2013/03/09

地域の力をうどんに込めて

テレビで特集をやっていてついつい食べたくなって、この前、東京麺通団にうどんを食べに行ったのだ。
麺通団は、香川ではおなじみのスタイルであるセルフ式のうどん店を東京ではじめて導入したお店なんだよ。
チェーン店系のうどんよりおいしいのだ♪
つるっ、しこっ、もちっと讃岐うどんの醍醐味が味わえるのだ!
っていっても、ボクは本場香川の讃岐うどんはまだ食べたことないんだけどね(笑)

この讃岐うどん、むかしから有名なんだとばかり思っていたけど、実は全国的な知名度になったのは1980年代末なんだとか。
1960年代から冷凍うどんで「讃岐うどん」という名称が使われはじめ、ブームがやってきたのが1980年代末なのだ。
今では香川で本場のうどんを食べる、なんてのが観光の目玉だけど、そこまでメジャーじゃななかったなんておどろき!
「うどん県」なんてPRするくらいにまでなるんだからすごいよ。
実は、食の地域ブランドとしては先駆けだったのかな?
古参の御当地グルメという印象だよね(あとは広島のお好み焼き、仙台の牛タン、浜松のうなぎ、博多のもつ鍋とか?)。

香川では、うどんに必要な、小麦、塩、醤油、煮干し(いりこ)が古くから特産で、素地はあったのだ。
戦国時代末期には二毛作も盛んになり、小麦が多く作られるようになったので、それがうどんという形で食べ始められたみたい。
江戸時代には名物にもなっていたみたいで、四国八十八カ所巡りのお遍路さんや金比羅参りの参詣客は讃岐のうどんを食べていたようなのだ。
ただし、当時は醤油は高級品だったので、おそらく冷やしのうどんをごまだれとか味噌だれで食べていたみたい。
伊勢うどんなんかもそうだけど、手軽に食べられるうどんのような食事は観光地では喜ばれたんだよね。

明治・大正とうどん文化は発展を続けて、地元民には常食となっていくのだ。
よくわからない数字だけど、なんでも香川県人は年間に200玉以上のうどんをたべているとか!
それって週に3~4回はうどんを食べている計算になるよね。
中には毎日のように食べている人もいるんだろうなぁ。
まさに県民食!
このころになると、うどんを打てないと嫁にいけない、みたいな話も出てきているみたい。

戦後のもののない次代でも芋やどんぐりの粉、ところてんなんかを使いながらうどん文化が守られたんだって。
涙ぐましいねぇ(ToT)
そこまでしてうどん食文化をまもったからこそ、現在の「うどん県」の繁栄があるのかも。
で、昭和も終わりの頃になって、テレビや雑誌で注目され、一気に全国区に駆け上がるのだ。
ただし、「讃岐うどん」という名称は、生麺で特産とか名産とかを表示しない限りは自由に使われてしまうので、名称に関するトラブルもあるそうだよ。
有名になったが故の悩みだね・・・。

よく東日本ではそば、西日本ではうどんと言われるけど、そばが救荒作物で米が作れないような荒れ地で栽培されるものであるのに対し、小麦は二毛作などで比較的肥沃な土地で栽培されている例が多いのだ。
香川(讃岐)なんかがまさにそうだし、播州手延べそうめんの兵庫(播磨)なんかもそう。
瀬戸内海沿岸地域は比較的乾燥しているので、小麦の栽培に向いているのだ(太平洋側の高知=土佐なんかだと今度は米の二期作になるよね。)。
信越地方の山間部なんかはそばが有名だけど、農地としてやせているので、そばくらいしか作れず、その結果そばをいかにおいしく食べるかという文化が発展した結果なのだ。
関東や東北は関西以西と比べてやっぱり土地があまりゆたかでないので、そばが多かったんだよね。
でも、上州名物水沢うどんや秋田名物稲庭うどんのような例もあるよ。
関東でも地域によっては二毛作ができるので、群馬(上野)のような地域では小麦食も盛んなのだ。
東北なんかは、寒冷な気候でむかしは稲作に適していないところもあったので、そういったところではより寒さと感想に強い小麦が栽培されたんだよね。

讃岐うどんの特徴と言えば、コシとだし。
大阪のうどんなんかはむしろやわらかさをウリにしているんだけど、讃岐うどんはしこしこもっちりがウリなのだ。
これは製法の違いで、讃岐うどんを手打ちする場合は、生地を練ってから足で踏みつけ、ちょっと寝かせてからまた生地をたたんで踏みつけ、という工程を繰り返すんだ。
こうすることで、強いコシが生まれるんだって。
でも、これった「足打ち」?
ちなみに、テレビでやっていたけど、こうやって作ったうどんは機械打ちのうどんとは違い、麺にミルフィーユ状の層構造が見えるらしいよ。
寝かせて折りたたんで踏みつけるたびに層になっているのだ。
その積み重ねが強いコシの秘密みたい。
網目状のシートになったグルテンが何層も重なっているということなんだろうね(機械打ちだと網目構造が三次元に広がっているだけのはずなのだ。)。

そして「いりこ」のだし。
だしというと昆布や鰹を思い浮かべるけど、讃岐うどんにはいりこが欠かせないのだ。
強いコシのうどんに勝つには、いりこのちっと生臭いくらいの強い味が合うみたい。
その代わり、薬味としてネギやショウガを多用するんだって。
ボクは生醤油や釜玉(っていうか、それに納豆を加えたネバ玉)みたいな食べ方がわりと好きだけど、透明感があるのにしっかりしたコクのあるいりこだしのつゆも捨てがたいのだ。

なんてことを調べていくと、またうどんが食べたくなってくるなぁ(笑)
天ぷらやおでんと一緒にまたうどんを食べて来ようかな?
でも、一度香川で山の中にあるような地元の人が集まるうどん店にも行きたいんだよね。

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