2016/10/08

談合(?)の結果

パリに来てからは、仏語がわからないというのもあって、毎日BBCワールドニュースを見ているんだよね。
で、いやになるくらいトランプおじさんが出てくるのだ(笑)
でも、きのうはちょっと違って、別の人の良さそうなおじさんが出てきたよ!
何かと思ったら、国連の事務総長選のニュースだったのだ。
そう、ポルトガルの元首相で、国連難民高等弁務官を務めたこともある、アントニオ・グテーレスさんが次期の事務総長に事実上決まった、という話だったのだ。

で、気になったのが、どうやって事務総長を選ぶのか、というスキーム。
ちょっと調べても、日本語で簡単に説明したものが見つからないんだよね(>o<)
で、英語のページとかも見つつ、自分なりにまとめてみたのだ。

まず、国連憲章上では、事務総長は総会で任命することになっているんだけど、「安全保障理事会の推薦」を踏まえることになっているのだ。
これまでの総会では、安保理が推薦した人を否決したことはないので、事実上安保理で決められているというわけ。
で、この安保理の議論の中身というのはなかなか表に出てこないので、事務総長選出のプロセスが不透明だと批判を受けているんだよね・・・。
しかも、安保理として誰を推薦するかを決めるということは、5つの常任理事国が拒否権を発動してはいけなということと同じ。
つまり、米英仏露中のどこかの国に不評な候補は事務総長には選ばれないのだ!

それでは、安保理で決めるまでにどうやって候補を絞り込んでいくかというと、ストロー・ポールと呼ばれる模擬投票が繰り返されるんだ。
事務相当は地域のローテーションで回すことが寒冷化していて、次はだいたいどのあたりから選ばれる、というのがあるんだけど、そうすると、その地域の中でこの人という候補が出てくるのだ。
今回はさらに初の女性事務総長を、と言って女性候補が注目されていたけどね。
で、事務総長が当たりそうな地域はそれぞれに独自の候補を探して、立候補させた上で、非常任理事国を含む安保理のメンバーに働きかけ、というか、票集めのための工作をしかけるのだ(笑)

もの模擬投票では、支持、不支持又は意見なしのどれかを投ずることになっていて、一応は、どの国がどの票を入れたかはわからないようになっているんだ。
なので、「票読み」というのがあって、ブラックボックスなんだけど、あそこの国は不支持を入れている可能性があるので挽回しなきゃ、みたいな水面下の動きを活発化させるわけ。
当然、常任理事国が不支持を入れたんじゃないか、とわかると、その候補はほとんど選ばれる可能性がなくなるんだよね・・・。
ひとつの不支持でも、それが常任理事国だったらだめなのだ。

この模擬投票を繰り返していって、不支持が多い候補が脱落していき、候補が絞り込まれていくんだよね。
今回はなかなか絞り込みができなかったようだけど、6回目の投票で、グテーレス候補が不支持なし、意見なし2、残りは支持という結果になったので、事実上決まったのだ。
実際には、この最後の模擬投票の翌日に安保理で決議をして、安保理としてグテーレスさんを事務総長候補に推薦する、と正式に決定しているみたい。
それが今度の国連総会で諮られ、きっとそのまま承認されるのだ。

このように、ただでさえ議論が見えない安保理が決めていて、しかも、その絞り込みの模擬投票は匿名で行われていて、各候補陣営は表に裏にと票集めの働きかけをして、と、きわめてポリティカルな過程を経て選ばれるんだよね。
確かにこれは不透明だ(笑)
一応、事務総長を選ぶ手続も含めて、安保理を改革しようという動きはあるみたいだけど、常任理事国の思惑もあるし、なかなかうまくいかないみたい。
しかも、こういうプロセスで選ばれる事務総長が、その動きに対して本当にイニシアティブを発揮できるかどうかは微妙だよね。

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