2017/07/08

いんちき高級水?

この間話していてびっくりしたのだけど、いまだに「水素水」を信じている人がいたんだよね・・・。
国民生活センターがいわゆる「水素水」について発表を行って、そのときは大きな話題になったと思ったのだけど、もう忘れられているんだね・・・。
せっかく発表した意味がない(>_<)
そして、まだ「水素水発生装置」とかにだまされる人が出てくるわけだ。

「水素水」と言われるものは、水の中に微量の水素が溶け込んだもの、と言われているのだ。
でも、正確な定義はなくて、何らかの形で水素が溶けている、というものらしいんだよね。
この時点ですでにあやしい(笑)
水素ガスを水の中に通して微量に溶かす、というのがわかりやすい方法だけど、水を電気分解することでも作ることができるのだ。
水を電気分解すると、陰極から水素ガスが発生するけど、そのガスが水の中に溶け込むというわけ。

もともとは、半導体や液晶の洗浄につかっていたんだって。
半導体などの精密工業の洗浄に使われる水と言えば、ボクとしては超純水が思い浮かぶのだけど、水素水もよいのだとか。
超純水の場合は、何も水の中に溶け込んでいないので、半導体表面についた不純物を溶かして洗い去る能力が強いと考えられているのだ。
超純水が危険なものというわけではないのだけど、少しでも水に溶けるものであれば、超純水で洗ってあげれば落ちるというわけ。

一方で、水素水の場合は、水の中にできる水素ガスの微少な泡がキャビテーションが発生して、それで洗浄力が上がるというもの。
超純水は表面に付着した汚れをはがすのに対して、水素ガスの微少な泡で汚れをこそぎ落とすイメージだよね。
半導体などの場合、洗浄液の中に洗剤を入れると、その洗剤をきれいに洗い流さなくちゃいけなくなるだけなので、できるだけ不純物のないもので洗いたいのだ。
水素水なら、洗った後に水素ガスが付着するくらいなので、問題はあまりないというわけ。
鋼材だと、金属柱に水素ガスが溶け込む「水素ぜい化」という現象で、もろくなることが知られているのだけど、半導体とか液晶ならそういうこともないのだ。

で、そういう用途で使うのなら問題ないし、実績もあるのだけど、その水素水が人体にどう影響を及ぼすかというと全く何もわかっていない、という状況に近いのだ。
っていうか、クリアカットに多っ聞く影響すればすぐにわかるわけで、あったとしても、あるかないかわからないくらいの影響しかないということなんだよね・・・。
なんだけど、水素水で体の中の活性酸素が除去されてアンチエージングになるとか、そういう効能がうたわれるのは問題というわけ。
活性酸素はガンの中で悪さをしているなんて話と合わされて、ガンに効く、とかなると、むかしからの怪しい民間療法と同じにおいがしてくるよ・・・。
「おぼれる者はわらをもすがる」につけ込むよくない商法なのだ。

国民生活センターがそもそも問題視したのは、業界においても「水素水」の定義がなくて、どの程度の溶存水素量があれば「水素水」と呼んでいいのかがはっきりしないまま、「水素水」が健康によい、的なプロモーションがなされていること。
また、すでにパッケージされて売られている水素水や、水素水発生装置で作られる水素水の溶存水素量が確認できていないこと。
本当に水素ガスが溶けているかどうかわからないのに、「水素水」と呼ばれてしまうのだ。

健康によい・悪いについては今後の研究で何かわかるかもしれないし、本当によいものである可能性も否定できないけど、そうだとしても、どれくらい水素が溶け込んでいないと効能がない、とかいうのがあるはずなんだよね。
それが生理現象に影響を及ぼすのであれば。
そういうのを置いておいて、印象論でやっているのがよくないのだ。
こういうのはやっぱり、科学リテラシーが大事なんだよね。

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