2017/09/09

ひょっとすると北よりこわい?

日本時間の9月6日夜、太陽表面で大規模なフレアが観測されたのだ!
太陽の表面で起こっている爆発現象で、水爆の10万~1億倍の威力と考えられているよ。
大きな爆発が起きると、それに伴って大量の電磁波や放射線が発生し、それが地球に届くと様々な影響があるのだ。
まずは光である電磁波が数分で届くんだけど、通信障害などが起こるのだ。
数時間のレベルでは放射線(ガンマ線を除く粒子線)が届き、数日後には荷電粒子が届くのだ。

放射線や荷電粒子の影響は、フレアの規模によって変わってくるんだけど、通常は驚くほどのものではなくて、オーロラの原因になったりするくらい。
ところが、今回くらいの大規模なフレアが発生すると、その影響は無視できないレベルになることも考えられて、ニュースになっているのだ。
こういうことがあるから、日本や米国は太陽観測衛星を飛ばしているし、地上からも常に太陽の活動を観測しているんだよね。

実際には、放射線や荷電粒子が来ると、空気中の分子と反応して「電磁パルス」が発生するのだ。
そう、最近北朝鮮が攻撃に使おうとしているやつだよ!
「電磁パルス」というのは、ごく短時間で発生する大規模な電磁気のことで、自然界で言えば雷がそれに当たるよ。
雲の中で分子が衝突したりして静電気が発生し、電位差(電圧)が一定以上になったところで短絡(ショート)し、瞬間的な大容量の電流が流れるのだ。
太陽フレアによる「電磁パルス」はそれが静電気ではなく、外から来る放射せにゃ荷電粒子により引き起こされるものだよ。
太陽表面の爆発で瞬間的に大量に放出された放射線や荷電粒子が地球に届き、届いた瞬間に周りの空気分子と反応し、電磁場の大きな乱れが発生するというわけ。

雷による電子機器の被害もわりと知られているけど、これは、雷が落ちた瞬間、そこに瞬間的に大きな電位差が生まれ(まさに「パルス」)、本来流れないような量の電流が発生するため。
これは「サージ電流」と呼ぶのだ。
通常電子機器の中野半導体や電子回路には、電流が流せる上限というのが決まっているので(これは材料的に大量に電気を流すとジュール熱で溶けてしまうなどの理由だよ。)、それを越える電流が流れると、壊れたり、壊れなかったとしても誤作動が起きたりするんだよね。
これを防ぐため、家電でも冷蔵庫や電子レンジにはアースをつけて設置し、過剰電流が流れる場合は、電子機器の中に入らないようにしているのだ。

フレアによる「電磁パルス」も全く同じで、空中で異常な電磁場が発生し、それが地上の電子機器等に影響を及ぼすわけ。
しかも、太陽は地球よりはるかに大きいので、雷のような局所的な話ではなく、地球全体の話になってくるのだ・・・。
すると、ここの電子機器にももちろん影響が出るんだけど、送電線などの電気系統にも影響が出てくるよ。
下手すると、送電線に異常電流が流れ、系統が落ちて大規模停電になるのだ。
現代はいろんなものが電気で制御されているから、広範囲で大規模な停電というのはしゃれにならない話なんだよね。
そして、地球のまわりを回っている人工衛星も壊れる可能性があって、そうなると、気象や通信・放送、測位(GPS)で障害が発生しかねないのだ。
そう、軍事目的に偵察衛星や早期警戒衛星もダメになるので、ミサイル防衛とかにも影響が出てくるよ・・・。

今回は大規模なフレアなので、一般の人でも影響を感じる可能性があるよ、ということで大きく報道されたんだよね。
特に、GPSなんかも狂うので、飛行機や船舶の運航にも支障が出るおそれがあるので、その影響はあるかもしれないのだ。
持っている電子機器hが壊れることはないんだろうけど。
しかし、太陽がめちゃくちゃ大きいこともあって、フレアが発生すれば、必ず地球に影響があるわけでもないんだよね。
地球に電磁波や放射線が届くような場所で爆発が起これば影響は出るけど、関係ない場所なら心配する必要はないわけ。
一方で、太陽活動の指標にはなるし、どこで爆発が起きるかなんてわからないので、常時太陽の活動を観測しておく必要はあるのだ。

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