2013/06/15

東アジアの新機軸通貨?

7月になると日韓通貨スワップ協定の30億ドル分が期限切れになるのだ。
まだ韓国から正式に延長要請はないらしいけど、東アジア経済の最大の関心事だよね。
アベノミクスで日本経済がけっこう盛り返してくる中、急成長を遂げている中国経済にも陰が見え始め、韓国経済も停滞気味だから・・・。
でも、それ以上にボクが気になる東アジアの経済問題は「チョコパイ本位制」なのだ!

もともとは韓国と北朝鮮の合同事業である開城(けそん)工業団地が震源地(?)なんだよね。
北朝鮮内の安価な労働力を活用しようと、韓国が資本を提供して工業団地を運営していたのだ。
今は両国の緊張関係で操業が止まっているけど、北朝鮮にとっては貴重な外貨獲得のドル箱だったみたい。
正規ルートで外貨が入ってくるわけだし、自国内の工業化も進むし、メリットが大きかったのだ。
でも、この団地で働く人口の95%以上を占める北朝鮮の人には、韓国側から給与が直接支払われることなくって、北朝鮮当局が一括して受け取っているんだって。
ということは、労働者にはきちんと給料がわたっていない可能性も・・・。

そんな労働環境の中、開城工業団地に工場を持っている韓国のアパレル企業が、労働者へのおやつとして「チョコパイ」を配りだしたんだよね。
そうしたら、これが大人気で、チョコパイの配給量が少ないと労働生産力が落ちるまでの事態に!
そこで急遽チョコパイ配給にかかるガイドラインまで作成されるに至ったのだ。
北朝鮮国内の状況は推測するしかないけど、おそらく食料は不足気味で、しかも、甘いものなんて貴重品だし、ましてやチョコレートなんてなかなか庶民が口にできるようなものではないだろうから、人気が加速したと思われるのだ。
戦後日本の「ぎぶみー・ちょこれーと」にちょっと通じるものがあるのかも。

で、工場内の労働者間で争奪戦が繰り広げられるだけでなく、いったん持ち帰られて取引されるようになってきているらしいのだ。
一説にはお米1kgと交換されるとも・・・。
北朝鮮ではすでに、チョコパイは単なるおやつではなく、裏経済の中で取引される重要な物品ともなっていたのだ。
慢性的な品不足お金があっても自由にものが買えないことがあるお国柄というのもあって、北朝鮮ウォンよりもチョコパイの方が購買力が強いなんてことも。
これをネットで揶揄して、「チョコパイ本位制」なんて呼ばれ始めたんだよね。
開城工業団地が操業停止になったときには、労働者がチョコパイを求めて暴動が起きるかも、なんて思っていたけど、今のところはそういう報道はないね。
せいぜい相場が高騰しているというものくらい。
あとは虚構新聞の記事かな(笑)

このチョコパイ、日本ではロッテが販売しているのだ。
ソフトケーキの間のバニラクリームをはさみ、チョコレートコーティングしたもの。
もともとは1917年にテネシー州の炭鉱で労働者向けに売られたムーンパイというお菓子が元祖なんだって。
このムーンパイはグラハム・クラッカーにマシュマロを挟んだもので、米国南部では労働者向けの定番のお菓子になっていったみたい。
日本にもこれが伝わり、戦後の1958年に森永製菓がエンゼルパイを発売するのだ。
エンゼルパイは本場のムーンパイと同様にマシュマロを挟んでいるんだけど、かたいビスケットではなく、ふっくらしたソフトケーキで挟み、さらにチョコレートでコーティングしたものだったのだ。
これが現在まで続いているエンゼルパイで、今ではミニサイズのものもあるよ。

バブル経済が始まる前の1983年には、ロッテからチョコパイが発売されるのだ。
エンゼルパイと違って、ソフトケーキに挟むのはマシュマロではなくバニラクリーム。
これでお菓子というよりケーキ的な感じになったのだ。
エンゼルパイ側でも翌1984年にソフト・エンゼルパイとしてマシュマロの代わりにクリームを挟んだものを発売するんだけど、いつの間にかなくなっているから、むしろ差別化した方が売れる、ということなんだろうね。
今では100円ショップなんかでも見かけるけど、その廉価版は韓国やベトナム、中国でライセンス生産しているものみたい。
確かにロッテのものの方がおいしいような気が・・・。

北朝鮮で大人気のチョコパイは韓国のものだけど、韓国ではオリオン(日本の駄菓子メーカーのオリオンとは別で、コンビニなどで売っているマーケット・オーのリアルブラウニーを作っている会社)が1974年に売り出したらしいのだ。
こちらもエンゼルパイ同様に中に挟んでいるのはマシュマロ。
また、そのマシュマロを挟んでいるのも、日本のようなソフトケーキでなく、米国のものに近いやわらかめのビスケットみたい。
このお菓子は韓国でも爆発的なヒット商品らしく、メジャーな存在なんだって。
韓国映画「JSA」では、韓国軍が北朝鮮兵士に「脱北したらチョコパイが腹一杯食べられる」と脱北を促すシーンがあるんだそうけど、そこで出てくるのもこのチョコパイなんだって。

一方、韓国内でもロッテはチョコパイを販売していて、それは日本のものと同様にクリームを挟んだやわらかいもの。
でも、やっぱり韓国でチョコパイというとマシュマロを挟んだかたいもののようなのだ。
ということで、おそらく北朝鮮でもてはやされているのはマシュマロを挟んだもの。
ここに日本のエンゼルパイやチョコパイを持って行ったらどうなるんだろう?
至高のお菓子になるのか、或いは、やっぱり韓国のものでないと、となるのか。
ちょっと興味があるよね。
ボクは日本の柔らかいものの方がおいしいような気はするけど、流通にはむしろかたい方が適しているのかも。
やわらかいと「通貨の代わり」にはしづらいよね(笑)

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