2016/07/16

尊皇で譲位認める?

今上陛下が生前大意の御意向を示された、という衝撃的な報道があったのだ!
すなわち、御自身は退き、皇位を皇太子殿下に譲るということなのだ。
でも、今の皇室制度の基本的な事項を定めた法律である「皇室典範(昭和22年法律第3号)」には「譲位」や「退位」に関する規程はないので、どうするのか?、という話になっているんだよね。
場合によっては皇室典範の改正が検討されるわけだけど、そうなると、秋篠宮家に悠仁親王殿下がお生まれになってから下火になっていた「女性天皇」問題が出てくるのだ・・・。
どうせ皇室典範を改正するなら、それも含めてやればいいと。
すでに宮内庁次長は「そのような事実はない」と否定しているのでどうなるかわからないけど。

もともと「譲位」自体は珍しいことではなく、我が国ではよく行われていたことなのだ。
最初は持統天皇というから飛鳥時代。
最後は江戸時代の光格天皇だって。
退位した前天皇は「太上天皇」、略して「上皇」と呼ばれ、この上皇が政治的な実権を握り続けると「院政」になるのだ。
持統天皇以前にも生きている間に皇位を譲った例はあったようなんだけど、まだそのころは「上皇」という言葉がなかったので、数に数えられていないみたい。
で、今回も仮に「生前退位」が可能となれば、敬称は「太上天皇」とか「上皇」になるんじゃないかと言われているんだよね。

報道では、今の皇室典範が対応できていない、と言われているけど、実は、明治時代にできた旧皇室典範でも「譲位」や「退位」に関する規程は存在していないのだ。
明治維新の後の皇室制度改革にはいくつか特徴があるんだけど、そのひとつが、皇位継承権の順序問題。
明確に直系・嫡系の長男が皇位継承順位第一位に位置づけられ、皇位継承権は男系男子の皇族に限られることとなったのだ!
古代にはそれこそ最初の上皇になった持統天皇をはじめ、女性天皇もいたわけだけど、明治以降は男性天皇しか認めなくなっているんだよね。

もうひとつは、「一世一元の制」。
これは、先代の天皇が崩御され、次代の天皇が践祚・即位されたときに改めて元号を建て、当代天皇の在位中は改元をしない、というもの。
つまり、天皇と元号は1対1で対応させる、ということなんだよね。
かつては自然災害のような凶事や瑞祥が見つかった吉事があると改元されたんだけど、それがなくなったんだよね。
で、「生前退位」が可能となった場合、普通の感覚だと改元するんだけど、その扱いをどうするかを一応議論する必要があるんだよね。

旧皇室典範では元号についても規程があったんだけど、現在の皇室典範からは元号に関する部分はなくなっていて、代わりに「元号法(昭和54年法律第43号)」という法律に規定されているのだ。
これは法律の中でももっとも条文が文字開放率として知られているもので、1条のみなので「第○条」ではなく「第○項」だけでできているのだ!
第1項は「元号は、政令で定める。」、第2項は「元号は、皇位の継承があつた場合に限り改める。」。
これに附則がついたものだよ。
もともと昭和帝の高齢化により、次の元号をどうするんだ、と考えたときに、皇室典範からその規程が削除されてしまっていたので、元号の法的根拠を設けるために作られた法律なのだ。

ここで言う「皇位の継承」は皇室典範と同じなので、「生前退位」する場合の「譲位」も「皇位の継承」という概念に含めてしまえば改正の必要はないし、「皇位の継承」とは別に「皇位の禅譲」みたいな概念を新たに作るなら、こちらも改正しないといけなくなるはず。
明治以来の皇室典範の作りとして、生前に譲位が行われることを想定していないので、皇位継承が先代天皇の崩御以外の場合に存在し得るのかどうかはよくよく検証しないといけなさそうなのだ。
今の皇室典範は法律になっているしね。
はてさて、どうなることやら。
ただ、あのお年にして御公務は非常に多忙を極めているので、御意向(大御心)は最大限尊重すべきと思うんだけどねぇ。

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