2017/12/09

よ~く考えよう、予防は大事だよ~

先日、日本人の村中璃子さんがジョン・マドックス賞を受賞したのだ。
これは、Nature誌が主催しているもので、「多くの困難に遭いながらも科学的なエビデンスに基づき公益に寄与する仕事をした科学者・ジャーナリスト」に贈られるものだよ。
村中さんはもともと医師で、医療関係のジャーナリスト活動もしている人なのだ。
今回の受賞のきっかけになったのは、多くの批判を受けながらも常に「子宮頸がんワクチン」に関する情報発信を行ったことなのだ。
残念ながら、日本のマスコミはあまり報道しないのだけど、海外でが大きく報道されているし、日本国内でもツイッターなどのSNSを通じて情報が広まっているよ。

「子宮頸がん」は、そのほとんどがヒトパピローマウイルス(HPV)への慢性的な感染に起因すると考えられていて、このHPVへのワクチンを投与することで、未然に予防できるのだ。
このため、世界保健機関(WHO)も世界的に接種を呼びかけているし、多くの国で接種が推奨されているのだ。
ところが、日本だけは、公費補助がありながらも積極的には接種が推奨されておらず、そのことが国際的にはハンされているんだ。
かなり例外的な措置なんだけど、WHOから名指しで批判されるほど!
確実に予防できる「子宮頸がん」に対する対策を講じず、若い女性を危険にさらしていると言われているよ。
村中さんはこの件について、マスコミをはじめとして日本国内では「誤った」危険性ばかりが喧伝され、HPVワクチンの接種が阻害されているので、「正しい」知識を広めようと尽力してた、ということなのだ。

でも、こういう国内事情にはそれなりに経緯があるのも事実。
HPVワクチンが日本で導入されたのは平成21年。
まだこの頃は公費補助もなく、高価なものだったので普及しなかったんだけど、翌年、厚生労働省が市区町村が行う接種事業の助成を始めたことを受け、無料又は低額での接種が可能となり、広まっていくのだ。
平成24年には摂取率が2/2を越えるところまで行ったんだよ。
ところが、ここで問題が発生したのだ。

薬に副作用があるように、ワクチンにも「副反応」というのがあって、ワクチン接種後に何か「よくない事象(頭痛、発熱などなど)」が発生したとき、ワクチン以外の要因に特定できないものはワクチンの副反応として報告される仕組みになっているんだよね。
それがワクチン接種のせいなのか、ほかの要因に基づくのかはその時点ではよくわからないのだけど、事例が積み重なって、統計的に処理できるようになると、ワクチン接種と統計的に有意に関係しているかどうかがわかる、というもの。
たまたまほかの要因で発生した事象は頻繁には翁から、統計処理をすると外れる、ということなんだけど・・・。
実際には、「議事相関」というのがあって、本当は直接的には相関がないんだけど、第三の要因とそれぞれ相関関係があるために、見かけ上相関があるように見えてしまう、という場合があって、これが否定できないんだよね。
今回のケースもこれに当てはまっているおそれがあるのだ・・・。

HPVワクチンの重篤な副作用として問題視されたのは、「複合性局所疼痛症候群(CRPS)」というもので、とにかく体中が痛くなって力が入らなくなる、というもの。
後遺症で障害が残ったという人も。
これがマスコミによって広まり、HPVワクチンの接種が危険視されるようになり、この世論に対して厚生労働省も、公費補助はやめないけど、自治体に対して積極的に接種を呼びかけるのをやめてもらう、という対応に出たのだ。
このため、摂取率は数%まで下がることに!
これが海外で批判されることになったんだよね。

問題なのは、この副反応がワクチン接種に起因しているかどうか、確実な科学的な証拠が全くないこと。
そして、日本以外ではこのような副反応が問題にされていないので、ワクチンとは別のところに原因があるんじゃないか、と考えられるところなのだ。
この点をジャーナリストとして村中さんは発信し続けたんだ。
実際、ワクチン接種が始まる前から、CRPSに似た症状は「心因性疾患」として思春期の女性のものとして報告されていて、ワクチン接種がちょうど思春期に当たるので、「思春期の女性」というファクターが重なることで、ワクチン接種とCRPSが見かけ上相関しているように見えている可能性があるのだ。
っていうか、海外ではワクチンとCRPSの関係は科学的証拠がないという理由で問題にされていないんだけど・・・。

今回も、本来であれば村中さんの受賞をきっかけにマスコミがこの件を取材し、広めてくれればいいんだけど、ほとんどそういうのがないんだよね・・・。
危険性を喧伝するのは「売れる」ネタなんだけど、「自分たちはまつがってました、本当はこうでした」というのはそもそも自分たちではあまり出したくないし、「売れる」ネタではない、ということなんだろうね。
なんだか闇の深さを感じるよ・・・。
でも、SNS等の発展もあって、「草の根」的に広まっているようだから、これをきっかけにして、ワクチンの摂取率が上がることを祈るばかりだね。

0 件のコメント: