2015/01/24

元気は泥の味

職場の人が韓国出張に行って、おみやげをもらって帰ってきたのだ。
自分で買ってきたものではないので、普通に見かけるお菓子とかではなかったんだよね・・・。
なんと、高麗人参エキスだったのだ!
「Korean Red Ginseng Extract」以外の文字はすべてハングルなので、そもそもどうやって摂取するのか、生のまま原液で行くのか、お湯で薄めるのかすらわからない状態(>o<)
もともとこのおみやげをもらったおエラいさんは「みんなで元気になりましょう♪」とか言って配ったんだけど、正直どうしようか扱いにこまったんだろうね(笑)

高麗人参又は朝鮮人参は、古くから知られた生薬で、よく時代劇にも万病の薬として出てくるよね。
でも、極めて高価なもので、たいていは買えないのだ。
和名では「オタネニンジン」というそうだけど、これは、八代将軍吉宗公が、対馬藩に命じて朝鮮半島(当時は李氏朝鮮)から種と苗を入手させ、その「御種」を各藩に分け与えて栽培を奨励したことに由来するんだとか。
栽培は困難で、18世紀になってやっと李氏朝鮮でその技術が開発され、すぐに日本にも伝来しているみたい。
やっぱり栽培が難しいので、国内生産しても生薬としては高価だったんだろうね。
今では全体の70%以上が中国と韓国で生産されているようだけど、実際には北朝鮮のものもあるのかな?
栽培ものよりは天然物の方が「効く」として珍重されていて、これはさらに高価なものとなるのだ。

もともと「人参」というのはこの高麗人参を指す言葉で、後にいわゆる「野菜」の「ニンジン」が舶来の野菜としてもたらされると、この高麗人参との形状の類似性から、「セリニンジン」」と呼ばれるようになったんだって。
野菜のニンジンはセリ科なので、葉の形状はセリにそっくり。
それに人参に似た根がついている、というネーミング。
高麗人参はウコギ科なのでまったく葉の形状は違うのだ。
ところが、やがて野菜のニンジンが普及し、むしろ生薬の人参よりメジャーになってくると、「にんじん」と言った場合に野菜の方を指すことが多くなってしまったのだ。
そこで、逆に生薬の方の「にんじん」を指す言葉として生まれたのが、「高麗人参」や「朝鮮人参」という言葉なのだ!
一時期は「薬用人参」という言葉もあったけど、薬事法に抵触するので、改められたみたい。
ちなみに、当初は「朝鮮人参」と呼ばれていたんだけど、戦後の朝鮮半島分断の後、韓国に配慮して「高麗」を冠するようにしたのだとか。
なかなか配慮があるんだねぇ。
ちなみに、英語名の「ginseng」は「人参」の音から来ているよ。

漢方で用いる人参は二種類で、皮をはいで天日干しした「白参」と、皮をむかずに湯通し又は蒸してから乾燥させた「紅参」があるのだ。
今回もらったのは後者の「紅参」の方のエキスみたい。
韓国では日本よりもメジャーで、生薬として使うだけでなく、煎じたものをお茶として飲んだり、栄養ドリンクのみならず、ガムや石けんにも入れたりするのだ。
ガムも石けんももらったことがあるけど、単純に泥臭いんだよね・・・。
石けんはまだいいけど、ガムはまるで口の中に泥が入ってしまったような感じになるのだ(ToT)

高麗人参の焼くよう成分と考えられているのは、ジンセノサイドというサポニン。
サポニンというのは界面活性作用のある植物成分で、抽出液はよく泡立つので、入っているかどうかがよくわかるんだよね。
高麗人参の場合、古来から慢性疲労の回復に著効と言われていて、「補気作用」があると考えられていたんだ。
漢方の世界では、気・血・水のの3つの流れが滞りなく流れている状態が健全で、それぞれの流れが滞ると病の症状が出ると考えたのだ。
「血」が一番わかりやすくて、いわゆる「血の巡りが悪い」というやつ。
「水」は血液以外の体液で、浮腫とか頻尿・乏尿なんかが症状として出てくるもの。
最後の「気」は体を巡るエネルギーのような概念で、これが充実していると「元気」で、どこかで不足してくるとそこの機能が低下していくことになるんだ。
この「気の巡り」をよくする作用が「補気作用」。
だから慢性疲労に効くというわけ。

現在では、疲労回復のほかにも、II型糖尿病(いわゆる生活習慣病としての糖尿病)や動脈硬化にも効くらしい、とわかっているのだ(詳しい作用機序は不明なんだけど・・・。)。
また、どうもEDにもある程度効果があるらしいんだよね。
だとすると、時の権力者がほしがったのもうなづけるよね(笑)
集中力を高める働きもあって、逆に不眠になることも。
これってカフェインとかの中枢興奮作用と似たようなものかな?
いずれにせよ、まさに「夜」が強くなる「滋養強壮」なのだ!

というわけで、高麗人参のありがたみはわかったんだけど、けっきょくどうしようかなぁ?
何よりまずい、というか、泥なんだよなぁ。
どうしてもつかれてつかれてしょうがないときに鼻をつまんで飲む程度かなぁ。
そこまでつかれることはまずないとは思うけど(笑)

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