2016/07/30

土用の食べ物といえば

夏の土用がやってきたのだ。
今ではコンビニでもウナギが売っているよね。
しかも、夏の土用だけでなく、最近では秋でも冬でも土用になるとウナギを売っているような・・・。
でも、実は夏の土用のウナギというのは、江戸時代に平賀源内さんが生み出したキャッチフレーズといわれていて、真夏の暑い盛りに精のつくものを、ということで広まったものなんだよね。
むしろ、もっと伝統的な土用の食べ物があるのだ!

それは、「土用餅」。
京都や加賀に残る風習なんだけど、土用の入りにあんこでくるんだおもちを食べるんだよね。
これが夏ばてを防ぐと考えられていたのだ。
お彼岸にはぼた餅やおはぎを食べるけど、こっちはお米の粒が完全につぶしていない状態であるのに対し、土用餅は完全に搗いたおもちなのだ。
赤福餅みたいなものだよ。

土用というのは、立春・立夏・立秋・立冬の四立の前に置かれる2週間強の4つの不連続な期間の総称。
陰陽五行説では、季節は5つに分かれていて、東西南北に対応した春夏秋冬と、中央に配される土用があるのだ。
各季節の移り変わりの時期に置かれるのが土用で、節分の時期に一致するのだ(節分は四立の前日だから。)。
特に、夏の土用は、これからぐんぐんと暑くなっていく立夏の直前の時期で、真夏の暑い盛り。
なにがしかの願掛けみたいなのがあっても不思議じゃないよね。

土用餅よりさらにさかのぼると、宮中行事で似たようなのがあったみたい。
それは、夏の土用にガガイモの葉から煮出した汁で餅粉を練って団子を作り、味噌汁に入れて食べる、というもの。
この団子部分だけが残って、後に土用餅になるみたい。
なぜあんこでくるむのかはよくわからないけど、おそらく、小豆は「魔除け」の効果のある神聖な食物と見なされていたことと関係があると思われるのだ。
赤飯とかもそうだよね。

もともと「朱」の色には魔除けの効果があると考えられていて、だからこそ神社の鳥居や社殿を朱に塗るわけだけど、これは、朱という色の顔料である「辰砂」の性質が絡んでいると思われるんだよね。
辰砂というのは硫化水銀を含む鉱物で、赤とオレンジの中間的な色なんだよね。
当然水銀化合物なので、この水銀の入った含量である朱を塗ると、害虫や腐食を防ぐのだ。
これがおそらくい「魔除け」のイメージにつながっていくんだよね。
で、同じような赤い色を出す小豆も神聖視されてくるというわけ。

ここまで来ると小豆自体が魔除けの効果を持つように信じられるので、神の依り代ともなるおもちを魔除けの小豆あんで包み、それを食べることで自分を神と一体化し、魔除けの効果を取り込む、という発想になるのだ。
夏越しの祓えの前日に食べ、穢れを祓って残り半年の無病息災を祝うという水無月も小豆あんだよね。
これも京都の伝統的なお菓子だけど、三角形の外郎(ういろう)の上に小豆のあんこがのっているのだ。
三角の外郎は氷のイメージで、冷たさと魔除けを体に取り込もうということみたい。

というわけで、何か悪いことが怒りそうなら小豆あんを食べようってことだね!
ボクはもともと好きだからけっこうな頻度で食べているけど、それでけっこう守られているのかな?

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