2016/04/09

節税は合法的に

パナマ文書というのが出てきて、世界中が大騒ぎになっているのだ!
日本はそうでもないのだけど・・・。
これは、パナマの法律事務所に蓄積されていた文書が流出したものらしいんだけど、そこに出てくる名前がすごいんだよね。
サッカーのメッシや映画俳優のジャッキー・チェンなどの一般の人もよく知っているような名前もあるんだけど、それ以上に衝撃的だったのが、各国の権力中枢にいる人たちにつながる名前。
アイスランドは首相の名前が、英国は首相のお父さんの名前が、中国は国家主席の親戚の名前が・・・。
本当の意味でのビッグネーム。

では、なぜ中米の小国であるパナマの法律事務所にこういう人の名前が出てくるのか、ということなんだけど、そのキーワードが「タックス・ヘイヴン」なのだ。
日本語では「租税回避地」とも呼ばれるよ。
英語の「haven」は「避難所」の意味。
仏語では、「paradis fiscal」で「財政の天国」という名称なので、英語名も「天国(heaven)」と間違えガチだけど、「ヘイヴン(haven)」なのだ。
ま、一言で言うと、税率の低い地域にペーパーカンパニーを作って、あたかも事業収益がその会社によって上げられているようにすることで、租税負担を軽減しようとすることなのだ。

もともとは英国の首都、ロンドンの中心地であるシティ・オブ・ロンドンの金融特区で一定の租税軽減や外国法人の場合は法人税が免税などの優遇措置をとっていたんだけど、これが広まったものとか。
もともとは金融センターにするための措置なんだけど、主要産業と呼べるようなものがない国では、これをやることで外国資本を呼び込むことができるのだ!
パナマは中南米の金融センターになっているんだけど、こういう優遇措置があることも大きいんだよね。
国際社会で活躍するグローバル企業にとっては、本社がある創業地は事業上は必ずしも重要拠点でなかったりするし、国際取引なんかをしているわけなので、一番税金が安くてすむ方法で済ませたいと思うよね。
それで、タックス・ヘイヴンと呼ばれる地域に会社を興し、そこが収益を上げているように経理をするのだ。

タックス・ヘイヴンの一形態として、「船籍貸し」というのがあるんだよね。
日本企業の船のはずなのに、船籍がリベリアとかパナマだったりすることがあるのだ。
これは「便宜置籍船」と呼ばれるもので、船主は船籍という形に国に所有船を登録し、権利と義務が発生するのだけど、この義務の中には納税義務もあるのだ。
で、外航海運なんかをしている場合は、別に日本に船籍がある必要性がなかったりするので、税金が安い国に船の管理会社を設立し、そこで船籍をとるのだ。
これが事業所得全体に係る税に対して行われているのが、今回問題視されている租税回避だよ。

各国も対抗措置はそれぞれ考えていて、日本の場合は、日本より法人税率が低い地域で租税回避が行われる場合、一定の条件を満たす日本企業(内国法人)の子会社となる外国企業(外国法人)には、両国の税率の差額分だけ課税したりするようなのだ。
でも、こういう対応はいたちごっこで、次々といろんな手法で回避がなされるので、万全の対応ができているわけじゃないんだって・・・。
日本の場合は、累積赤字の企業は法人税免除になるので、経理上収益が上がっていないように工夫する、という節税のやり方も・・・。
いろいろと税金を払わなくてすむようにする方法を考える人が多いんだよなぁ。

で、民間企業や一部のお金持ちが脱法まがいの「節税」でタックス・ヘイヴンを使うのはまだよいのだけど、問題はそれだけじゃないんだよね。
実は、この方法はマネーロンダリングにも使えて、国家の監視を外れて資産を形成することにも使えるので、マフィアやテロ組織などのよからぬ団体・組織にも使われている可能性があるのだ・・・。
そうなると、できるだけ事前に取り締まって、取りこぼしを見つけたら追徴課税で対応、というだけではすまないんだよね。
しかも、今回リークされた文書の中にあるのは、政治家の名前。
国民に対しては増税を求めたりするくせに、よからぬ団体の闇金と同じ手法で隠れ資産を築いているということ!
これは大問題だよね。
実際、アイスランドの首相は辞意を表明したのだ。

日本の政治家はもともと英語が苦手だからなのか名前が出てこないけど、世界各地の政情に大きなインパクトを与えている事件なんだよ。
ものすごい大量の文書なのでまだ見切れていないだけで、詳しく調べると日本にもスキャンダルがある可能性も・・・。
この世界的な疑獄事件で、国際情勢はどう変わることやら・・・。

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