干しなどで低温のまま水分を蒸発させる工程を「くろめ」と言い、ここまで来てやっと塗れる漆になるのだ。
この生成過程で鉄分を加えると色が化学反応で黒く発色するんだ。
それが重箱などの黒漆だよ。
何も入れずにそのまま塗るのが透漆(すきうるし)で、木地の目を活かしたいときや、金箔を貼るときの接着剤に使われるのだ。
辰砂(硫化水銀)などの顔料を加えて色をつけることもあるよ。
椀ものなんかであざやかな朱色のものがこれ。
(漆は水に溶けないので、まず水銀などは椀の中身には溶け出さないよ!)

この後、漆は何工程にも分けて「塗り」が行われるんだけど、塗った漆を乾かすのが「風呂」と呼ばれる場所なのだ。
漆の「乾燥」というのは、漆に含まれている「ラッカーゼ」という酵素の作用により重合して高分子化すること。
さらに空気中の酸素で酸化して硬化するのだ。
このうち、空気酸化は常温でもどんどん進むんだけど、酵素反応はある程度の熱と湿気が必要なので、わざわざ「風呂」で「乾かす」んだって。
ちなみに、「くろめ」の時に低温で水分を飛ばすのは酵素を失活させないためだよ。
具体的には、ウルシオールのベンゼン環についている水酸基が架橋してつながるのだ。
空気の酸化では長い炭素鎖に二重結合ができているんだけど、そこは紫外線に弱いので、漆器は洗った後によく拭いてから日に当てずに乾かす必要があるんだよ。

一方、酵素反応を使わず、単純に加熱して固める方法もあるのだ。
それが焼き付けと呼ばれるもの。
120~150度で30~60分焼くんだって。
この方法だとウルシオールが熱重合するんだけど、金属のような塗りではうまく漆がつけられない素材でもコーティングできるのだ。
甲冑なんかの武具の場合はこの焼き付けでコーティングしているのだ。

というわけで、大根から漆の話に変わってしまったのだ(笑)
手入れが大変だから最近は普段使いはしなくなってしまった漆器だけど、やっぱり風情があるよねぇ。
何より、英語ではjapaneseと呼ばれるくらい、海外では日本の名産品と思われているものなのだ。
ちょっとは漆のことを知っていると、海外に行ったときに役に立つかも。
ちなみに、中国や東南アジアにも漆器はあるので日本の特産品ではないよ。
磁器をchineseと呼ぶのと同じで、最初に欧州に入ったときにどこの名産品だったかが重要なのだ。

2011/12/24

乾燥注意報発令

この時期いやなのは乾燥肌。
ボクは手や足ががさがさになるんだよね(>o<)
見た目が悪いのもあるけど、乾燥しているところはざらざらするから布なんかが引っかかるのだ。
なので、この時期は保湿クリームなんかに気をつけているんだよね。
洗い物なんかをするときもわざわざお湯でなく水でやったりするんだよ!
でも、毎年毎年差鮫肌のようになってしまうのだ・・・。

この乾燥肌、文字どおり皮膚表面の水分量の低下が原因。
人間の皮膚は、一番表面にある表皮、その下の真皮、さらに下の皮下組織から成り立っているのだ。
いわゆる「皮革」は真皮の部分で、「しわ」はこの真皮に刻まれるんだよ。
真皮の繊維タンパク質のコラーゲンなんかが劣化して弾性を失うことが原因。
やけどなんかは真皮まで達してしまうと再生はムリで、痕が残ってしまうのだ(ToT)

その真皮の上の表皮は、外界と人間の体の内部を遮断する役割を持つ最終防衛戦!
適度に水をはじき、雑菌の体内への侵入を防ぎ、保温と汗の気化熱による放熱で体温調節にも役だっているんだ。
表皮の構造は特殊で、真皮のすぐ上にはケラチンという層状の硬いタンパク質を精算する表皮細胞があるのだ。
この細胞は内部にケラチンを蓄積して死ぬと、すぐにははがれ落ちずに、表皮の外側にくっついたままたまっていくのだ。
これが名高い「角質」。
古い角質はあかとなってはがれていくよ。

