2015/01/03

お正月は高級酒で乾杯

お正月の飲み物といえば、お屠蘇。
屠蘇散という生薬ミックス(百朮、山椒、肉桂、桔梗、防風、陳皮などを混ぜたもの)を日本酒又は味醂(みりん)に浸して成分を抽出したもの。
延命長寿に効果あり、というありがたい飲み物なのだ。
で、ここで気になるのが、お酒はいいけど、みりんを使うの?
みりんって、調味料じゃないんだ、ってこと。

実は、みりんはかつては高級酒だったのだ!
江戸時代なんかだと、流通経路で次第に水で薄められる清酒より、甘くてアルコール度数も高いみりんが高級酒扱いだったんだって。
西洋で言うところの、ポートワインやシェリー酒、マデラ酒と同じ。
今ではみりんを飲むということはあまりないけど・・・。
でも、みりんにさらに焼酎を足してアルコールを強めた、飲用専用のものもあって、これは「直(なおし)」とか「柳蔭」と呼ばれるのだ。
甘みを抑えるので飲みやすくなるんだって。

みりんの伝統的な製法は、蒸したもち米に米麹と焼酎を加えて、40~60日間室温で熟成させた後に圧搾・濾過して作るのだ。
ひな祭りの白酒も同じようなもので、あれはもち米に焼酎と米麹を加え、数週間後に石臼でひいて作るんだ。
できあがりが白く濁るので白酒というのだ。
どちらもアルコールを添加しているので、糀が米の中のデンプンを分解して糖化した後、あまりアルコール発酵が進まないので、糖分が多く残るお酒になるんだ。
酵母はアルコール度数が一定以上になると死んでしまうので、糖を残したまま、発酵が止まるのだ。
これもポートワインなどの酒精強化ワインと同じ作り方なんだよね。
仕上がりはだいたい14~16%くらいのアルコール濃度になるよ。

むかしはこの発酵過程で茶色く色がついてしまったけど、江戸時代になると技術が進化し、淡い黄色のみりんが作られるようになったのだ。
これが白みりんで、飲み口も甘く、高いアルコール度数で、アミノ酸などのうまみもたっぷり、というものだったんだ。
これが江戸時代後期に料理用にも使われるようになって、いつしか調味料メインになってきたのだ・・・。
みりんは酒税法上「混成酒」になるので、アルコールがほとんど入っていないみりん風調味料なんてのも出てきているよね。
過程にあるのはほとんどの場合「本みりん」ではなく、「みりん風調味料」のはずなのだ。

みりんの調味料としてのすごさは、まず甘みとうまみを加えるというもの。
 発酵過程でデンプンが分解されて出てくる糖は、ブドウ糖だけでなく、オリゴ糖なんかも含まれていて、いわゆる砂糖の強い甘さでなく、やわらかい甘さを添加できるんだ。
さらに、タンパク質が分解されたアミノ酸でうまみも加えるんだよ。
で、この糖とアミノ酸は「照り」として料理に華を添える効果もあるのだ。
全国味醂協会によると、砂糖と清酒をまぜたものではみりんの照りは再現できないんだとか。
これも様々な糖が入っているからかな?

それと、高い糖分とアルコールの作用で、煮物などでは味がしみこむのを助けるとともに、生臭みを消し、煮くずれも防ぐんだ。
なるほど、和食にはもってこいの調味料なわけだよね。
 飲用から料理用になるのもうなづけるよ(笑)
今でもお屠蘇をはじめとして、みりんを使うアルコール飲料もあるにはあるけど、あまりなじみがないよね。
そもそもお屠蘇は日本酒でのみ作られると思っているし!
お酒に弱い人にはのみやすいみたいだから、一度みりんを飲んでみるというのもよいのかも。
デザート酒としていけるかもよ。

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