2018/03/10

肉と言えばウシ

フランスでは、「肉」と言えばウシ、っていうくらい牛肉ばかり。
トリもハトもウズラも食べているけど、やっぱりウシが多いよね。
っていうか、ステーキ好きだし、スーパー等で売っているのも牛ばかり。
ブタ肉料理を置いている店が少ないのだ(>_<)
日本人としては、特に家庭料理ではわりとくせのないブタ肉を使いたいのであまり売っていなくて困るよ。

ウシは、新石器時代に野生のオーロックスという、今は絶滅してしまった野生のウシ(いわゆるウシよりもう少し毛がふさふさしていたみたいだよ。)が西アジアで家畜化され、それが広まっていったと考えられていたんだって。
ところが、ミトコンドリア分析をしてみると、どうも二系統あるらしいことがわかって、それぞれ別の場所で二系統の家畜化ウシが作られ、それが交錯しながら広まっていったのではないか、と言われ始めているそうだよ。
でも、家畜化されたウシと野生のオーロックスは交配可能だったようなので、西アジアで家畜化されたウシが広まっていく過程で野生のウシと交配して二系統になった可能性もあるとか。
なんだか複雑みたいだよ。

でも、ウシが家畜化されたのは、他の家畜に比べると遅いそうだよ。
理由は簡単で、大きくてどう猛なので、まずは、小型のヤギや羊を飼い慣らすところから始めて、飼育技術が蓄積されたところで成功したんじゃないか、ということ。
でも、ウシはその大きさから家畜としては極めて有効で、特に始まったばかりの農業に活用されたのだ!
これは四大文明で共通なようで、エジプトでもメソポタミアでも中国でもインドでも、ウシは重要な農業の担い手だったみたい。
なので、それら古代文明ではウシが神聖視されることもしばしば。
インドのヒンドゥー教では今でもウシは聖なるものとみなされているよね。

中国なんかはより顕著で、三皇五帝の三皇の一人で、人々に農業を教えたという神農は牛頭人身の異形の神。
農業とウシが強く結びついている例なのだ。
でも、この神農は、「百草をなめ、毒と薬に分けた」とも言われていて、人々に生薬の知識を授けた神でもあって、そのために医療の神様としても知られているよ。
日本では、神仏習合でスクナビコナとともにまつられていることも多いよ。
東京の湯島聖堂には神農廟というのもあるけどね。

同じように神仏習合の牛の神様としては、八坂神社の祇園様こと牛頭天王がそうなのだ。
よくわからない神様で、祇園精舎の守護神ということになっているんだけど・・・。
この神様は「蘇民将来」伝説でおなじみで、疫病神なのだ。
護符を授けられた人だけが疫病を避けられる、というタイプ。
祇園祭は疫病の流行を避けるためにこの神様に捧げる祭りがもとだよ。
で、出自がよくわからないんだけど、医道の祖であり医療の神様でもある神農との関係は指摘されているのだ。
大陸にはこの神様はいないようなので、日本で、或いは、朝鮮半島も含んで疫病神の伝説があって、そこに中国伝来の神農の信仰が習合して、いつの間にかその疫病神の姿がウシになった可能性はあるんだよね。
むしろ、ウシと言えば、天満大自在天神こと菅原道真公との関係で天神社における神使としての姿の方がメジャーな気がするけど。

古代日本には牛飼部なんてのもあって、牛乳をとったり食用にしていたんだけど、仏教が広まってからは肉食が基本禁止され、乳製品も10世紀には廃れてしまい、ウシの用途は主に農耕作業などだったみたい。
最初に家畜としてのウシが確認されているのが古墳時代後期のようなので、普通に牛の肉を食べていた時代はかなり短いのだ。
でも、平安時代には牛車なんてのにのっていたわけで、文化的には身近な存在ではあったはず。
そんな存在だから平安貴族だった道真公とウシも結びつけられたんだろうけどね。

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