2018/09/08

人工島の悲劇

台風21号の被害がすごいことになっているのだ!
遠くパリの地でもけっこう大きく報道されているよ。
特に欧州にはこれだけの規模の暴風雨ってないだろうからね。
で、その中でも特に注目を集めているのが、関西国際空港の被害。
日本のハブ空港の一つでもあるし、世界で初めての人工島に作られた海上空港でもあるので、注目度は高いのだ。

関西国際空港は2つの島からなる人工島で、それぞれに滑走路とターミナルがあるんだよね。
ターミナル1の方には、空港へのアクセスのための鉄道駅、フェリー乗り場があったり、複合商業施設であるエアロプラザなんかもあるよ。
24時間稼働の空港なので、まさに「不夜城」空港なんだよね。
海上空港だからこそ24時間稼働できるわけだけど、逆に、海上にあるからこそ、地盤沈下や津波などのリスクとの戦いが常にあるのだ。
今回も滑走路が水没しているしね・・・。
そして、前から指摘されていたことだけど、今回の被害でやっぱり大きなリスクであることが実感できたのが、空港へのアクセス問題。

関西国際空港には、車、鉄道、船の3つの手段でアクセスできるんだけど、船以外は本州側(大阪府泉佐野市)と人工島を結ぶ関西国際空港連絡橋という大きな橋を通っているのだ。
電気やガス、水道などのライフラインもこの橋を利用しているので、まさに命綱的存在。
3.75kmの世界最長のトラス橋で、二階建て構造。
上は上下6車線の道路、下は鉄道(複線)に使われているんだ。
今回の台風被害においては、この橋に2.5tのタンカーが突っ込んできて、この橋が使えなくなったことにより、人工島が孤立してしまったのだ。

下り車線側は完全に損壊していて通行不能。
上り車線はなんとか使えそうなので緊急車両の通行などに使われていたんだけど、空港内に取り残された人々を輸送するためのシャトルバスの運行も行われたのだ。
鉄道路線は使用不能。
さらに、ターミナルビルにおいても浸水などが原因で一部停電。。
もともと商業施設もたくさんあって、食料や飲料はけっこうあるからすぐに困るというわけではないけど、中に残された人たちは不安だったろうね。
天候が回復してからは船とシャトルバスで救出したわけだけど、悪天候時は船でのアクセスはできないので、この橋だけに頼っていると相当危ないのだ。
もともと強風で橋が使えなくなるリスクは想定されていて、風に強い構造にはなっていたみたいなんだけど、まさかタンカーが突っ込んでくるとはね・・・。

今回の被害では、橋脚までやられているので、復旧には相当の期間がかかるのではないかと見込まれているよ。
今は緊急時なのでとりあえず使える上り車線を使っているけど、本来的には全面通行止めにしなくちゃいけないような被害だからね。
でも、そうなると、空港へのアクセスは船だけになるわけで・・・。
おそらく、空港の規模から言っても、貨物輸送の観点で言っても、それではもたないのだ(>_<)

こうなると、リスク分散のために、新たな橋とか、或いは、地下トンネルとか、そういう第三のアクセスを考えないといけないのかも。
でも、やっと関空は軌道に乗って稼げるようになってきたところなので、ここでの大規模投資はまたつらいだろうなぁ。
民主党政権時代には、橋本府知事(当時)が「関空リニア構想」を打ち出していて、大阪中心部と空港をリニアモーターカーでつなぐとかいう構想があったし、兵庫県には神戸空港と関西国際空港をリニアモーターカーでつなぐなんて構想もあるようなのだ。
こういうんが現実化してくるのかなぁ。
ちなみに、東京のお台場の場合は、レインボーブリッジだけでなく、トンネルでもつながっているよね。

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