2019/03/23

ダレトク?

時期的なものか、3月の後半になるとよくビジネスマナー関連の記事をネットで見るような気がするのだ。
4月から働く人たちがいよいよ迫ってきて気にするからなのかな?
実際入ってしまうと、ごくごく当たり前なものは別として、業界ごとにルールやマナーは異なるから、習うより慣れろなんだろうけど。

で、こういうのが出てくると、同時に、「こんなマナー必要か?」という意見も出てくるのだ。
マナーはもともと「他人を気遣う」というところから出てきているもので、その場にいる人がみんな不快にならないように互いに気を遣って、というのが定型化したものなんだよね。
その最たる例は食事の作法。
これは洋の東西を問わず、正しい食事作法というのがあるよね。
日本だと箸の使い方にうるさいし、イスラム世界だと食事には右手しか使っちゃいけないとか。

ところが、ビジネスマナーとなると怪しいものが多くなるようなのだ。
最近特にたたかれたのは、日本酒のとっくりを使う際、注ぎ口の切り込みを上に向けて注がなくてはいけない、とかいうもの。
注ぎ口って、液体を注ぎやすいように切り込みが入っているのに、それをわざと使わないなんて・・・。
これにはとっくり業界も苦い顔したわけだよ。

でも、一応もっともらしい理由があって、切れ込みが入っているので「縁が切れる」だとか、戦国時代は注ぎ口に毒を塗られることがあったのでそれを避けるのだとか。
なんとなくそれっぽい理由はあるのだけど、そもそもの「他人を気遣う」っていう観点ではないような・・・。
これをしてもらっても誰も喜ばないし、逆に、これをしなかったら不快に思うということもないよね。
まだビールを注ぐときはラベルを上に、の方がましなのだ(笑)

これと同じようなのが、取引先でお茶を勧められても飲まない(「空いてからの条件を飲む」につながるから)、座ることを勧められても三度までは座らない(三顧の礼か?)、稟議書のはんこはお辞儀をしているように少し傾けて押す、などなど。
これがきちんと定型化してみんなが従っていればまだ様式美にもなるんだけど、そこまで広まっていないからね。
もちろん、イスにかける場合は勧められてから、っていうのは就活でも基本中の基本の当然であるわけだけど、なぜ三度?

おそらく、これはビジネスマナーの普及に原因があるのではないかと思うのだ。
むかしからビジネスマナーの本というのはあるけど、正直そこまでまじめに広く読まれていたわけじゃないよね。
なので、その普及力には限界があったはずなのだ。
ところが、ネットで広まるとあっという間。
そもそも自分でお金と時間をかけなくてもかってにSNSで情報が入ってくることもあるし。
何より、こういうちょっと「意味不明」系のマナーは「なんだこれ?」ということで拡散されやすいんだよね。
また、テレビなどの媒体でもよく「マナー講師」を取り上げて、解説したりするよね。

さかのぼってみると、とっくりの注ぎ口や稟議書のはんこのマナーは昔からあったようなのだ。
あったいうのは広く行われていた、というのではなく、古いマナー本にそういう記述があったりする、ということ。
でも、本に書いてあるだけだと、それを見て変なマナー(?)があるものだ、と思うくらいで、知り合いにちょっと話す程度で終わり。
でも、SNSだと簡単に他の人と情報をシェアできるし、テレビで紹介されたりするとすぐに動画がアップされたりして、拡散力が違うのだ。

でも、一部の人はそれがマナーと思って実践しているから本などにも紹介されていたわけで、これが「地雷」要素なんだよね。
その点でいえば、今のようにすぐに拡散されて「これはおかしい」なんて意見が出てきた方が良いのだ。
それによって意味不明なマナーが駆逐されていくかもしれないから。
その方がむしろ健全化もね。

0 件のコメント: