2019/06/08

でる前にはじく

最近「不良品」という言葉がちまたをにぎわせているね・・・。
どうしても出てきてしまうものだから、それをどうするかを考えなきゃいけない、と。
で、本来的な意味において、これは製造業における大きな課題なのだ。
できるだけ「不良品」がでないようにする、でも、そうしても確率的に出てくるので、それを流通に乗せる前に事前にはじくようにする、さらに、そのチェックもすり抜けてしまうやつがいるので、製品の品質保証をする、とたいていは三段階。

最初の段階の、「不良品」がでないようにする、というのは確かにそうなんだけど、実は、コストとの兼ね合いなんだよね。
粗製濫造であっても大量に安く作って、その中から「使えるもの」だけ選んだ方が安くつくこともあるのだ。
ある程度の工夫は必要なんだろうけど、どこまでお金をかけて精度を高めたとしても、完璧にエラーをなくすことは不可能なので、多かれ少なかれ、どこかで妥協することが大事なのだ。
そのときに重要になってくるのが「歩留まり」という概念。
できた製品のうち、「不良品」を引いたもので、通常は百分率で表すのだ。
歩留まり95%で10倍のお金がかかるのと、歩留まり80%で1/10のお金で済むのとでどっちを選ぶのか、みたいな感じ。

伝統的には、鋳造品なんかがわかりやすいんだけど、型に溶融させて金属を流し込んでねじや歯車を作ったりする場合、どうしても空気が入り込んだり、十分に金属が流し込めなかったりして「欠けた」ものができるのだ。
こういうわかりやすいやつだと、ほぼ見た目でできているか、できていないか判断できるんだよね。
実際には、中空になっていないか、などを調べるため、打検といってたたいて反響音を調べたり、重量を量って中まで詰まっているか確かめた理が必要なんだけど。
それでも、これくらいの検査ならかなり楽にできるのだ。
なので、こういうのは多少歩留まりが悪くても、早く安く作れるような製造方法が適しているわけ。

一方で、例えば半導体などのような製品だと、実際に電子材料として使ってみるまできちんとできているかどうかがわかりづらいものもあるんだよね・・・。
決勝レベルときちんとドーピングができているかどうかが性能の鍵になるから。
なので、こういうやつはできた半導体の一部をサンプリングして、実際に半導体としてきちんと性能を有しているかどうかを試験する必要があるのだ。
これにはそれなりの設備やコストがかかるし、全数検査もできないので、やっぱり最初にいかに品質が高いものを作れるか、というところにフォーカスした方がよいんだよね。
検査は「最終的にできていることを確認する」といった位置づけにして。
歩留まりを高めるには、より高い目標値を設定して製造して、実際の品質基準はもう少し低めのもので良品・非良品を判断する、というやりかたもあるよ。
いわゆる「高いタマを投げる」というやつだね(笑)

これを逆に利用して、たくさん製造する中で、規格外のもの、基準を満たさないものを不良品、基準を満たしているものを良品、特に優れたできになっているものを超優良品として更に別に分けることもあるのだ。
下手な鉄砲数打ちゃ当たる、で、千三つでいいものもできてくるので、それは別扱いにしようというもの。
半導体のようなものではそういうことはないけど、例えば、金属を磨いて鏡面を作る、みたいなものの場合、そもそも鏡面に大きなゆがみがあったり、くすみがあるようなものは不良品、普通に鏡面ができているものが良品、課なら胃高い精度でゆがみのない鏡面ができているのが超優良品、といった感じ。
良品は普通の材料として使われるだけだけど、超優良品は高い精度の求められる精密機械に回したりするのだ。
ロケットの部品なんかの場合だと、一品ものでそういうグレードの製品を職人技で作り上げていく必要があるんだけど、ある程度の量の需要があってそこまでお金がかけられないものなんかの場合は、こういうやり方を使うと効率的になるのだ。

というわけで、こういう良品・不良品の選別みたいな話は、その用途やコスト・時間の制約などでやり方が大きく違ってくるわけ。
単純に人の育て方には当てはめられないものなんだよね。
ものはもの、人は人ってことで。

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