2015/02/07

砂糖より甘い

コーヒーにハチミツは合うのか?、というのは個人の好みが分かれるところで、賛否両論あるんだよね。
でも、スタバなんかにはハチミツが置いてあるし、ハニーなんちゃらラテ、なんていうのもあるから、味的に合わないというわけではないんだよね。
ボクの個人的な感覚からすると、ハチミツってブラックコーヒーに入れてもあまり甘くならないので、ハチミツだけしか入れないというのはあまり選択肢にならないかな・・・。
ミルク+ハチミツが最高!、という意見がわりとあるのもそういうことだと思うけど。
で、大して気にしていなかったんだけど、ホットコーヒーにハチミツを入れてもたいして甘くならない、というのは、実は科学的に本当だったのだ!

一般にハチミツは砂糖(ショ糖)より甘味が強いとされているんだよね。
ミツバチが花から蜜を集めている段階では、その蜜の甘みは主にショ糖なんだけど、ミツバチがいったん飲み込んで、巣の中で保存していく過程で、酵素により化学変化が起きているのだ。
二糖であるショ糖は分解され、単糖であるブドウ糖と果糖に分解されているんだ。
ブドウ糖(=グラニュー糖)はショ糖より甘みが少ないんだけど、果糖はショ糖より甘いのだ。
ショ糖の甘みを100とした場合、ブドウ糖は65~80、果糖は120~170なので、ショ糖を分解してブドウ糖と果糖が1:1で混ざっている状態になったとすると、ショ糖より1.2倍くらい甘くなるんだよね。
このため、ハチミツの方が砂糖より甘いのだ。

ところが、この果糖は冷やした状態だと甘いんだけど、高温になると甘みがなくなるという性質があるんだよね。
具体的には40度以下ではショ糖より甘くなるけど、この温度を超えるとショ糖より甘みが弱くなるのだ。
したがって、ホットのブラックコーヒーにハチミツを入れてもたいして甘みを感じない、ということになるわけ。
逆に、冷たくすると甘みが強くなるので、果糖を多く含む果物は冷やした方が甘くておいしくなるのだ。
一般に果物を冷やして食べるのはこのためだよ。
確かに、スイカは冷やして食べないと甘みが薄いような・・・。

このハチミツのような状態を人工的に作り出したのが転化糖というもの。
ショ糖は、賛成条件下で加熱するか、インベルターゼという酵素を作用させて加水分解るとブドウ糖と果糖に分解されるんだけど、ジャムを作る過程では、もともと果汁中に含まれるクエン酸やアスコルビン酸(ビタミンC)によってショ糖の加水分解が進み、自然に転化糖になるんだよね。
なので、ジャムは大量に砂糖を使って作るけど、それ以上に甘くなっているんだ!
砂糖を抑えたジャムでもけっこう甘くなるのはこのため。

完全に分解するには酵素を使った方がいいみたいだけど、家庭でも簡便に転化糖を作るためには、1kgの砂糖に1gのクエン酸を加えて20分くらい加熱しながらシロップを作ると、ほどよく転化糖が混ざったものになるみたい。
レモン汁なんかでもいいみたいだけど、このシロップだと、冷めても砂糖が結晶化しない(白く固まらない)し、酸味も感じない程度のものになるんだって。
家でアイスコーヒー用のシロップを作る際には参考になるね!
なかなか自分で作ろうとは思わないけど(笑)

転化糖の場合、カロリーを抑えて甘みを強くできるので、微糖やカロリー控えめと銘打った食品に使われることが多いのだ。
その視点で見ていくと、転化糖でなく、異性化糖というのも出てくるんだよね。
これもブドウ糖と果糖が混ざったものなんだけど、ショ糖を分解するのではなく、デンプンをアミラーゼという酵素を使ってブドウ糖に分解し、さらにそのブドウ糖をイソメラーゼという酵素を使って果糖に変化させたものなのだ。
さらに、処理後に濾過やイオン交換などで精製し、水分を蒸発させると、42%の果糖を含むブドウ糖液になるんだって。
このあと、さらに果糖の比率を高める加工もできるのだ。
サトウキビやテンサイから砂糖を作るよりも安価に砂糖より甘いシロップが作ることができるので、キューバ危機後の米国で普及し、主に清涼飲料水の甘味料として広まったんだって(キューバ危機以前はキューバから砂糖を輸入していたので、一気に砂糖不足に陥ったのだ。)。
もともとは通商産業省工業技術院(現在は独法化されて産業技術総合研究所)の研究成果で、国有特許の輸出第1号なんだとか。

この異性化糖(又は、高フルクトースコーンシロップ)は、安くて甘くていいんだけど、肥満の大きな原因になるともいわれているんだよね。
米国人はコーラを始め、甘い飲み物を大量に飲むイメージがあるけど、その甘みのもとがこの異性化糖なんだよね。
砂糖を使うよりはカロリーは控えめのはずなんだけど、血糖値の制御機構に悪影響があると考えられているのだ。
ステビアとかサッカリンとかアスパルテームとかの人工甘味料も同じなんだけど、末梢組織で直接取り込まれて消費されるのはブドウ糖だけで、転化糖・異性化糖に含まれる果糖はすべて肝臓で代謝されるんだよね。
このため、血糖値をコントロールしているインスリンの制御機構から外れてしまうのだ。
ハチミツをたまに食べる、ジャムを食べる程度ならよいのかもしれないけど、恒常的に甘い飲料を飲むようになると、甘みを摂取しているのに血糖値が上がらない変な状態が続くことになって、コントロールがおかしくなるのだ。
さらに、果糖は肝臓で代謝され、中性脂肪としてたまっていくので、肥満を助長すると考えられているんだよね・・・。
表面上のカロリー控えめにダマされてはいけないというわけか。
やっぱり、ダイエットを考えるなら、コーヒーはブラックで飲むべきだね(笑)

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