2009/05/30

洋風けんちん?

今日の我が家の夕食はビーフシチュー。
うちはパンじゃなくて常にライス派なので、ハヤシライスのようにごはんにかけて食べるのだ。
辛くないビーフカレー、ごろごろと肉と野菜が入ったハヤシライスみたいな感じだよ。
でも、ビーフシチューのソースってごはんに合うよね?
そこで気になったのが、シチューとスープの違い。
どうも印象的にはシチューは具だくさんで、スープはあっさり目という感じだけど。
というわけで、ちょっと調べてみたのだ。

まずはシチュー(stew)という言葉だけど、これは「煮込む」といった程度の意味。
水煮のトマト缶なんかはstewed tomatoなんて言うよね。
すなわち、原義的には「煮込み料理」ということになるよね。
実際、肉や魚、野菜をダシやソースでじっくり似たものをシチューと呼んでいることが多いような気がするのだ。
でも、よくよく調べてみると、シチューとスープの境界は明確ではなく、最初に日本に入ってきた経緯なんかが影響して、シチューと呼ばれるかどうかが決まっているのが現状のようだよ。

煮込めばよいわけなので、日本のけんちん汁のような具だくさんの汁物でもよいし、肉じゃがのような汁気が少なくなった煮物でもよいんだよね。
肉じゃがなんかは東郷平八郎元帥が英国で食べたビーフシチューが忘れられず、海軍のコックに作らせたのがその始まりなんて説もあるくらいだよ。
レストランなんかに行くと、ソースで煮込まれたようなステーキのシチューもあれば、本当に汁気の多いシチューもあるよね。
最近よくみかけるようになった煮込みハンバーグもシチュード・ハンバーグだよ。

一般には、コースで前菜の次、メインの前に出てくるのがスープで、メインとして出てくるのがシチューなんて言われるけど、おそらくは、欧州の庶民が食べていた煮込み料理一般がシチューなのだ。
貴族はきっと一食でいろんな料理を食べていたんだろうけど、庶民はだいたい一汁一菜というか、パンと料理一品だったのだ。
アニメのフランダースの犬に出てくるネロが食べている肉付骨のスープみたいなのがそうだよね。
具が多いとその具に着目してシチューになるけど、汁に着目するとスープになるというわけなのだ。
もともと欧州文化では鮮度のよい肉は生食、悪くなってくると焼いて食べていたようなのだ。
保存用に干し肉作ったんだよね。
で、かなり質の悪くなった肉をおいしく食べるためにスパイスが貴重だったのだ!
その次に出てきたのが、煮るという料理法。
さらに蒸すなんてのも出てくるけど、煮るのが鍋ひとつでできるのに対して、蒸すのは道具もいるから広まらなかったんだよね。
さらに、煮込み料理だと肉や魚というメインの食材は少なくても野菜で補えるのだ。
おそらく、こういったのが積み重なって欧州の庶民の通常のおかず料理として煮込み料理が確立されていったと思うんだよね。

そういう意味では、まさに言葉どおりの「煮込み」というのが正解なのかもね。
すると、日本食で言えば、けんちん汁はやっぱりスープで、煮物がシチューに近いように思うんだよね。
煮込みでも特に汁気が多くてごはんにかけてしまうようなもの、深川汁やもつ煮込みなんかが近いのかも。
けっこう煮魚の汁をごはんにかけるのが好きだって人もいるよね(笑)
あんまり品のいい食べ方ではないけど、よく考えれば、具だくさんの辛いスープのカレーは、ごはんにかけたり混ぜたり、ナンをつけたりして食べているのだ。
カレーは汁物料理一般のことらしいけど、中にはシチューと言うべきと考えられるカレーソース煮みたいのもあるよね。

で、日本に入ってきた最初のシチューがスープに近いビーフシチューだったので、具だくさんスープ的なイメージなったんだろうね。
その後に広まったクリームシチューもやっぱりスープ状だし。
でも、タンシチューなんかは中華料理のアワビの煮物みたいな感じだし、やっぱり煮込みなんだよね。
ロールキャベツなんかもこの考え方から行くとシチュー料理に属するわけだよね。
海外ではブイヤベースやボルシチもシチューというくくり出そうから、これからは「洋風煮込み料理」をシチュー料理と呼ぶ方がよいのかも。

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