2010/05/22

仰げば尊し・・・

ボクは前から甘いものが好きなんだけど、最近気になってきているのは和菓子。
ようかんやまんじゅう、大福なんかはむかしから好きだったんだけど、気になり始めたのはいわゆる「季節の和菓子」なのだ。
洋菓子もカラフルだったり、かわいいデザインで見た目がよいけど、和菓子はシンプルなデザインながら洗練された美があるような気がするんだよね。
甘すぎない、上品な甘さも魅力的なのだ。
というわけで、今回はそんな和菓子についてちょっと調べてみたよ。

ここでボクが言及している和菓子というと「ねりきり」。
白あんに求肥やつくね芋を加えて練った生菓子だよ。
もともとの色は白いので、これにクチナシや食紅などのむかしながらの色素で淡い色をつけていくのだ。
中に包むあんで工夫の余地はあるけど、だいたいの味は一緒なんだよね(笑)
ゆずとか抹茶で色だけでなく香り(フレーバー)がつくこともあるけどね。

白あんは白インゲン豆や白小豆をゆでてからつぶし、裏ごししたものに砂糖や蜜で甘みをつけたもの。
とろっとした淡いクリーム色のあんなのだ。
求肥は白玉粉や餅粉に砂糖や水飴を入れて練ったもので、全部の材料を混ぜてから加熱しながら練る水練り、生地を練ってゆでてから甘みを加えるゆで練り、生地を蒸してから甘みを加える蒸し練りなどがあるんだって。
それぞれ食感や日持ちが変わってくるみたい。

伝統的と言われる和菓子はお茶とともに発展してきたので、今のような姿になったのはおそらく室町末期から江戸時代にかけての間。
でも、このころには上白糖は精製できないかあってもほとんど手に入らないので、使うとしたら黒砂糖や粗糖のような精製度の低い糖か、発芽玄米や麦芽から作る水飴。
江戸時代も下って糖の精製技術が上がってくると、和菓子用の高級な糖として知られる和三盆が登場するのだ。
和三盆は、サトウキビの茎から搾った甘い汁を石灰で中和しながら精製・結晶化して原料となる白下糖というものを作るのだ(黒砂糖と同じで糖蜜を多く含むので独特の香りと味だよ。)。
これに少し水を加えてお盆の上で練り上げていくと糖の結晶の粒子が細かくなって、糖蜜と分離できるのだ。
この「研ぎ」が終わった後に麻袋に入れて圧搾すると黒い糖蜜が絞り出されて、だんだんと白くなっていくわけ。
3回繰り返すから和三盆と言うそうだよ。

それでも、上白糖と比べると精製度が低いので少し色がついていて独特の風味があるんだけど、「研ぎ」をすることできめ細やかで口の中でさっと溶けるという特質があるのだ。
それに、微量の糖蜜のおかげで甘さもくどくなく、後味がよいとも言われているよ。
砂糖などの甘味料があまり手に入らない時代に発達した和菓子は、干し柿と同程度以下の淡い甘さが特長だけど(日本で当時食べられる果物では柿が一番糖度が高く、さらに乾燥させることで糖度を高めた干し柿が日本で食べられる一番甘い食材だったのだ!)、それによく合うのがこの和三盆というわけ。
むかしは甘みが出せなかっただけなんだけどね(笑)
逆に、今の精製の進んだ砂糖で作ると甘さが際だって野暮ったい味になることもあるのだ。

話を「ねりきり」にもどすと、そうやって淡い甘みのあんと求肥を合わせて適度な柔らかさ、粘度の生地に練り上げていくんだ。
ここにツクネイモを入れるとまたやわらかさが変わってくるのだ。
そんな生地を粘土細工のように木型に入れて成形したり、手と小さなへらで形を整えたりしていくわけ。
花びらの形なんかも全部手とへらだけで作っていくんだよね。
ここが職人芸なのだ。
さらに、そこに色の組み合わせもあって、伝統美ができあがるのだ。

一方、水分量が少ない和菓子が干菓子。
若い人にはとんと人気のない落雁が代表的だよね(笑)
金平糖なんかも干菓子の部類に入るのだ。
落雁は米粉などのデンプン質の粉と砂糖や水飴をまぜ、それを着色してから型に入れて乾燥させたもの。
一般的には、すでに蒸した米の粉を使って、甘みを加えて練った後、型にはめて「焙炉(ほいろ)」と言われる下から加熱する作業台の上で乾燥させるのだ。
材料的にはねりきりと同じなんだけど、だいぶ味わいは違うよね。
ただし、こっちは水分量が少ないだけあって、生菓子のねりきりと違って日持ちするのだ。
むかしは流通も発達していないから、干菓子の需要もあったのだ。
今みたいに甘いものがあふれているわけでもないから、甘いだけでありがたかったのかも。

季節の移り変わりを重視する日本人は季節ごとにいろんなデザインの和菓子を作っていて、お茶の席などではその和菓子でも季節を楽しむんだよね。
和菓子の歳時記なんでカレンダーもあるけど、こういうところでも季節感を出そうとする日本人の心は大事にしたいよね♪
季節の和菓子には、水ようかんとかも入ってくるので必ずしもねりきりだけじゃないんだけど、いろんな色・形に整えられると言う点で一番応用が利くのはねりきりなので、やはり重要な位置づけなのだ。
そろそろこの季節だから、あのお菓子が食べたいなぁ、なんていう風流人になりたいね!

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