2015/08/08

紅顔の美少年?

国立感染症研究所の発表によると、「リンゴ病」の報告数が例年を大きく上回るペースになっているそうで、流行の兆しを見せているとか。
手足口病も同様で、厚生労働省として注意喚起を呼びかけているのだ。
どちらも子どもの病気というイメージがあるけど、大人が感染するとより重大な症状が出るので危ないんだって・・・。
で、調べてみると、「リンゴ病」というのはけっこうとんでもない病気であることがわかったのだ!

「リンゴ病」というのは通称で、疾患名は「伝染性紅斑」というみたい。
伝染する疾病で、紅斑が特徴的だから、ということなんだけど、安直な名前の割に難しいよね。
「リンゴ病」という名称は、子どもが感染したとき、ほっぺたが真っ赤に腫れるところからついた名前で、特徴をよく捉えているんだよね。
でも、大人が感染した場合は多少赤くなる程度で、真っ赤になるわけではないみたい。
なので、自分が「リンゴ病」にかかっているかどうかがよくわからないのだ。
もうひとつの特徴としては、網目状の赤い発疹(紅斑)が腕や足に出てくるので、それもひとつの目安。

これはヒトパルボウイルスB19による感染によって引き起こされる疾患で、かつては風疹の一種と考えられた時期もあったんだけど、流行の時期の違いや、症状の進行の違いなどから別物であることがわかり、ウイルスレベルで同定したら全く異なるものであることがわかったのだ。
このウイルスには、ネコに感染するものやイヌに感染するものなどもあるよ。
感染経路は飛沫感染なんだけど、2mくらいしか飛距離がないので、よほど近づいていないともらうことはないのだ。
でも、おそろしいのは、頬の発赤や体の発疹が現れる前の、自覚症状がないときがウイルス排出のピークになっていて、知らないうちにウイルスをまき散らしている可能性が高いということなのだ。

感染してからの潜伏期間は5~6日で、その後軌道経由でウイルスが外に出てくるんだけど、実はこのころは体に明確な症状は出てこないのだ・・・。
成人だと多少発熱や悪寒などがある場合もあるけど、多くの場合は気づかずに過ごしてしまい、その後1週間くらいは無症状期間が続くんだ。
ところが、ウイルス排出が落ち着いたあたりで発赤・発疹が始まり、自分が病気にかかっていることがわかるのだ。
なので、病気になってることがわかってから患者を隔離しても手遅れで、すでにウイルスはまき散らされているんだよね。
これが一度流行してしまうとなかなか沈静化できない理由なのだ。

子どもの感染の場合は症状が軽いことが多く、ほっぺたが赤く腫れるくらいで発熱もないことが多いんだけど、成人は重症化することが多いのだ。
発熱や頭痛、関節痛が出るらしいんだけど、どれもきついらしいんだよね。
あまりの痛みに起き上がることが困難になる場合もあるとか。
さらに、子どもなら1週間かそこらで回復するんだけど、大人だと1ヶ月近く引きずることもあるそうで。
いやあ、おそろしい。
リンゴ病に特異的な治療方法はないので、基本は対症療法であまりにも熱や痛みがひどい場合に解熱鎮痛薬を使うくらい。
安静にしてただただ自然治癒力に頼ることになるのだ。

症状が出ていない時にウイルスがまき散らされるので、どこでウイルスを拾ってきているかはわからないんだけど、子どもの間で流行しているときに近づくのは危険なのだ。
母親が看病しているときに一緒に罹患することも多いらしいけど、これも子どもに症状が出てからもらっているというよりは、一緒に行動している間のどこかでもらっている場合が多いと思うのだ。
特に気をつけないといけないのは妊婦さんで、このウイルスは母子感染(垂直感染)をして、胎児に悪影響を与えることが知られているんだ。
ひどい場合は胎児水腫になって、流産や低体重出産により胎児の生命の危機につながるおそれもあるとか。
二人目を妊娠しているときに上の子の同世代でリンゴ病がはやっているときなんかはよくよく注意しないといけないんだよね・・・。

というわけで、調べてみるとおそろしい病気であることがよくわかるのだ。
職場にも謎の高熱と倦怠感で休んでいた人がいるんだけど、ひょっとしたら・・・、と思ってしまうよね。
特に、本人に自覚症状がないときにウイルスをまき散らしているというのがこわいよ。
今のところ大丈夫だけど、何もないことを祈るばかり。

0 件のコメント: