2013/05/04

先頭には何がある?

今年のGWは円安になったこともあって国内指向が強まったそうで、各地で渋滞も発生しているね。
ボクがもっと小さかった頃は何十kmという渋滞がGWやお盆には常識だったけど、今ではだいぶ緩和されているのだ。
これって、そもそも渋滞がどういう原因で起こるのか、っていう研究が進んだからなんだよね。
原因がわかれば対策が講じられるわけで、技術的に解消できる部分も出てくるのだ!

一般に渋滞という現象は、道路の交通容量を超える交通量となったときに発生するもので、通行に「よどみ」ができている状態。
警視庁の統計では、一般道では走行速度が毎時20km以下になった状態、高速道では走行速度が毎時40km以下になった状態と定義しているみたい。
赤信号で停止するのは当たり前として、青信号になってもなかなか動かない、動いたとしても遅々として進まない、という状況なのだ(>o<)
高速道路の場合は信号がないから、単純に走行速度が遅くなっているということだよね。

車両が走行する場合、車間距離をとるので、一定区間(例えば信号と信号の間)の道路には快適に走行できる車両の数の上限というのがあるのだ。
これが交通容量で、これを超えると信号が青の間にすべての車両がはけきれなくなり、青信号でも前に進めない、ということになるのだ。
高速の場合では、車間距離が短くなり、前の車両が軽くブレーキを踏んだだけでも、連鎖的に後続の車両がブレーキを踏むことになってしまい、走行速度の遅い車両の集団が形成されるのだ。
前の車両のブレーキに気づいてからブレーキを踏むまでの反応速度の分だけ遅れるので、この連鎖的なブレーキは雪崩的に拡散して、後ろの方まで行くと止まってしまうくらいにまでなるんだよ。
これが渋滞の発生で、渋滞学ではこれを「相転移」と呼んでいるみたい。

何も研究されていない頃は、それこそ先頭に「とろい」車両がいるせいで全体が遅くなるくらいにしか考えられていなかったんだけど、実際に渋滞が発生している時にヘリコプターで上空から観測すると、渋滞の先頭はある位置に特定されていて、そこから先は車両が流れているけど、その後ろは車両の流れが滞っていることがわかるんだよね。
つまり、そこにある何かが渋滞が発生するトリガーを引いているので、その原因を突き止めて、解決してあげれば渋滞が緩和するということなのだ。
実は、こういうのがわかってきたのってここ最近なんだよね。

一般道では、信号・交差点や踏切、橋などの定常的な要因と、事故や悪天候のような一時的な要因があるのだ。
交差点ではどうしても右折・左折待ちの車両があるので、右折・左折専用レーンなどを作ることで対応するんだよね。
踏切も、高架線にしたり、逆に道路を下に潜らせたりして回避するようになってきているのだ。
橋はどうしてもそこだけ交通量が限られてしまうので、橋を増やして分散させるくらいしかないんだよね・・・。
お台場もレインボーブリッジくらいしかないときはそこがボトルネックになってすっごい混雑していたけど、蒲田トンネルなどの他のルートができると分散してきて、さほど混雑しなくなったのだ。

高速道路の場合はちょっと事情が違って、交通量がもともと多いときに、渋滞が発生するレベルにまで車両の密度が高くなる(=車間距離が短くなる)きっかけがあると、そこから渋滞が発生するんだ。
そのきっかけというのは「ブレーキ」。
高速道路には信号がないので、基本はアクセルの踏み込みで速度を調節しているんだけど、誰かがブレーキを踏んでいきなり減速すると、そのブレーキが連鎖的に後続車両に伝播して、通行のよどみが発生するのだ。
すいていれば車間距離が十分にあるので、前の車両がちょっとブレーキを踏んだくらいじゃアクセルを緩めればすむんだけど、もともと交通量が多いと車間距離もそんなにないので、前の車両にブレーキを踏まれると自分も踏まないとぶつかってしまうのだ(ToT)
ちなみに、走行車線より追い越し車線の方が一般に走行速度が速いので、追い越し車線の方が渋滞が発生しやすいと言われているのだ(前の車両の急ブレーキに対応するにはブレーキしかないので。)。

じゃあ、なんでブレーキを踏む必要が出てくるかというと、さらにその前の車両が「無意識」に速度を低下させてしまったから、というのがわかっているんだ。
これは渋滞の名所と呼ばれるところを見ていってわかったことなんだけど、運転者が自然とアクセルを緩めてしまうポイントがあるのだ。
そのひとつが合流地点。
インターチェンジだったり、ジャンクションだったりがこれ。
もうひとつはトンネルの手前。
トンネルの中は暗いので、どうしてもその手前で速度を落としてしまいがちなんだって。
そして、研究してわかってきたのが「サグ」というもの。
これはすり鉢状にへこんだところ(「\_/」という形状)で、勾配が急ではなく、ゆるやかなところが問題なのだ。
ゆるやかに下った後にゆるやかな登りがあるんだけど、勾配が小さいと登りであることに気づかず、アクセルを踏み込まないので自然と速度が落ちてしまうのだ!
勾配が急だと「登坂車線」なんかもあってあんまり問題にならないのだ。

これらはそれぞれ渋滞の名所に対応していて、東名下りの渋滞のメッカ、厚木インターチェンジ付近にそろっていたんだ(笑)
合流地点と言えば厚木の少し先の伊勢原バス停付近。
ここは東名高速と小田原厚木道路が合流するところなんだよね。
さらに、むかしはここまでが三車線で、この先が二車線だったので、車線数の減少による効果もあったのだ・・・。
今では車線数の問題が解消されてだいぶましになったけどね。
渋滞のトンネルと言えば大和トンネル。
渋滞情報でもいまだに「大和トンネル入口付近を先頭に・・・」というのが多いよね。
そして、「サグ」は、厚木インターチェンジ手前の綾瀬バス停付近。
ここは長らくなんで渋滞が発生するかよくわかっていなかったんだ。

「サグ」については、「この先上り坂になるので速度ゆるめるな」的な注意を促すことである程度解消できるそうなんだけど、綾瀬バス停付近は特に渋滞がひどかったので、三車線から四車線に車線数を増やしたのだ。
それによりほぼ渋滞は解消されたんだけど、逆に、大和トンネル手前でまた三車線にもどってしまうので、トンネル前の渋滞がひどくなったとか・・・。
なかなかうまくいかないんだよね(>ε<)
こうなると、車線を増やすとか、東名高速のように2つのルートに分けて分岐させて車両を分散する、さらには第二東名を作る、といった交通容量を増加させるしか手段がないのが現実。
とりあえず、自分でできるのは、「サグ」やトンネルの手前では意識的に速度を落とさないようにする、ってことくらいかな?
前の車両がそもそも速度を落としていたらそれもできないんだけど(笑)

0 件のコメント: