2019/03/09

下に向けて書こう!

ネット掲示板の有名なコピペで、米国では宇宙空間でボールペンが使えないとわかったときに必死に大金を投入して研究し、宇宙でも使えるボールペンを作り上げたが、ソ連は鉛筆を使っていた」なんて話があるよね。
これはボールペンのインクは重力を使って押し出される構造になっているので、微小重力となる宇宙空間では使えなくなるからで、本当に米国国立航空宇宙局(NASA)は、インクをガスで押し出す「宇宙でも使えるボールペン」を開発したのだ。
宇宙航空研究開発機構(JAXA)の売店をはじめ、宇宙グッズを取り扱っている店では売られているよ。

欧米の文化では、まず、「つけペン」があったんだよね。
ペン先にインクをつけて書くもので、羽ペンとかガラスペンとかGペンが有名なのだ。
でも、この「つけペン」の場合はペン先にインクがあまり保持できないので、安堵も何度もインク壺にペン先をつけないと長い文章が書けないのだ。
その不便を解消したのが「万年筆」。
インクカートリッジから自動的にペン先にインクが補充される仕組みで、いちいちインク壺の中にペン先を入れる必要がなくなったのだ。
「万年筆」のインクは、毛細管現象でペン先に供給されるので、微小重力空間でも問題なく使えるよ。

でも、「万年筆」の場合、毛細管現象を使う必要があるので、インクは粘性が低いものでないと使えないんだよね。
つまり、書いた後しばらく乾かさないとすぐににじんでしまうのだ。
これを解消してくれたのがボールペン。
ボールペンの場合は、むしろ粘性の高いインクを重力によりペン先(ボールのある部分)に押し出しているんだよね。
ボールの裏側に粘性の高いインクが付着し、ボールが回転することでそのインクが紙面に転写されるのだ。
ボールペンの場合は、粘性の低いインクを使うと、ボールの隙間からインクが漏れ出てしまうので、むしろ粘性が高い方がいいんだよね。

ボールペンのアイデア自体は19世紀の終わり頃にはあったんだけど、技術が追いつかずに実現できなかったのだ。
まず、ペン先のボールを加工するのが難しく、そして、そのボールをはめ込んで液漏れしないようにペン先を作ることも難しいのだ。
第一世界大戦直前くらいのタイミングでハンガリー人が英国で特許を取り、できあがったのだ。
これが「Biro」で、今でも欧州ではボールペンの代名詞として使われているよ。

このとき使われていたのは油性インク。
でも、粘度が高いので、書き味はいまいちだったみたい。
万年筆に比べてかたい、そして、書き出しがどうしてもかすれる。
それでさほど普及しなかったのだ。
インクが改良されて書き味がよくなると、だんだんと普及していったみたいだよ。
何より、カーボン複写をするとき、筆圧を加えやすいので、ボールペンの方が使いやすいのだ。

時代が下ると、水性インクも出てくるんだよね。
そのままでは漏れてしまうので、中綿式といっていったん中綿にインクを吸わせ、そこからボールに毛細管現象でインクがしみ出してくるようにしたり、直液式といって、いったんコレクターと呼ばれるところに少量のインクを保留し、それがボールのところに出てくるようにしたりするなどの工夫をしているのだ。
さらに、水性インクをゲル状にして、ボールの先のところでだけゾル化するようになっているゲルインクボールペンというのもあるよ。
水性インクはにじみやすいけど、なめらかに書けるし、発色もよいのだ。
カラフルな色のボールペンは水性インクのものが多いみたい。

ボールペンで字を書くときのコツは、完全にそのメカニズムに依存しているよ。
まっすぐ立てて書く、これだけ。
紙面との角度は60~90度がいいみたい。
これは、インクが重力で押し出されるという構造をしていることと、ペン先のボールのついている部分(カシメ部)が紙面に触れないようにすることによるのだ。
そして、天井や壁に上向き、横向きでは書かない。
これはインクが押し出されないからうまく書けないだけでなく、下手するとボールの周辺に空気が入ってしまって、次ぎに書くときにインクがうまくしみこんでこなくなるおそれもあるからなのだ。

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