2019/06/01

使い方いろいろ

現役官僚が覚醒剤と大麻の不法所持で逮捕されたのだ・・・。
職場が家宅捜索されて、机の引き出しの中から注射器が見つかったとか。
っていうか、職場で「キメ」てたの?
なんだかすごい話だよね。

覚醒剤って、いろんな形のものがあって、摂取の方法も様々みたい。
よくテレビドラマとかで見るのは白い粉だよね。
そのほか、粒の大きな結晶もあるし、カフェインなどもまざった錠剤になったもの、注射ですぐ打てるように水溶液になっているものなどなど。
どうも、摂取の仕方で「キマリ」方に差が出てくるようで、いろんな形態があるみたい。
でも、これは覚醒剤だけじゃなくて、薬物一般でそうなのだ。
市販薬でも病院で処方される薬でも、錠剤やら塗り薬やらいろいろあるよね。
あれは服用の仕方によって薬の効き方に差が出るからなのだ。

もっとも一般的なのは、「飲み薬」。
経口投与というやつで、錠剤になっていたり、カプセルに入っていたり、或いは、シロップ状だったりとこれもいろんなものがあるのだ。
でも、どれも口から摂取して胃から腸へ行く間に吸収されるものなのだ。
食前や食後に水で飲むだけでもっとも単純な摂取方法なので、原則としてこの形態が好まれるのだけど、欠点もあるんだよね。
その一つは、酸性条件下で分解されてしまうような薬剤には使えないということ。
胃を通るときにどうしても胃酸の影響を受けるので、酸で分解される薬は飲み薬にできないのだ。

もうひとつは、薬物の代謝の問題。
腸管から吸収された薬物は門脈という静脈に入って、まずは肝臓に送られるのだ。
肝臓は解毒の役割を担っているんだけど、薬物を分解する酵素をたくさん持っているところ。
ここでせっかく吸収された薬物が分解されことになるんだよね。
分解される分を織り込んで大量に服用すればいい、というときはそれでもいいんだけど、薬物の微妙な差で効果に大きな差が出る場合(例えば、少しでも多いと副作用が強く出るとか)は、この不確定要素は排除したいのだ。
こういうときは「飲み薬」にできないんだよね。
何より、錠剤などの「飲み薬」に適した形態にできない薬物(例えば油にしか溶けないなど)の場合も使いづらいよ。

そんな場合どうするか。
すぐに思いつくのは注射剤。
注射にも何種類かあって、一般的なイメージは、静脈に薬物の水溶液を入れるものだよね。
点滴とか麻酔薬とかそういうやつ。
これは肝臓を通らずに血流に回るので、肝臓での最初の分解を避けることができるのだ。
血液中の濃度をモニターしながら微妙なバランスで使わないといけないような抗がん剤なんかはこれ。
一方で、直接血管の中に薬液を入れない注射もあるんだ。
それが筋肉注射や皮下注射。

筋肉注射はその名前のとおり、筋肉に注射で薬液を入れるもの。
これは「痛い」注射だよ。
ワクチンなんかはこれを使うんだよね。
皮下注射というのは、皮膚をつまんで持ち上がったところ、筋肉と皮膚の間に薬液を入れるもの。
インスリンなんかがこれだけど、これは徐々に毛細血管に薬液が染みこんでいくのだ。
すぐに薬効はでないけど、じわじわときかせたいとき、局所的にきかせたいときなんかに使うよ。

で、経口投与の内服薬と注射して使う注射薬をのぞいたものが「外用薬」。
これにはいろんな種類があるよ。
まず、ぜんそくの人におなじみなのが吸入薬。
プシュっと薬液を噴霧させて、それを吸い込むのだ。
これは口腔内、鼻腔内、気道の粘膜から薬液が吸収されるよ。
この方法も肝臓を通らずに薬物を血流にのせられるという利点があるのだ。
ただし、粘膜からの吸収がよい薬でないと使えないし、粘膜からの吸収は量的なコントロールは正確にできないので、吸収量をそんなに厳密に考えなくてよいときにしか使えないのだ。
ただし、けっこう吸収が早いので、ぜんそくやその他のアレルギーの発作によく使われるよね。

同じように粘膜から吸収させるものには、点鼻薬、舌下錠(トローチ)、座薬などがあるのだ。
点鼻薬は名前のとおり鼻の穴にさして薬液をちゅっと出すもの。
主に耳鼻科でしか使わないね(アレルギー性鼻炎の薬とか)。
舌下錠は心臓の薬のニトログリセリンなんかに使うけど、口の中で徐々に溶かしてじわじと口腔粘膜から薬物を吸収させるのだ。
かんで飲んだらダメだよ。
座薬はおしりに入れるもので、腸管粘膜から吸収させるよ。
実は、経口投与で腸管から吸収される場合と血流への入り方は変わらないんだけど、口から腸管まで移動する時間が短縮でき、すぐに薬物が吸収されるので即効性があるのだ。
子供の急な高熱を下げたいときに座薬を使うのはこのためだよ。
「飲み薬」だときくまでに時間がかかるのだ。

「目薬」、点眼薬というのもあるよね。
これは目の表面から吸収させるもの。
でも、ちゃんとした目薬のさし方をしないと、涙管を通って鼻に抜け、のどから胃に行ってしまうのだ・・・。
目薬をさしたときにちょっと苦いと感じる場合は、余分な目薬を「飲んで」しまっているので注意が必要だよ。
目薬は一滴だけさして、指した後すぐに目頭を軽く指で押さえ、のどに行かないようにしなくていけないのだ。

最後は「塗り薬」や「貼り薬」。
これは皮膚の表面に薬物を塗るもの。
皮膚表面から吸収させる場合はほぼほぼ血流にのるまでは浸透しないので、塗った周辺に局所的にきくのだ。
筋肉痛に使う痛み止めのシップ(インドメタシンなど)や皮膚を切開するときなどの局所麻酔などなど。
どの家庭にもだいたいある「オロナイン」は抗菌作用のある塗り薬だよ。
血流に入らないというのがポイントで、全身作用はないけど、局所的に作用させられるところがミソなのだ。

というわけで、薬はものによっていろんな使い方をするんだよね。
それぞれの薬の形態にはきちんと意味があるのだ。
副作用につながるおそれもあるので、正しく使わないと!

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