2019/08/10

お世話係

うちの職場にもあるのだけど、新人職員のケアをする制度として、メンター制度というのがあるよね。
自分が入ったばかりの頃は制度としては確立していなくて、1期、2期上の先輩とつきあう中で、お仕事をする上でのこつや心構えなどを面白おかしく失敗談などを交えながら聞いたものだけど、最近はきちんと制度化されているのだ。
先輩後輩のコミュニケーションが減ったのか、組織として「やってます」と対外的にアピールするためにそういうものをきちんと形作ることが必要なのか。
とにかく、そういうのが整備されているんだよね。

なんと、その語源は、ギリシアの叙情詩、ホメーロスの「オデュッセイア」にさかのぼるんだって。
女神アテーナーは、オデュッセウスの息子であるテーレマコスの前にメントールという老人の姿を借りて現れ、助言をする下りがあるそうなのだ。
ここから、経験豊富な者が、若者や経験の少ない者に助言をすることを「メンタリング」と呼ぶようになったんだって。
この話では老人なんだけど、実際のメンター制度では、もう少し若い世代が新人のお世話をする例が多いよね。
あまりに先輩すぎるとどうしても新人が恐縮するし、もともとあったような先輩後輩のコミュニケーションを制度化したものだというのもあって、そうなっているのだ。
ところが、制度化したためにかえってうまくいかない事例もあるみたい。

メンターを置く場合、通常は直接業務上のつながりのない人を任命するんだよね。
そうでないとお仕事における不安や困ったことなどを話しづらいから。
で、制度化される前は、業務上につながりは特にないけど話しやすい先輩に話していたわけだけど、メンターとして誰かが任命される場合、必ずしも話しやすい人とは限らないわけだよね。
実際にコミュニケーションをとってみると話せるようになるのかもしれないし、そういう相談にのる能力がありそうな人を組織としてもメンターにしているんだろうけど、いきなりメンターとコミュニケーションして、といわれても戸惑うよね(笑)
まさにそこが課題になっているみたい。
よく知らない人に相談しろと言われましても・・・、ということ。

そこで、メンターとなる職員と新人の懇親会を最初に設けたり、メンター制度が機能しているかどうかフォローするための定期的な報告の仕組みを設けたり、といろいろ工夫をするわけだけど・・・。
そういうのがかえって負担増になるんだよね(>_<)
そういうのもあって、メンター制度を廃止しているとおろもあるんだって。
よかれと思って導入しても形骸化するんじゃ意味ないからね。
むしろ、新人が困っていそうなときに周りから声をかけてあげる、わからないことなどがあったら気軽に聞ける、業務以外の話題でも話がしやすい、などの職場環境を作る方が大事なのだ。
ま、その風通しの良さを作るというのが難しいし、それは客観的には評価できないから、できているのかどうかも判断のしようがないんだけど。
特に、電通社員の過労死のような問題が発生したとき、組織としてどう取り組んでいたのか?、と社会に問われても答えづらくなるのだ。
そのため、有名無実化していようが、制度としてやってます、というところもあるのが現実。

これとは別に、もっと年配の職員、具体的には、管理職に当たるような人が若手が指導するものとして「コーチング」ちょいうのもはやっているよね。
ただ叱責するだけでなく、その若手の得意なことや能力・スキルを伸ばしてあげるためのアドバイスをしていく、というもの。
飴と鞭を使い分け、褒めるべきは褒め、注意すべきところは注意して、でも、全体的には「褒めて伸ばす」的な感じで接するんだよね。
この御時世では、普通にしかるだけだと「パワハラ」認定されることもあるので、管理職研修などでよく紹介されるようなのだ。

でもでも、そういう手法を学んだとしても、実践できるかどうかは別問題。
正式な資格認定があるわけでもなく、効果測定ができるようなものでもないので、それぞれがかってに「コーチング」だと思ってやっているだけなのがげんじつなんだよね・・・。
おそらくうまく使いこなしている人もいるのだろうけど、世の中そんなうまいこと運ぶわけもないわけで。
そもそも1~2時間の研修で講師から聞いたくらいじゃできるようになるわけないし、むしろ、できている人は元々そういうことが無意識でできていた人なんだよね(笑)
でも、さすがにこっちは制度化しづらいので、そこまでは至っていないのだ。
管理職の人事評価の視点としては取り入れられているんだろうけど。

ともあれ、「人事」は心の問題が絡んでくるから難しいよね。
それこそ明治の時代から「最近の若者は」みたいな話があるそうだけど、世代間ギャップで認識の差があるから、それを意識してうまくつきあうようにしないとダメなのだ。
そういう意味では、元来コミュニケーション能力が高い人はそういうにおが自然にできるから、うらやましいよね。

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