2015/01/10

ローマのドリル

先日近所のスーパーで売っていたので、生まれてはじめて「ロマネスコ」という野菜を買ってみたのだ。
あの、ドリルみたいな円錐状の突起がらせん状に巻いているやつ。
ちょっと見た目は気持ち悪い感じだけど、カリフラワーの仲間なんだって。
「ロマネスコ」というのは、イタリア語の「Broccolo Romanesco」の略で、「ローマのカリフラワー」という意味なのだ。
16世紀にローマ近郊でカリフラワーの一種として開発されたという話から来ているみたい。
同時期にドイツでも栽培記録があるらしいので、イタリア発祥かどうかは定かでないみたいだけど・・・。

名前のとおり、ロマネスコはカリフラワーであって、ブロッコリーではないのだ!
って言っても、まずはカリフラワーとブロッコリーが違うことから認識しないといけないんだけど(笑)
色が異なるだけでなく、カリフラワーとブロッコリーは同じアブラナ科の植物でキャベツの親戚なんだけど、カリフラワーとブロッコリーは互いに変種なのだ(ロマネスコはカリフラワーの一種。)。
形態上の大きな違いは、花蕾(からい)の密度。
カリフラワーはものすごく密に詰まっているけど、ブロッコリーはわりと隙間があるんだよね。
これが食べたときの食感の違いなのだ。
ブロッコリーだとばらばらと花蕾がとれてくるけど、カリフラワーではあまりそういうことがないよね。

それと、この花蕾の付き方も大きく違うのだ。
カリフラワーは球状の茎にみっしりとついているんだけど、ブロッコリーは樹木のように枝分かれした先に花蕾がついているのだ。
なので、ブロッコリーでは先端の方なら茎も食用にするけど、カリフラワーの茎は固いので食用にならないのだ。
これは花の咲き方にも影響していて、どちらも放っておくとやがて花が咲くんだけど、カリフラワーの場合はほぼそのままの位置で花が密集して咲くのに対し、ブロッコリーはさらに茎が伸びて菜の花のように咲くのだ。
ちょうど葉ボタンを放っておいたときと同じような感じ。

こういう形態で比べてみると、確かにロマネスコはカリフラワーなんだよね。
味はむしろブロッコリーに違いと言われているけど・・・。
でも、形態から来る食感はやはりカリフラワーに近いので、中間的な存在と言われているのだ。
なので、分類上はカリフラワーなのに、ブロッコリーと呼ばれることが多いんだって。
栄養学的には、カリフラワーもブロッコリーもロマネスコも同じようなものだけど、ビタミンC含有量はブロッコリーが一番、カリフラワーが二番、ロマネスコが三番で、これは中間じゃないみたい。
食べ方もだいたい同じで、基本は塩茹でして食べるけど、欧米では生食もあるのだ。
裏ごししてピューレにすることもあるらしいけど、そうするとあの見た目のインパクトは活かせないね(>o<)

あのインパクトのある見た目は、自然界におけるフラクタル図形の代表選手と言われているのだ。
フラクタルというのは、拡大しても縮小しても、同じ形状が現れる自己相似なデザインが段階的に繰り返される幾何学図形のこと。
自然界ではリアス式海岸の海岸線なんかもフラクタルと呼ばれているよ。
他にも血管の分岐構造や腸の内壁構造、カタツムリの殻のらせん構造なんかもフラクタルといわれているのだ。
生物界だと、同じデザインを再帰的に適用すると自然とフラクタル図形になるので、少量の情報で大きな構造が作れる利点があるんだよね。

見た目に大きなインパクトがあるので、日本ではまだまだメジャーじゃないけど、食べてみると普通においしいのだ。
フランス料理屋イタリア料理では飾り的な意味合いで使われることも多いけど、栄養的にも味的にもカリフラワーと同等なので、慣れてしまえば普通の野菜なんだよね(笑)
特異な形状から園芸品種としても人気があるらしいけど、きれいなフラクタル形状に育てるのはなかなか大変なんだとか。
でも、市場に出回っているものはわりときれいに並んでいるから、農家の人も苦労して作っているのかな?
よくよく見るときれいにらせんに並んでなかったりするらしいけど。
何はともあれ、一度食べてみよう♪

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