2019/08/03

夏の友

夏といえば、そうめん!
蒸し暑い日本の夏にぴったりな料理なのだ。
つるつるっと食べられてるけど、意外とカロリーは高いんだよね・・・。
ゆで時間が短いのも魅力的。


その歴史は古く、奈良時代に遣唐使が伝えた「索餅(さくべい)」から発達したと考えられているよ。
索餅は、そのjきったいはよくわからないのだけど、小麦粉と米粉を水で練って生地を作り、縄状に延ばした上で乾燥させ、或いは、油で揚げたものと推測されているのだ。
この状態では保存がきき、ゆでてから食べていたみたい。
神社でのお供え物(神饌)にも使われ、「延喜式」なんかにもその名前が登場するのだ。
初期のものは相当太く、ちぎって食べたのではないか、ともいわれているみたい。
いずれにせよ、縄状に延ばすのは表面積をかせいで乾燥させやすくするためだろうね。

時代が下ってくると、この索餅がもっと長く麺状に延ばされるようになるのだ。
今のような細い麺になったのは室町時代みたい。
この頃もまだ「索餅」とも呼ばれていたみたいだけど、「素麺(そうめん)」という表記も見られるようになるとか。
ただ小麦粉の生地を練ってのばすから「素」の「麺」なのかな?
室町時代はゆでてから洗った麺をもう一度蒸したりして暖める食べ方が主流だったとか。
その後、江戸時代になると、今のように冷たい麺として食べられるようになるみたい。
当然、冷蔵庫・冷凍庫がない時代なので、冷たい井戸水で冷やした程度だとは思うけど。

経緯からわかるように、素麺の発祥の地は奈良。
そして、細い麺状に引き延ばす製法も奈良の三輪地方が発祥のようなのだ。
「揖保乃糸」でおなじみの三輪素麺が元祖みたい。
ここから摂津や、播磨や小豆島に手延べ技術が伝わり、二期作などで小麦の生産が盛んで、同時に、海塩の産地も近い瀬戸内海沿岸に広がっていったみたい。
西日本では摂津の「灘素麺」というのがメジャーだったみたいなんだけど、近代に入って市街化が進んだこともあり、その後塵を拝していた播州素麺がトップに躍り出たようだよ。
素麺というと「播州手延べ素麺揖保乃糸」が真っ先に思い浮かぶよね。

素麺の伝統的な製法は、もむ擬古に塩を足して水で練って生地を作り、休ませながらちょっとずつ延ばしていくのだ。
日本の小麦はグルテンが少ないので、一気に延ばそうとすると切れてしまうので、寝かせながら、段階的に伸ばしていく技術が必要で、これには熟練が必要みたい。
このとき、麺同士がくっつかないように表面にうすく油を塗るんだよね。
素麺の場合はゆでた後に流水で洗うので基本的には食べるちょきにはその油の風味は除かれるのだ。
もともと塩が結構入っているから、スープに乾麺を入れてそのままゆでて食べる、という食べ方はできないんだよね。
三輪素麺のように温かい汁麺の「煮麺」で食べるときも、一度ゆでて洗ったものを温かいつゆに入れるのだ。

これと対極的なのは、イタリアの乾麺であるパスタ。
乾燥パスタに使われるのはデュラム小麦。
特にグルテン含有量が多い小麦なのだ。
粘りけが少ないのでパンには向かないのだけど、逆に、粘りけがないから、生地をのばしてパスタに加工できるみたい。
もともと胚乳が黄色いので、麺に加工した後も黄色いのだ。
卵の色じゃないんだね!

日本の小麦はグルテンが少ないので生地を作ったときに粘りけは少ないのだけど、それだけぼそぼそした生地なので、技術がないと生地を伸ばせないのだ。
これは完全に職人技。
今では機械化も進んでいるけど、長年培ってきた経験と知恵がそこには活かされているのだ。
うどんも含め、乾麺にしたときの状態の違いや、ゆでた後の食感の違いなどはグルテン量の差なんだよね。
パスタのカッペリーニなんかはかなり素麺に近い細い麺だけど、やっぱり食感が違うんだよなぁ。
同じような作り方をしている乾麺なのに不思議だよね。

ちなみに、今はかなり極細の素麺があるけど、これは最近になって出てきたみたい。
外国産のグルテンの多い小麦(「外麦(がいばく)」というらしいよ。)を使うことで実現しているのだ。
三輪麺の場合は細ければ細いほど高級なんだって。
これは麺をつるつるっとあまりかまずに食べる食習慣から来るんだろうなぁ。
いわゆる「のどごし」。
パスタはあくまでもかんで食べるものなので、「アルデンテ」のような食感が大事なんだよね。
でも、その「のどごし」を追求したものが外国の小麦でないと作れないというのは皮肉な話だね。

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