2018/12/22

シューッで隠せ

「アパマン大爆発」はすごい事故だったね・・・。
写真を見ると建物が跡形もなく吹っ飛んでいるし。
それだけ爆発が大きかったはずなのに、中にいた店長と店員が二週間程度の火傷というのもびっくり。
そして、それ以上にびっくりなのが、ああいう賃貸紹介業者がやっている「クリーン消臭」っていうサービスがスプレーを噴射して終わりだった、という事実。けっこうとられているよね(>_<)
そこで、ちょっと消臭スプレーについて調べてみたのだ。

消臭スプレーは、その名のとおり消臭に使われるんだけど、大きく分けて、匂いを消すものとごまかすものの二種類があるんだ。
後者の「ごまかす」方はいわゆる「ベルサイユ方式」。
古くは香水で部屋の中にあるおまるの糞便の匂いをごまかしていたように、悪臭を他の芳香成分で包み込んで隠してしまうのだ。
これをマスキングというらしいよ。
最近は、特定の臭気成分について、それと合わせると良い香りに感じられるような芳香成分を使う「ペアリング」という方法もあるんだって。
確かに、香水の成分の中には「くさい」ものがまざっているというよね。
でも、これは全く解決にはなっていないのだ・・・。

では、匂いを消す方はどうかというと、大きく分けて3種類の方法があるみたい。
まずは化学的な消臭。
臭気成分と消臭成分を化学反応させて匂いがしないものに変換してしまう、というもの。
多くの臭気成分は酸だったりアルカリだったりするので、それを中和してしまうのだ。
でも、臭気成分にはいろんなものがあるので、特定の匂いの除去には非常に協力だけど、いろんな終期が混ざっているような場合には使いにくいんだよね。

そういうときに使えるのが物理的な消臭。
これは臭気成分を吸着したり、包み込んだりして嗅覚に届かなくするのだ。
活性炭の消臭剤が有名だけど、あれは活性炭の多孔質な表面に匂いの元が吸着されるのだ。
包み込んでしまうというのは分子レベルでおおいをかぶせてしまうイメージ。
大きな穴を持つ高分子がその穴の中に臭気成分の分子を取り込んでしまうのだ。
大量に臭気成分があるととりきれないけど、いろんな匂いが混ざっているときには有効なんだよ。

最後は生物学的な消臭。
生ゴミなどはそこでバクテリアが繁殖することで匂いの元である分子ができてくるんだよね。
タンパク質が分解されるとたいてい窒素原子や硫黄原子の入ったくさい低分子化合物が出てくるのだ・・・。
なので、抗菌剤でバクテリアの繁殖を止めてしまえば匂いの元が出て来なくなる、という仕組みだよ。
ゴミ箱を匂わなくする消臭剤なんかがまさにこういうのだよね。
或いは、更にその匂い分子まで分解するようなバクテリアを使う、という方法もあるのだ。
匂わないバイオトイレなんかがそれ。

で、消臭剤と言えばメジャーなのはファブリーズとリセッシュ。
ファブリーズは物理的消臭の原理で、その消臭成分はトウモロコシ由来のシクロデキストリン。
グルコースが複数つながったオリゴ糖の一種なんだけど、環状につながっているんだよね。
そのため、ドーナツのような構造で、真ん中に穴があるのだ。
この穴のまわりにはヒドロキシ基(-OH)がたくさんあるので、酸やアルカリの匂い分子はこの穴に水素結合でトラップされることになるよ。

もう一方のリセッシュは化学的消臭。
こっちの消臭成分は両性界面活性剤と言われるもの。
pHによってプラスにもマイナスにも帯電する界面活性剤で、酸と出会えばアルカリとして中和し、アルカリと出会えば酸として中和するような性質を持つ万能選手なのだ。
なので、たいていの帯電した酸やアルカリの臭気成分には対応できるというすぐれものだよ。

ただ、どちらにしても、匂い成分はなくなっているわけじゃなくて、「無効化」されているだけなんだよね。
なので、当然のことながら「洗濯」、「洗浄」の代わりにはなっていないのだ!
匂いを消しているだけ。
なので、衛生的観点で言えば、消臭スプレーをかけたらきれいというわけではないんだよ。
最近は抗菌作用もついた消臭スプレーもあるけど、やっぱり「きれい」になっているわけではないので、注意が必要なのだ。

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