2017/12/02

何肉が正解か

よく地方ネタで話題になるのが、「肉じゃが」に入れる肉は何肉か、という問題。
父親が神奈川、母親が静岡の我が家は牛肉の薄切りを入れていたけど、関東では豚肉を使うのも多いと言われるよね。
そうすると、関西の人が、「肉と言えば牛」とか言ってくるのだ(笑)
地方や好みによっては「鶏肉」もあり得るよね。
諸般の事情で肉が入らない場合もあるんだけど・・・。

半ば都市伝説化している発祥譚として、東郷平八郎元帥が英国留学中に食べたビーフシチューを再現させようとしたが、和風の味付けでできあがったのが「肉じゃが」だった、というもの。
このエピソードを下に、鎮守府のあった京都の舞鶴と広島の呉がそれぞれ「発祥の地」を主張しているのだ。
今では互いに認め合って、双方が発祥地ということになっているらしいけど(笑)
でも、東郷元帥が司令長官になるころには、デミグラスソースは普通に洋食屋に普及していてハヤシライスもあったし、ビーフシチュー自体も安くはないけど洋食屋で食べられるものだったのだ。
なので、よくわからないから和風の味で再現しようとした、というのはあやしいんだよね・・・。
どうも、舞鶴が発祥地を主張するときに使っていたプロモーションの中でそういうことを言っていたのが広まってしまったみたい。

ところが、肉じゃがが日本を代表する家庭料理となるには、軍の貢献が大なのだ。
カレーライスとほぼ同じような話なんだけど、従軍しているときに食べた肉じゃががおいしかったといって各家庭で復員した人が食べるようになったのが広がったきっかけ。
そもそも「肉じゃが」という名称が一般的になったのも70年代中盤以降なんだとか。
これには学校給食での採用なんかも影響しているじゃないかな?
それまで各家庭で作っているだけだから名称はどうでもよかったわけだけど、学校給食になるとメニュー表に名前を載せないといけないからね。
にんじんやサヤインゲンの有無、糸こんにゃくなのか白滝なのか、などの些細な違いはあるものの、総体として学校給食のメニューに習って「肉じゃが」と呼ばれるようになったと推測できるのだ。
ちなみに、海軍経理学校で使われていた教科書のレシピでは、単に「旨煮」となっていたみたい(ちなみに、このレシピでは「牛肉」。)。

「肉じゃが」は軍隊にとっては非常にありがたい料理で、基本的にカレーとほぼ同じ材料なので、補給上有利なのだ。
でも、味付けは全然違うから、カレーとかぶるわけでもないし。
ジャガイモもタマネギも基本的には長期保存がきくし、熱量(カロリー)も高めなので、軍隊にもってこい。
カレーも肉じゃがも味付けがシンプルだから、調味料の量さえ間違えなければそんなに大きく失敗しないしね。
よく考えられたメニューではあるのだ。

それにしても、高度成長期以降に広まった料理なのに、いつの間にか家庭料理の代表選手になっていて、「おいしい肉じゃがを作る女性と結婚したい」なんて昭和男の願望にもなったんだからすごいよね。
ボクの世代は「お袋の味」的な受け止めなんだけど、言われ始めたときは「ハイカラな家庭料理」だったのかな?
いずれにせよ、家庭料理の人気メニューではあったんだろうね。

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