2011/07/30

ワーラーを吸うわら

日本全国が肉牛(「にくうし」と読むんだよ。)のセシウム汚染で大騒ぎ!
これまで日本の牛肉は世界的にも安全・安心でおいしいと評判だったんだけど、その信頼も失われつつあるのだ(ToT)
当然すべての肉牛が汚染されているわけではないけど、いわゆる「風評被害」で日本の牛肉全体が危険と思われてしまうんだよねorz
しかも、東北の国産牛って関東地域ではブランド牛として扱われていただけに、畜産農家のショックも大きいだろうねぇ。
なにしろ、これまで高値で取引されていたものが値がつかなくなるんだから。
これは将来的な影響もあるので、かなり深刻な問題だよ。

で、その原因となったのが、飼料として使われていた稲わらの汚染。
農林水産省も震災後に「気をつけるように」という通知を出していたんだけど、そこには「乾牧草」とは書いてあっても、「稲わら」とは明記されていなくて、「など」に含まれるとして解釈する必要があったんだって。
ま、それはよくあることのような気もするけど、周知徹底の方法に問題があったんじゃないか、とも言われているよね。
結果として起きてしまっていることなので、犯人捜しや責任の追及をするよりも、まずはすでに流通してしまった汚染わらを追跡して、飼料として使われないようにすることが大事だと思うけど。

で、この稲わら、宮城県から出荷されたものが汚染されていたんだよね。http://www2.blogger.com/img/blank.gif
ところが、文部科学省で発表している航空機モニタリング(米国のエネルギー省の協力を得て空中から線量分布を測定しているものだよ。)の結果をみると、宮城県内はさほど高い数値は出ていないのだ!
すると、考えられる原因としては、少し前に話題になった「特定避難勧奨地点」、いわゆる「ホットスポット」のように局地的に線量の高い場所があって、そこにたまたまわらがあった、というもの。
でも、これって偶然が重ならないとそうならないし、今では他の地域でも汚染されたわらが見つかったりしているので、そういう話ではないはずなのだ。

そこで考えられているのが、稲わらでは放射能が濃縮されてしまう、という説。
もともと東北地方では、開きに稲を刈り取り、稲わらは水を抜いた田んぼに並べてしいておくんだって。
で、冬に雪が降って、それが融けてまた乾燥したころにロールして出荷されるそうなんだ。
これが「春わら」と呼ばれるもので、東北地域は一大生産地だとか。
それで東北から出荷された稲わらが全国的に広がってしまったようなんだよね。
でも、稲わらが汚染されているのがわかっているので、それを追えば二次被害は防げるはずで、稲わらの流通をしっかり抑えれば次の犠牲(まさに牛偏だね・・・。)はでないはず。

では、なぜわらの放射能が濃縮されたか。
稲わらは、田んぼ一面に並べてあって、本来地表に付着するはずだった放射性セシウムを吸着してしまうんだ。
空から降ってくる放射性セシウムは、大気中を漂っていたのが雨や雪と一緒に降下してきたもので、水をよく吸う性質のある稲わらはこれをたくさん吸収するわけ。
地表面だと一部の雨水は表面を流れていってしまうし、地下にも浸透していくけど、稲わらはその分も含めて全部吸っているのだ。
で、それが乾燥すると、稲わらにだけ放射性セシウムが残るわけ。

で、その放射性セシウムを吸った稲わらをロール状に巻いていくと、1カ所に集められるので放射能が高くなるのだ。
これは福島県の小学校で汚染された校庭の表土を削って、校庭の隅に置いておいたら、そこだけ空間線量が高くなった、というのと同じ。
一様にうすく分布していたものがまとめられると、単位体積当たりの放射能が高くなるのだ。
さらに、稲わらは体積のわりに軽い(比重が小さい)ので、単位重量当たりの放射能で見ると数字が大きくなるのだ。
報道でよく使われる「○Bq/kg」という単位がそれだよ。
稲わら1kgって相当あるんだよね。

こういうようにして放射能が濃縮されていくので、地表面の放射能(空間線量率)を測定するとたいして高くないのに、そこに並べてあった稲わらの線量は高くなってしまうのだ。
地面から生えている牧草も同じようなことが言えると思えるんだけど、牧草は生えている間は縦になっているので、意外と雨に振れる面積が少ないし、何より稲わらのように雨水を吸収しないのだ。
なので、震災後に刈り取った牧草を乾燥させた乾牧草は稲わらほど線量が高くないんだって。

これで本当にすべてが説明できるかどうかはわからないけど、かなり説得力のある説明だと思うんだよね。
そして、汚染された稲わらがあった地域は危ない、といういい加減な流言の否定にもつながるのだ。
大事なのは、稲わらは汚染が濃縮されるから線量が高いだけで、それがあった地域は必ずしも線量が高くない、ってことなんだ。
汚染された稲わらが見つかったからといってすぐに逃げ出すような話ではないのだ。
ただし、逆に、そんなに汚染されていない地域でも、今回の稲わらのように汚染が濃縮される可能性はあるわけで、そこは気をつけないといけないんだよね。
すでに雨樋の下や下水の汚泥は放射能が濃縮されていることが知られているけど、そういうのが事前にわかっていれば気をつけようがあるからね。
それと、稲わらは有機農法に使う堆肥の原料にもなるので、そっちも気をつけないといけないのだ!

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