2016/12/17

第三の米?

フランスで米と言えば、細長いインディカ米(長粒種)がメジャーなんだよね。
日本人以外は粘りけの少ない米を好む傾向があるんだとか。
っていうか、日本式の米(ジャポニカ米、短粒種)は、日本、朝鮮半島、中国東北部・・・、と世界でもごく一部でしか栽培されていないから仕方ないんだけど。
今では和食ブームもあるし、中国でもジャポニカ米が好まれているので、世界的にメジャーになってきているようだけど。
でも、そこで気になったのが、欧州でよく米を食べるイタリアやスペイン。
実は、彼らが食べている米は、日本の米とも違うし、かといって、インディカ米でもなかったのだ。

米は大分類では、粒が丸くて粘りけがあるジャポニカ米と、粒が細長くて粘りけの少ないインディカ米の2つがあるのだ。
で、ジャポニカ米にも実は小分類があって、日本などで栽培されている温帯性のジャポニカ米と、中国南部やジャワ島なんかで栽培されている熱帯性ジャポニカ米(ジャバニカ米とも)があるんだ。
で、イタリアやスペインの米は、このジャバニカ米に近いもののようなんだよね。
確かに、スーパーでリゾット用の米として売られているのは、日本米よりはひとまわり粒が大きいもの。
でも、本当に熱帯地域で栽培されているジャバニカ米は、日本米ほど粘りけもなく、また、粒もかなり大きいもの。
欧州の米所の米は、ジャポニカ米とジャバニカ米の中間くらいのものなのだ。

欧州に稲作が伝わったのは、ローマ帝国崩壊後、7~8世紀にムーア人がイベリア半島へ侵入したころ。
ムーア人は北西アフリカのイスラム教徒で、水稲による稲作をしていたようなのだ。
イベリア半島やイタリア半島はたまたま水稲栽培に適していたので、そのまま水田による稲作が根付き、米がよく食べられるようになったみたい。
欧州の他の地域は乾燥していることもあって、小麦がメインだし、されに土地がやせているような北欧では、カラスムギ、ライ麦なんかが主な穀物だったんだよね。
新大陸からジャガイモが入ってくると、一気に欧州に広がることになるのだ。
稲作ができるというのは、環境的にかなり恵まれているということみたい。

ボクははじめは欧州は全体的に陸稲で、インディカ米だと思っていたので、リゾットやパエリアも基本はインディカ米だと思っていたんだけど、実はそうではないので、インディカ米ではおいしくできないのだ(>o<)
リゾットは、米のとろみが全体を包み込んで一体化していなくてはいけないんだけど、インディカ米だと粘りけが少ないためにうまくいかないのだ。
むしろ、日本米の方がおいしくできるくらい。
パエリアも、インディカ米だとぱさついてしまうし、現地では好まれる「おこげ」もできないんだよね。
インディカ米で作ると、具だくさんピラフになってしまって、パエリアって感じじゃないんだよね。
やっぱり、インディカ米よりは、日本米で作った方がおいしくできるのだ。

そう考えると、日本でリゾットやパエリアが好まれる理由がわかる気がするね(笑)
インド料理でも、日本人はぱさぱさのインディカ米よりはもっちりとしたナンを好むよね。
やっぱり、日本人の舌には粘りけのある米が好まれるんだろうなぁ。
でも、結局はそれぞれの地域で、その土地でとれる米をどうおいしく食べるかで料理が発達してきているはずで、その点では、日本と似た米を育てている地域の料理が日本人の口に合うのは当たり前なのかも。
タイ料理屋インド料理だと、べたつく日本米よりはさらりとしたインディカ米の方がおいしいと思うけど、まさにそういうことなんだろうね。

どうも日本人が単純に考えているよりも、世界の米事情は複雑なようなのだ。
こういうのは海外に出てみないとよくわからないね。
米国にいたときは、普通にカリフォルニア米が日本式のジャポニカ米で、それが普及していたのでよくわからなかったのだ。
やっぱり海外に目を向けてみるといろいろとわかることがあるね。
勉強になるのだ。

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