2017/04/22

ぬるま湯で冷やせ

つい最近知ったんだけど、火傷をしたとき、幹部を冷やす必要があるけど、それは冷水よりはぬるま湯の方がいいらしいのだ。
ラットに焼きごてを当てるというかわいそうな実験で確かめられたそうなんだけど、冷水よりぬるま湯で冷やした方が損傷の広がりも抑えられ、痕も残らなかったのだとか。
一般的には、痛みを感じなくなるまで流水で冷やすとよいと言われているけど、実は、その流水は水というより、少しぬるいくらいのお湯の方がよいようなのだ。
火傷は熱による皮膚や粘膜の損傷だけど、熱によってタンパク質が変性し、生理活性が失われることが原因なんだよね。
よく高熱の際の注意として、タンパク質は45度くらいで変成すると言われるけど、これは火傷の場合も同じ。
ただし、タンパク質自体が45度を越える温度まで温められる必要があるので、熱の伝わりやすさという観点が必要なのだ。
熱したフライパンとか沸騰したお湯のような温度の高いものであれば、一瞬触れただけでもダメなんだけど、こたつの遠赤外線のような温度がさほどたかくないものについては、長時間さらされることで火傷になっていくんだよ。
これがいわゆる「低温火傷」。
人間の体で起こっている物理的・化学的変化は同じだけど、タンパク質がどのくらいの時間をかけて熱変性したかの違いなのだ。
タンパク質は一定の温度以上になると熱変性してしまうので、何より大事なのは熱の伝導というわけ。
火傷をしたらすぐに患部を冷やせ、というのは、ここに意味があるのだ。
すなわち、火傷をしてそのまま放っておくと、熱がまわりに伝わっていて損傷が広がっていくので、まずはあら熱を取って熱変性がこれ以上広がらないようにしましょう、というのが一義的な目的だよ。
損傷の広がりは面的なものではなくて、立体的なものでもあるので、放置すると皮膚の下の深いところまで熱損傷して、火傷の痕が残ってしまうことになるのだ・・・。
すぐに冷やせば痕の残りにくくなるというわけ。
冷やす理由その2は、炎症を抑えること。
熱損傷が起きると体の生体反応でサイトカインやプロスタグランジンのような生理活性物質が大量に放出されて、炎症が起こるんだよね。
炎症は生体防御機構でもあるんだけど(例えば、患部から細菌が入って感染症になるのを防いだりするのだ。)、けっこうまわりの組織を損傷させてしまうものでもあるんだよね・・・。
他の病気でも炎症を抑えることが多いけど、火傷も同じ。
炎症を抑えた方が治りが早いし、きれいになるのだ。
プロスタグランジンなんかは痛みをより強く感じさせる作用もあるので、痛みも抑えられるよ。
で、こういう効果があるから冷やした方がよいんだけど、冷やしすぎるのもダメ、というのが最近わかってきたことなんだよね。
むかしから氷で冷やすと逆に炎症になったりしてよくないとは言われていたんだけど、たいていの場合「冷水」と言われてはいたのだ。
ところが、冷水で冷やしてしまうと、患部周辺の毛細血管が収縮してしまい、血行が悪くなるので、炎症を強く抑える一方で、組織の修復も遅れることになるのだ・・・。
そこで出てきたのがぬるま湯。
患部を熱変性が起こってしまう温度より下げるんだけど、血管を収縮させすぎないから血行も悪くさせない。
そのためには、ぬるいと感じるくらいの温度のぬるま湯がよい、ということなのだ。
患部を清潔に保つためにも流水が望ましいので、水道で冷やすにしても、水じゃなくてぬるいお湯にしてゆっくり冷やすというのがよいみたい。
組織の修復を邪魔しづらいので、患部がきれいに治るというメリットもあるよ。
ただし、これらはあくまでも軽い火傷の場合の対処法。
皮膚を越えて深いところまで熱損傷が進んでいるような場合は、とにかくさっと冷やしてすぐに病院に行くことが必要なのだ!
なので、キッチンでちょっと火傷したとか、そういう場合の対処法だよ。

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