2016/12/10

パリでアジアの味を

パリは人種のるつぼなので、フランス料理以外にも各国料理がいろいろあるのだ。
その中でも、数的に目立つのは、中東風のケバブ、中華総菜、レバノン総菜、そして、寿司・焼き鳥。
ケバブは欧州の至る所で見かけるらしいので、パリに限ったことではないのかもしれないけど、パリを代表するファストフードになっているよ。
レバノンはもともとフランスの移民統治領だったこともあって、多いみたい。
街中でよくレバノン杉の国旗を見かけるよ。

ここで注意したいのは中華総菜。
多くの場合、「chine(中国)」とは書いてなくて、「asiatique(アジア風)」と書いてあるのだ。
確かに、生春巻きとか、ブン(ベトナムの米粉の細麺)、フォー(ベトナムの米粉の平麺)、タイ風サラダなどなど、中華の枠内には収まりきらないものが売っているんだよね。
どうも、これらの店の多くは、旧仏領インドシナ、すなわち、ベトナムやラオスの出身者がやっているらしいのだ。
フランスが最初に大規模に中華系移民を受け入れたのは第一次大戦後らしいんだけど、ベトナム戦争の前後になると、統一ベトナム主義による迫害から逃れてきたベトナム系難民の多くがフランスに流入し、その人たちが住み着いたらしいのだ。
で、おそらく、この人たちがそういう総菜屋をやっているんだよね。
それもあって、エスニックな味付け(甘酸っぱ辛い)やコリアンダーの多用など、日本で言う中華とはまた違った味わい。

パリ市内にも中華街と呼べるような場所があるんだけど、その中でも有名な、パリ南東部(13区)のプラス・ディタリ(Place d'Italie)は、ベトナム・ラオス出身の人たちが集まって作った中華街。
なので、中華食材のみならず、東南アジアっぽいものが並ぶよ。
乾麺のフォーやチリソース、ライスペーパー、ニョクマムなどなど。
最初に来た中華系移民は主に広東省から来たので、今でも炒飯のことは「riz cantonais(広東風ライス)」と呼ぶんだよ。
ベトナム・ラオスからの移民の後からやってきたのは浙江省や旧満州の人たち。
でも、この人の「風味」をあまり感じることはないかな。

一方で、この中国の人たちが何をやっているかというと、日本食レストランをやっているのだ・・・。
日本食と言っても、サーモンの寿司と焼き鳥くらいしか置いていないものが多く、最近は、日本風ラーメンと称する、日本のラーメンとはまた違った麺類を出す店もやっているみたい。
パリに人たちはそれが「日本食」と思っているのかもしれないけど、これは誤解につながるんだよなぁ(>_<)
もちろん、ちゃんとした和食の店もあるにはあるけど、多くは高級な店なので、庶民は知らないのだ。

じゃあ、日本人は何をしているかというと、フレンチの店を出しているのだ(笑)
最近パリでは日本人シェフのレストランが増えているんだよね。
パティスリーではサダハル・アオキなんかもあるし。
自分の腕が本場で通じるか試したいのかな?
こういうところのフレンチは、日本の食材を使ったり、日本風のアレンジであっさり目立ったり、より素材の味を活かすような調理法だったりするわけ。
フランス人からしたら亜流に見えるのかもしれないけど・・・。

というわけで、パリのアジア人によるレストラン事情は錯綜しているんだよね。
ボクはエスニックな味が好きなので、むしろ、きちんとベトナム料理がおいしアジア総菜店を見つけているのだけど、日本で食べるような中華を期待するとがっかりすることもあるのだ。
何事も、背景とか知るとまたtがった見え方があるものだよね。

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