この角質が表皮による防護のミソなんだ。
角質の間には、皮膚の下にある皮脂腺から分泌された皮脂がしみ出て、表面に膜状になって薄く広がっているんだ。
皮脂が多いとてかりの原因となって、あぶらとり紙でとるよね(笑)
これが毛穴に詰まって雑菌が繁殖するとニキビになるのだ。
でも、皮脂には重要な役割があって、角質の内部の水分の蒸発を防いでいるんだ。
水の表面に油をはると蒸発が抑えられるよね。

角質の中にはアミノ酸やカルボン酸などの有機酸、尿素などの天然の保湿成分があって、それにより水分を保持しているんだ。
健康な状態だと20~30%くらいの水分量だとか。
これが少なくなると乾燥肌になるというわけ。
逆に、これが適度に保たれているのが、「ハリ」と「うるおい」のあるお肌だよ(^o^)/

乾燥肌の原因はいろいろとあるんだけど、一つは皮脂の分泌が悪くなることによるもの。
これは加齢やストレスが原因と考えられているよ。
この場合は代わりの油を足してあげればいいわけだよね。
なので、ハンドクリームにはセラミドとかの油脂が含まれているのだ。
馬油なんかを塗るのも同じだよ。

それと、よく言われるのが角質のタンパク質の劣化。
これはストレスにより発生する活性酸素や紫外線が原因のようなのだ。
これは骨組みががたつくから、天然保湿成分が失われていくので保湿力そのものが落ちてしまうんだよね。
活性酸素や紫外線の影響を低減させるために抗酸化剤が使われるのだ。
ビタミンE(αトコフェロール、酢酸トコフェロールなど)は親油性なのでよく配合されているよね。
保湿力を上げるのに使われるのは尿素やグリセリンなど。
高級なものではヒアルロン酸なんかも入っているよ。

人為的な原因もあって、あまりに潔癖すぎて強い石けんを使ったり、硬いタオルなどでごしごしこすると角質がはがれすぎてしまうのだ!
韓国式のあかすりなんかも赤くなったりするけど、あれも基本はこすりすぎ。
乾燥肌と同じように保湿力が失われ、かゆみが出たりするのだ。
ちなみに、皮膚の表面には常在菌がいるけど、この常在菌が皮脂を分解することで皮膚表面が弱酸性になっていて、それが抗菌作用を発揮しているのだ。
洗いすぎると常在菌叢にも影響が出て、かえって皮膚の健康に悪影響なんだよね。
くさくならない程度、あかがぼろぼろ落ちない程度、適度に洗うことが大切だよ。

乾燥肌になると、かさかさになるだけでなく、ひどくなるとかゆみとか痛みが出てくるよね。
これは皮膚の防御力が落ちるため。
保湿だけでなくて、皮膚は外界からの様々な刺激を防いでいるけど、その防御力は落ちるので、刺激がダイレクトに伝わるようになるのだ。
かゆみと痛みは実は同じもので、痛覚神経が弱く刺激されるとかゆみ、強く刺激されると痛みとして感知されるだけなので、皮膚への刺激でダメージを受けている、という証拠なのだ。
さらにひどくなるとあかぎれなんかになるけど、これはもう物理的なダメージにまで至っている、ということだよね(>o<)

というわけで、乾燥肌の仕組みはなんとなくわかったのだ。
保湿クリームは自分の状態(皮脂が少ないのか、角質のダメージなのか)をよく見極めて使わないと効果がないんだよ。
皮脂が出ているのに油系のクリームをぬってもてかりがひどくなるだけだし。
でも、それ以外でも、バランスのよい食事をする(肉食が多いと酸化数の多い質の悪い皮脂に成分が変わってしまうのだ!)とか、睡眠をよくとるとかも大事みたい。
冬はまだこれから。
乾燥対策をきちんとしないと!