2011/07/23

「エセ」に気をつけろ!

なんだか原発の事故以降、ネットに玉石混淆の情報が蔓延しているのだ(ToT)
勘違いとか理解が足りないくらいならまだよいんだけど、科学的な説明のフリをしてさも説得力を持たせようとしているものはたちが悪いのだ。
リテラシーが十分に高くないといいようにだまされちゃうからね。
これは政府とか公的な発表も同じなんだけど、やっぱり情報は自分で吟味して峻別しないといけないのだ!

そんな中で少しびっくりしたのは、「人間が化石燃料を燃やすぐらいで増えたCOは、むしろ雲の発生を促し地球を冷やす効果もある」とかいう主張。
実際、エアロゾルが増えると雲が増え、それで日射が遮られて寒冷化する、という話はあるのだ。
これを日傘効果と言うらしいんだけど、恐竜の絶滅の原因と考えられている巨大隕石の落下(グレート・インパクト)はまさにユカタン半島への巨大な隕石の落下でで空中にたくさん粉塵が舞い上がり、それで日光が遮られて寒冷化したと想定されているんだ。
そのせいで植物は枯れ、草食恐竜がいなくなり、肉食恐竜も絶えたのだ・・・。
これは大規模な火山噴火でも同じようなことが起きると考えられていて、噴煙や火山灰で空が暗くなるほどの噴火だとそういうことが起きる可能性があるのだ。

ただし、これはエアロゾルの話で、二酸化炭素だとまたちょっと事情が変わってくるはずなんだよね。
まず、二酸化炭素が増えることによって雲が増えるという部分から怪しいんだけど、これって、二酸化炭素により大気の温度が上がるのできやすくなる、というところから来ていると思われるのだ。
でも、それってそのまんま地球温暖化だよね?
二酸化炭素で地球の気温が上がる、という前提が成立しない限り、二酸化炭素が増えて雲が増える、ということにはならないはずなのだ。

よしんば二酸化炭素の増加で雲が増えたとしても、おかしな話があるんだよね。
確かに雲が大量にできれば日光が遮られて地表面の温度は下がるけど、太陽から来るエネルギーが変わらない限りは大気はその分余計に温まっていることになるはず。
すると、地球全体で見れば気温は下がることはないのだ。
さらに、二酸化炭素などの温暖化ガスは熱をため込む性質(正確には、放射熱として出される赤外線を吸収する性質)があるので、地球から宇宙への熱放出(輻射)は減るはず。
すると、全体的には地球の温度は上がるはずだよ。

もともと地上は太陽光で昼間温められ、夜になると熱(赤外線)を放射して冷めていくのだ。
このサイクルで温められるのと冷めるのとが釣り合っているので地上での気温がズーと上がり続けたり、下がり続けたりすることがないわけ。
地表から放出された熱=赤外線は大気の中をとおり、複雑なプロセスを経て最終的には宇宙空間へ放出されるんだ。
で、この熱の放出量が太陽から受けるエネルギーと釣り合うから地球の温度がほぼ一定に保たれるわけ。
受ける熱量の方が多ければ温度が上がりすぎて地球は融けてしまうし、出す熱量の方が多ければ氷の惑星になってしまうよね(>o<)

で、二酸化炭素の増加は、このバランスを少し崩すのだ。
二酸化炭素に熱がトラップされる分だけ放出量が減るので、徐々に地球が温まるというわけ。
ただし、地球の温度は常に一定というわけではなくて、長期的に見ると変動しているのだ。
それが氷河期と間氷期というやつで、今の温度上昇もその変動の中のものでしかない、という考え方もあるんだよね。
一方で、化石燃料を使い始めてからは急激に温暖化が進んでいるので、自然な変動では説明できない、人為的な要素がある、というのが地球温暖化問題を考える上での原点だよ。
こればかりはなかなか決定的な証拠がないわけだけど、一般的には二酸化炭素が増えることが温暖化につながるという認識だよね。
地球温暖化問題に関して、政治的な理由も含めて懐疑論があるけど、物理的な性質や状況証拠から多くの懐疑論は反論できるのが現実だよ。
ただし、どんなものでもきちんと科学的に反論していくのが大事なので、そういうものに耳を傾ける姿勢は大事なのだ。

ちなみに、原子力発電は発電過程で二酸化炭素を出さないから地球温暖化問題に貢献する、という説明がよくなされていたけど、これも正直あやしいんだよね。
まず、原子力発電所は設計基準が厳しいので、他の発電所に比べると建設にエネルギーがかかるから、そこでは他の発電所より多くの二酸化炭素を出しているはずなのだ。
さらに、原子力発電特有の問題として、放射性廃棄物の処理の問題があるんだよね。
まだ最終処分の方法も処分場所も決まっていないけど、数千年とか数万年のオーダーで管理しないといけないんだよね・・・。
すると、その管理の分のエネルギーも必要なわけで、そこには当然二酸化炭素の排出が伴うのだ(そのときまでにすべてのエネルギーが二酸化炭素の放出なしに得られるようになっていれば別だけど・・・。)。
というわけで、「発電プロセスで」という仮定があれば正しいんだけど、本当に原子力発電が温暖化問題に貢献するかどうかは微妙だと思うのだ。
ま、もともと廃棄物問題があるから決してクリーンとは言えないと思うんだけど。

さらに余談だけど、じゃあ原子力発電をやめるか、というと、なかなかそうもいかないんだよね。
現在の電力需要を支えるためのベース電源としては有力であることは確かだと思うのだ。
太陽光や風力で代替なんて言うけど、そういう発電量が一定しない発電方法だと「使う分だけ発電する」という電力消費の特性に対応できないのだ。
これを同時同量というんだけど、発電量が多すぎても送配電網に障害が起きるし、発電量が少ないと瞬時に停電するから、厳密な発電量の制御が必要なのだ。
今は原子力や石炭火力、水力でほぼ一定量の発電を続けてベースを作り、その上で発電量制御が比較的容易な天然ガス火力や石油火力で調整しているんだよ。
太陽光や風力は微々たるものなのでさほど影響は与えないけど、こういう天気任せの発電方法のシェアが増えると同時同量の達成が非常に難しくなるのだ。
なので、現在の技術の延長線上では原子力の代替とはなり得ないんだよね。

いやな話でも、それが現実なのだ。
というわけで、脱原発をするのであれば、徹底的に電力消費を抑える必要があって、それこそ昭和30年代くらいのくらしにもどるとかしないとダメなんだよね。
で、二酸化炭素を出さないように火力も絞るとなると、江戸時代のような日が昇ったら起きて、日が沈んだら寝る見たいな生活をしないといけなくなるかもしれないってわけ。
生活の利便性とウラハラの関係であるということは頭に入れておかないといけないのだ。

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