2015/05/30

今から年末を見越して緊急輸入

今年度も昨年度に引き続いてバターの緊急輸入が決まったのだ!
去年なんかはスーパーでバターの品切れが続出したよね。
今年も品薄状態が続いていたようだけど、いよいよクリスマスの大規模需要に向けてかなりの不足が出そうなので、農林水産省が緊急輸入を決めたようなのだ。
って、なんでそんなことになるのか、ちょっと調べてみたよ。

乳製品の中でも貯蔵性の高いバターと脱脂粉乳が対象なんだけど、国内の酪農を守るために高い関税率が設定されているようなのだ。
でも、バターなんかは国内生産量では国内需要を満たせないので、国で一元的に輸入する枠と、民間が一定量の枠内で低関税で輸入する枠を組み合わせて輸入しているのだ。
「緊急輸入」というのはその枠を超えて輸入するということ。
一義的には国内の生産業者に安定供給に努めるよう要請をするんだけど、これがなかなかうまくいかないんだよね。

原因は、原料となる生乳(せいにゅう)の不足。
「生乳」というのは乳牛から搾り取った「乳」そのもののことで、これを原料に、牛乳や生クリーム、ヨーグルト、チーズ、バターなどなどの乳製品が作られるのだ。
国内では、酪農家を含む農家の高齢化が進むとともに、円安の影響もあってえさ代や燃料費が高騰して、廃業する酪農家が増えているのだ(>o<)
加えて、国内の牛乳の消費減もあって、平成18年度から生産調整として乳牛の数が減らされているのだ・・・。
そのせいで生乳の生産量が減り、慢性的にバターが不足するようになってきているんだ。
ここにきて、輸入元の海外で悪天候などにより生産量が減ると、一気に店頭から消える、という事態につながるみたい。

特に、バターは生乳生産量の減に過敏に反応するのだ。
というのも、生乳の振り分けは、貯蔵性の低い牛乳や生クリームが優先され、貯蔵性の高いバターと脱脂粉乳は後回しにされるため。
他の乳製品が先取りで、残った分でバターや脱脂粉乳を作るという「調整弁」的な加工品になってしまっているのだ。
しかも、牛乳や生クリームに加工した方が高く売れることもあって、生乳生産側としても、積極的にバターや脱脂粉乳に回そうとはしないのだ。
そのため、ただでさえ生乳が不足していても、牛乳は生産過剰でバターが不足みたいなことが起こっているようなんだよね。
まさに、構造的な変革がない限り、バター不足はいつでも起こり得るような状況になっているのだ!

しかも、緊急輸入されるバターの多くは業務用。
なので、一般家庭にすぐに回ってくるわけではないんだ。
国内のバター生産の割合を家庭用バターに多めに振り分け、輸入したバターを業務用に回すわけ。
なので、輸入してからしばらくたたないと一般家庭にはバターが回ってこないのだ(生産から流通まで4週間ほどかかるそうなので、1ヶ月のタイムラグが発生するのだ。)。
しかも、完全に生乳が不足している場合はバターの生産自体が滞るので、そもそも家庭用バターは増えないんだよね・・・。
というわけで、今回のように近い将来の需要増を見込んであらかじめ輸入を決めておかないと大変なことになるというわけなのだ。
もう農林水産省としても例年のことになりつつあるので、予測になれてきているのかもしれないけど。

そして、輸入するにしても、現在はバターの国際価格が不安定なんだとか。
中国での消費増の影響で、バターの価格は乱高下するようなのだ。
なので、緊急輸入みたいに踏み切ると、足下を見られて高く売りつけられるおそれも。
それと、海外でも需要が伸びるシーズンがあるので、その前に買わないと高いだけじゃなくて手に入らなくなるのだ。
そういうこともあって、完全に輸入に頼るのも危なくて、国内生産量を維持しておく必要もあるんだよね。
なかなか複雑な問題なのだ。

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