2016/02/06

製法が大事!?

文部科学省が定期的に改訂している「日本食品標準成分表」で衝撃が走ったのだ!
これは、カロリー計算やビタミンやミネラルなどの栄養素量の換算の基礎データになるものなんだよね。
料理のレシピで、塩分量が○○、カロリーが○○というのはこの表のデータから算出している例が多いのだ。
(逆に、そうでないと個別に熱量や成分を分析しないといけないから・・・。)
で、ニュースなどで話題になったのが、「ひじき」の鉄分量。
今時改訂から大幅に減ったんだよね・・・。

よく、鉄分が不足している場合は、ほうれん草やレバー、ひじきなどを食べましょう!、と指導されてきたけど、それが根底から変わるわけ。
スーパーで売っている乾燥ひじきを食べてもあまり鉄分が補えない可能性があるのだ。
学校給食とか病院食とかは栄養のバランスをすごく気にしているから、ひじきで鉄分がまかなえないとつらいかも。
女性の場合は特に鉄分の摂取が重要だから、気をつけないといけないよね。

その原因というのも明らかになっているから、今回大きく報道されているのだ。
それは、乾燥ひじきの製造過程で鉄釜が使われなくなったから。
ひじきは鉄鍋でにられてから乾燥させることで、鉄分が豊富になっていたのであって、海の中にある状態では鉄分が豊富なわけではなかったのだ!
ほうれん草とは違うわけだね。
なので、どうやって加工されたひじきかが重要なんだ。

近年では、さびにくくてメンテナンスが容易なのと、鉄より軽いのとで、ステンレス製の釜が使われるようになったんだって。
鉄の釜を使っていたときは、ひじきをにている間にその煮汁の中に鉄分が溶け出して、それをひじきが吸収していたんだけど、ステンレスの場合は鉄分の溶出はないので、本来ひじきが「地力」で持っている鉄分しかないわけなのだ。
実は、一般生活でも同じようなことが起こっていて、鉄のフライパンや鍋、鉄瓶・鉄のやかんなどが使われなくなったので、かつてに比べると意識して鉄分を摂取しないとダメになってきているんだよ。

鉄は熱伝導性も高く、加工しやすいので、古来より鍋や釜などに使われてきたんだけど、とにかく重いんだよね。
しかも、さびやすいのでメンテナンスも手間がいるのだ。
フライパンや鍋の場合は、油のなじみがよいことと、中華鍋のように重いことがかえって意味があることもあるので、業務用では使われているけど、一般家庭ではなくなりつつあるよね。
アルミなら、熱伝導性が高くて加工もしやすく、さびにくく軽いのだ。
かつては視点レスは熱伝導性が悪いので火にかける調理器具にはあまり使われなかったけど、「全面多層鋼」といって、ステンレスの間に鉄のような熱伝導性の高い金属をサンドイッチしたような材料にすることで、それを克服したのだ。
なので、ある程度の大きさが合ってアルミでは強度に問題が出るような場合は、ステンレスが使われるようになったのだ。
ひじきを煮る釜もそれでステンレス製に置き換わっているんだ。

はっきり言って、ひじきの加工業者さんもいまさら鉄釜に戻すわけにもいかず、正直困惑しているみたい。
今後は「鉄釜で煮ました」とか「ステンレス釜で煮ました」という標記が加わるようになるかもね。
でも、そうなると、「鉄釜」のやつばかりが売れてしまう可能性があるので、業界としてはつらいかな?
けっきょく、鉄の釜に戻すか、ステンレスの釜で煮るんだけど、煮るときに「鉄卵」みたいなのを入れて鉄分を補給するとかしないといけないもんね。
いずれにせよ、ひじき加工は何かが変わるはずなのだ。

そういうわけで、現代人は普段から鉄分の摂取により気をつけないといけないのだ。
鉄分は2価の鉄イオン(Fe2+)の状態で吸収されることから、よくビタミンCと一緒に摂取するといいと言われているよね。
それよりも簡便な方法は、お茶などを飲むときに鉄瓶で沸かしたお湯を使うとよいのだ。
鍋とかだと重いと料理が大変になるけど、お湯を沸かすやかんくらいならたいして気にならないからね。
地が頃ではカラー南部鉄瓶が海外で流行していたりするけど、日本でも鉄瓶にまた注目が集まるかも。

0 件のコメント: