2014/12/06

黄色いじゅうたん

12月になって急に冷え込み、青々としていた街路樹のイチョウも一気に黄色く色づいたのだ。
その後に雨が降ってまたまたあっという間に葉が落ち始めているけどね・・・。
で、道にはたくさんイチョウの葉が落ちているんだよね。
これが掃除をしてのけないと、いつまでたってもそのままあるのだ。
枯れ葉って水に濡れると特にすぐに発酵して腐っていくものと思っていたんだけど、どうもイチョウは事情が異なるようなんだよね。

調べてみると、多くの落葉樹の枯れ葉は土壌中の昆虫やダニ、環形動物(ミミズなど)、カビ、バクテリアなどの分解者により腐植土になるんだけど、イチョウの葉はマツと同様に腐植土になりづらいんだって!
明確に理由が書いてあるものを見つけられないんだけど、いくつかの要因が絡み合っているみたい。
まず物理的な特徴として、イチョウの葉にはケイ素が多めに含まれていて葉っぱが硬い、というのがあるみたい。
枯れ葉は乾燥状態だとちょっと触っただけでぼろぼろとくずれるイメージがあるけど、イチョウの黄色い葉って丈夫なんだよね。
道に落ちているイチョウの葉もかなりの確率で形状をとどめているし。
ぬれてから踏まれても、ペースト状になることはまれで、乾くとさらさらの砂状になるのだ。
こういう硬い葉っぱは分解者の食物になりづらいんだよね。

化学的な特徴としては、フラボノイドやテルペノイドなどの親油性の成分を多く含んでいるってことがあるみたい。
イチョウの葉エキスっていうのが健康食品として売られているけど、こういう物質ってヒトの体内でなんらかの生理活性を示すんだけど、当然他の生物にも影響があるんだよね。
特に、抗菌物質として働いて、カビやバクテリアの増殖を抑えるような働きがあることが多いのだ。
もともと油分が多いと水がしみこまないので発酵が進みづらいというのもあるんだけど。
ちなみに、イチョウの葉にはギンコール酸というアレルギー物質も含まれているので、自分で葉っぱを集めてきて煮出したりしてお茶にして飲むというのはやめた方がいいよ!
国民生活センターも警告しているのだ。
売られているものでもあやしいものがあって、十分に除去できていないものがあるから注意が必要なんだって。

ちなみに、マツの葉も同じようなもので、やっぱり油分が多く、硬いのであまり腐植土には向かないのだ。
確かに松の木の下に落ちている枯れた松葉っていつまでもほぼそのままの形でふかふかと地面を覆っているイメージがあるよね。
一方で、この松葉は油を多く含むが故に火がつきやすいので、かまどなどに火を入れる際には着火剤として使われていたのだ。
無理に堆肥にせずとも用途があったんだよね。
でも、今ではただただゴミとして処理せざるを得ないので、細かく刻んでから油かすなどと混ぜて発酵させ、堆肥化させるなんて取組を自治体レベルでやっているみたい。
イチョウの場合も落ち葉を集めている場合があるけど、あれはどうしているのかな?
焼却処分にしているようにしか見えないから、松葉よりもさらに腐植土にするのは大変なのかも。
1年以上かければ腐植土にならぬでもない、という感じらしいんだけど。

もともとイチョウやマツは陽樹といわれるもので、生育に多くの日光を必要とする植物種なんだよね。
生体維持のための光合成量が比較的多いのだ。
なので、イチョウやマツは森を形成することはなく、林にしかならないんだよね。
これに対比する概念が陰樹で、こちらはさほど日光がなくても生育できるので、鬱蒼とした森の中の木漏れ日でも生育できるのだ。
草地に木が生え始めると最初は陽樹が増えていくんだけど、徐々に密度が上がってきて得られる日の光が少なくなってくると、陰樹が優勢になり、やがて陰樹をメインとした森になっていくのだ。
草地に生えることができるだけあって、陽樹の多くは乾燥や低栄養に強いという特徴があるんだよね。
なので、街路樹なんかにも向いているわけ。
だとすると、自分の落とした落ち葉が腐植土になって栄養になる、というサイクルを必ずしも必要としないので、落ち葉が素早く分解されてまた自分の栄養として戻ってくることよりも、葉の中に有効成分があってそれが虫食いを防ぐとか乾燥を防ぐとかしてくれていた方が有利そうなのだ。
そういう自然淘汰の結果なのかもしれないね。

とにもかくにも、物理的にも、化学的にも、生物学的にも、イチョウの葉は容易には分解されないようで。
ということは、放っておくといつまでもそのまま残るので、これがぬれると滑って危ないのだ(>o<)
街路樹のイチョウの落ち葉はちゃんと掃除して片付けないと行けないってことだね。
後は風任せでどこかに吹き飛ばされるのを待つだけか(笑)

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