2019/05/25

ウィーンからリエージュへ

フレンチのデザートの定番の一つに、カフェ・リエジョワやショコラ・リエジョワというのがあるのだ。
なんてことはなくて、コーヒーアイス又はチョコレートアイスを使ったパフェのような冷たいデザートだよ。
たっぷりの生クリームが添えられていて、そこにコーヒーシロップやチョコシロップがかけられるんだ。
思った以上に大量に出てくるから、かなりの食べ応え・・・。

「リエジョワ(léigeois)」とは、ベルギーの都市であるリエージュの形容詞形。
つまり、「リエージュ風の」という意味だよ。
でも、このデザートはフランス発祥で、ベルギーは全く関係ないんだって!
この名前になったのには、歴史があるようなのだ。

最初は、カフェ・ヴィエノワ(café viennois)、つまり、ウィーン風コーヒーという名前だったのだ。
日本ではウィンナー・コーヒーと言えばホットコーヒーに生クリームを浮かべたものだけど、フランスではコーヒーフレーバーのアイスに生クリームを添えたデザートを指していたみたい。
これが、第一次世界大戦を契機として名前が変わったんだ。
当時、フランスはドイツに攻め込まれようとしていたんだけど、フランスとドイツの間にあって、フランス国境にも近いリエージュの街がドイツ軍が想定していた以上の抵抗を見せたため、攻めあぐねていたのだ。
この当時、ベルギーは中立国で、実は軍隊はぼろぼろ。
ドイツ軍は最初からなめてかかっていたようで、それが侵攻計画を狂わせる要因にもなったようだよ。
で、この時間稼ぎによりフランス軍は体勢を立て直すことができ、パリまでは攻め込ませず、ドイツ軍を退けたのだ♪

このことに敬意を表し、また、ドイツの友軍であるオーストリアの都市名を嫌って、カフェ・ヴィエノワのことをカフェ・リエージュと呼ぶようになったんだって。
なので、もの自体はリエージュやベルギーとは全く関係ないのだ。
でも、その後ドイツ軍に占領されたリエージュでは、いまだにカフェ・ヴィエノワと呼んでいるそうだよ(笑)
フランスの一方的な片思いだね。

で、そのコーヒー・フレーバーをチョコレート・フレーバーに応用したのがショコラ・リエジョワ。
こっちは派生型だね。
ちなみに、ショコラ・ヴィエノワというのもあって、これはホットチョコレート(chocolat chaud)の上に生クリームを載せたもの。
つまり、ウィンナー・コーヒーのコーヒーがホットチョコレートになったもの。
これはややこしい。

ちなみに、「リエジョワ」と言えば、ワッフルにもあるんだよね。
ベルギー・ワッフルには2種類あって、ブリュッセル風とリエージュ風があるんだ。
ブリュッセル風はやわらかい生地を薄く長方形型に焼いて、上にクリームやフルーツを載せた食べるようなやつ。
生地はさっくりふわふわという感じ。
リエージュ風は硬めの生地をまるく厚く焼いたもので、マネケンとかのワッフルはこれだよ。
もちっとした生地の中に中に粗目なんかも入っていて、その食感も楽しめるのだ。

0 件のコメント: