2019/01/05

おせちの中の赤いやつ

お正月と言えばおせち料理。
最近は洋風のがあったり、そもそも食べなかったりするけど、縁起物だし少しは食べたいよね。
今は海外にいるけど、年末に救援物資が送られてきて、その中には、おせちセットもあるのだ。
紅白なます、栗きんとん、田作り、昆布巻き、黒豆などなど。
最近は100円ローソンでも個別に売っているみたいだね。

そんなおせちの中で、まさにこの時期にしか見かけないものがあるのだ!
それはクワイ、もそうなんだけど、それ以上に見かけないのが「チョロギ」。
よく黒豆と一緒に入っている、赤いねじねじのやつだよ。
かりっとした食感で、酢漬けになっているから酸っぱいのだ。
「長老木」或いは「長老喜」と当て字にできるので縁起物なんだって。
「まめに働く」という意味の黒豆と一緒にすると、「まめに働いて長寿」ということみたい。
働き続けろってことか・・・。

このチョロギ、シソ科の多年草の塊茎部分。
「塊茎」というのは、地下茎が丸まってふくらんだもので、ジャガイモも塊茎部分を食用にしているよ。
サツマイモは根なので、ちょっと違うのだ。
原産は中国で、今食べられているものの多くはやっぱり中国からの輸入品みたい。
日本には江戸時代に伝わり、国内生産もしているのだけど、収穫すべき塊茎部分が小さすぎて機械が使えず手作業になるので、生産量は下がっているみたい・・・。
ちなみに、欧州にも伝わっていて、フランスでは普通にサラダやスープに使われる、と言うのだけど、フランスに来て2年経つけど見たことないや(笑)

チョロギは6~7月に薄い青紫の花を咲かせ、10~11月になると塊茎を膨らませるようになるらしいのだ。
これを収穫し、きれいに泥を落としてあげると、白いねじねじのチョロギ(生)が収穫できるよ。
この時期にとれるのでお正月似向けてちょうどいいわけだね。
チョロギは数日塩漬けにした後、梅酢やシソ酢に漬けて赤くするのだ(本当に真っ赤なのは多くの場合着色料を使っていて、梅酢などで漬けた場合は淡い紅色なのだ。紅ショウガと同じだね。)。
それがおせちに入っているアレ。
レシピ的にはショウガの酢漬けのような感じだね。

現代のおせち料理の原型ができてきたのは江戸時代。
重箱に詰めるスタイルになったのは明治以降と言われるので、比較的当たらし習慣だよ。
チョロギはちょうどそのおせち料理ができあがる時代に日本に入ってきたことになるね。
当時は珍しかっただろうし、薬用植物的な見方もあったのだ。
江戸時代の本草学の基本書である本草綱目に「からの病の侵入から身体を守り、血の滞りを治し、気を静め精神を安定させる効果がある」とされているよ。
名前と相まっておせち料理に組み入れられたのかもね。

ちなみに、家庭菜園でも育てられるみたい。
春に横で寝かせる形で植えると、芽が出てきて、最終的には60~70cmくらいの高さになるとか。
秋口に葉が枯れてくるので、そうなると土の中にはチョロギができているらしいよ。
これはもう、再来年は家で育てたチョロギをおせち料理に使うしかないね(笑)

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