2014/11/08

次は22世紀

11月5日は世にも珍しい「二度目の十三夜」だったのだ!
ちまたでもミラクルムーンとか呼ばれて話題になっていたんだよね。
東京は残念ながらくもりがちの空だったのでくっきりとは見えなかったけど・・・。
それでも、おぼろげには見えたかな。

もともと十三夜というのは日本独自のものだそうで、旧暦8月の満月である十五夜(中秋の名月)にタイして、旧暦9月に設定されているものなのだ。
十五夜の月見は中国文化圏で広く行われているんだけど、なぜか日本では十五夜と十三夜の両方の月見をする風習なんだよね。
十三夜の方は「後の月」と呼ばれ、ちょうど秋の収穫の時期にも重なって食べ頃の大豆や栗を供えたので、「豆名月」や「栗名月」なんて呼び名も。
ちなみに、中秋の名月の方は里芋を供えることがあるので、「芋名月」とも呼ばれるのだ。
なんか芋とか栗とかほくほくしてそう(笑)
あとかぼちゃがそろえば、「いもたこなんきん」で、女性の好物がフルセットになるのに!

今回二度目の十三夜が来たのは、閏月が9月に入ったため。
新暦11月5日が旧暦閏9月13日になったからなのだ。
日本の旧暦は太陰太陽暦と言われる暦法で、原則として月の満ち欠けのサイクル(朔望月=29.53日)をもとに1ヶ月を設定し、それを12回繰り返して1年とするもの。
周期が29.53日なので、30日ある大の月と29日しかない小の月をそろぞれ6回ずつ入れるんだよね。
でも、これだと1年が355日になって10日ほど足らないので、暦と季節がずれていくのだ・・・。
そこで、3年に1度くらいの割合で「閏月」を挿入して、1年を13ヶ月にして調整するのだ。
実際には、太陽暦の1年(365.2422日)-太陰太陽暦の1年(平均朔望月29.53日×12=354.36日)=10.8822日で11日弱ずれていくので、3年に1度だと入れ過ぎで、19年に7回くらいがちょうどいいんだそうだよ(10.8822×19÷7=29.5374)。

すでに太陽暦になれた現代人にしてみると、大の月と小の月って年ごとに代わることはないけど、太陰太陽暦の世界では、どの月が大の月になるのか、小の月になるのかは毎年代わるし、どこに閏月を入れるのかも毎回代わるのだ(新月の日が1日=朔日になるように大の月と小の月を調整する必要があるんだよね。)。
これは季節の巡行に合わせて暦を調整する必要があるため、季節の巡行は二十四節気などの太陽の公転を基準とした指標(太陽の黄道上の一を二十四等分したもの)を参考に、立春立夏立秋立冬などが違和感のある月に入らないようにするんだ。
なので、暦(カレンダー)は誰もが作れるものじゃなくて、政府が公式に作るものとなるのだ。
中国では各王朝が定めていたし、日本でも江戸時代は幕府が自ら天体観測などを行いつつ調整して暦を定めていたのだ(以前は中国の暦をそのまま輸入しているだけだったことも。)。
ちなみに、太陽年との差分を補正する太陰太陽暦だとこのように複雑になってしまうんだけど、季節と月の関係を一切無視して月の満ち欠けだけで暦を定めるイスラム暦のような純粋な太陰暦の場合は大の月と小の月が交互に来るだけになるんだよね。
ただし、イスラム暦9月に設定される「ラマダーン」はどんどん季節がずれていくので、夏だったり冬だったりと一定しないのだけど。

今でも太陽や月の観測と、それに基づく二十四節気の設定や月の朔望の情報提供は国立天文台でやっているんだよね。

特に立春や立秋は祝日でもあるので、その日付の設定は重要なのだ。
やっぱり国家管理が必要なんだね。
勝手に自分は今日が立春だと思ってた、と言われて休まれても困るから(笑)
それはいいとしても、暦の設定というのは租税の徴収にも関係するので、やっぱり政府が公式に定める必要があるんだよね。
租税対象期間の1年の長さがまちまちだと本当に困るから。

ちなみに、前に2度目の十三夜があったのは1843年で、これは天保14年。
今度2度目の十三夜があるのは95年後の2109年!
もうドラえもんがいる時代だね。
ということは、実は今回見逃した場合、次はまず見られないということだったのだ。
あらかじめわかっていたらもっとしげしげとながめたのに。

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