2019/08/17

日頃の心がけが大事

最近「未病」って言葉がはやっているよね。
CMでも聞くのだ。
で、それは何かとググってみると・・・。
なぜか神奈川県のHPがトップに出てくる!
これhが黒岩知事一押しの案件でもあるからみたい。

もともとは、中国の伝統医療である「中医」の言葉で、「健康」状態と「病気」状態の中間に位置する状態を指す言葉。
東洋医学では、「健康」と「病気」はゼロサムの世界ではなくて、グラデーションがあるのだ。
心身ともにバランスがとれていて恒常性が保たれている状態が「健康」。
逆に、バランスが崩れて恒常性が破綻している状態が「病気」。
その中間で、バランスが崩れかけていて、恒常性がゆれている状態が「未病」というわけなのだ。
「病気」とはいえないけど、その前段階で体調を崩しているときなので、ここでしっかり養生すると大病しない、ということで、中国では伝津御的な生薬(いわゆる「漢方」)で体調を整えるんだよね。

このような大きく体を壊す前、少しでも体調が悪くなったら伝統薬を服用する、というのは洋の東西を問わずにとられている両方でもあるのだ。
でも、古典的な西洋医学では、病気の原因を突き止め、それに対処する、という手法がとられてきたので、症状が安定してから病名がついて、それに対して治療を行う、という流れだったんだよね。
そうではなく、もう少し事前に対処しておけば病気にならずにすむ、ということで「未病」という概念を広めようとしているのだ。
つまり、古典的西洋医学は対症療法になっていて、常に後手後手に回ってしまうので、先んじて手を打ってしまおうというわけ。

この考え方自体はしっかりと近代医学にあるのだ。
それが「予防医学」。
病気になる前に病気にならないようにする、病気を早期発見する、病気が重症化しないようにする、病後のケア(再発防止やリハビリなど)をする、というかなり広い概念。
健康診断や予防接種、感染症教育なんかがこれにあたるよ。
聖路加病院長だった日野原重明医師が提唱した「習慣病」という概念もこれに呼応したもので、もともと糖尿病とかは「成人病」と呼ばれていたわけだけど、生活環境の改善でかなり予防できることがわかったので、「生活習慣病」と呼ぶことになったのだ。
つまり、教育や専門家の指導で発症や重傷かをかなりの程度防げるというわけ。

これ自体は非常に良いことで、特に生活習慣病は生涯にわたって多額の医療費が投入されることになるから、未然に防ぐのは大事なのだ。
感染症や合併症も防ぐに越したことはないよね。
これは知識と技術によって確実に防ぐことができるものだし。
でも、これが「がん」とか「神経系疾患」になってくるとあやしいんだよね・・・。
確かに、ストレスのような環境要因もあるのだけど、こうしたら確実に予防できるというものでもないから。
ここに「未病」という言葉がビジネス上で使われると、あやしいニュアンスを伴ってくるのだ。

もともと高血圧の人には降圧剤が処方されているんだよね。
で、当然その基準があって、血圧が一定値以上の人がその対象。
で、「未病」というビジネスが狙っているのは、その基準より少し低いくらいの、普通より血圧が高めな人。
「ゴマ麦茶」なんて特保商品もあるけど、いわゆる高血圧予備軍の人たちを対象としたビジネスがあるのだ。
そもそも高血圧と診断されている人たちに降圧剤を処方すること自体が大規模コホート研究の結果からあやしいと言われているんだけど、それ未満の人たちを相手にしているんだからね。
で、血圧が気になる方は、くらいでゴマ麦茶や青汁を勧めるkぅらいならそこまで実害はないけど、「今血圧を下げておかないと将来・・・」のように病気のリスクで脅してくる人たちが悪質なのだ。
それで高額の商品を売りつけられるケースも。
さらに、こういうやつは、ずっと摂取し続けないとダメ系なんだよね。
やめたらまた血圧が高くなりますよ、とおどすから。
すなわち、生涯にわたって「しぼりとれる」ビジネスモデルなのだ!

多くの場合はそこまで悪質じゃないんだけど、どうしてもそういうのが出てきてしまうのも現実。
特に「未病」という言葉が一人歩きしてしまうとね。
健康寿命を伸ばす、ということ自体は、(健康保険の財政問題を別とすれば、)おそらくよいことなんだけおd、それを悪用してビジネスに使う人たちも出てきてしまうというわけ。
そのためにも、しっかりと「予防医学」の概念を教育する必要があると思うんだよなぁ。

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