2019/09/07

あ~ま~ぞ~ん!

最近、ナショナル・ジオグラフィックの記事でm、「アマゾンのジャングルが地球の酸素の20%を供給しているというのは誤解」という記事を見たのだ。
この言説はG7でも言及されたことがあるくらいメジャーなんだけど、科学的には正しくないんだそうで。
で、実際に記事の中身を読んでみると、なるほどな、と思ったんだよね。

ようやくすれば、アマゾンのジャングルにある植物は大量の酸素を光合成により排出しているけど、同時に、アマゾンは生物の宝庫で、植物も含めて大量の山椒を消費しているので、実はネットで見ると酸素の供給量と消費量がほぼバランスしており、酸素の供給源にはなっていない、ということなのだ。
ちなみに、アマゾンから生み出される酸素量は、陸上で供給される酸素量の約16%、つまり2割弱。
これが」よく言われる20%の根拠みたい。
でも、実際には、海洋の植物プランクトンも多くの酸素を供給しているのだ。
そもそも地表面積ベースで言えば、海洋が7割、陸地が3割。
で、海洋の寄与分を考慮に入れれば、アマゾンからの供給量は9%くらいだそうだよ。

で、これは供給ベースの数字のみ。
実際には、植物は昼間は光合成するけど、夜は酸素を消費してエネルギー生産もしているのだ。
そして、アマゾンにはいろんな微生物や動物、昆虫が生息しているわけで。
これらの生物も基本は酸素を消費して生きているのだ。
すると、アマゾンで生み出された酸素のほとんどすべては消費されてしまうわけ。
途中のプロセスを見ると、発酵のような酸素を必要としないエネルギー生産もあるんだけど、最終的にはそこでできたアルコールも酸素を消費して二酸化炭素になるんだよね。
これがネットで見ると酸素の供給量はほぼゼロ、という中身。
逆に、そうでないとすると、地球上からはどんどん二酸化炭素が減って酸素が増え続けてしまうわけだけど、そうはなっていないのは、酸素の供給と消費がほぼバランスしていて、差し引きでゼロになっているから。
ここに化石系燃料の消費による二酸化炭素が加わって温暖化が問題になっているわけなのだ。

一方で、億年オーダーの長い長い地球の歴史を見ていくと、あるときから酸素が増え、大気中にそれなりの量がたまって、今度はそれを消費してエネルギー生産を行う生物が出てくるんだよね。
この時代は酸素が増えていく時代で、オゾン層も形成されるのだ。
それにより、地上に届く有害な紫外線量が減り、地上にも生物が進出できる素地が作られるよ。
こうして広がっていったのが多くの現生生物群なわけだけど、この酸素がどこから来たのかという問題が出てくるよね。
当初は、二酸化炭素から炭素固定して酸素をはき出す生物が生まれ、酸素が出てきたはずなのだ。
この時点では酸素を消費する生物はほとんどいないので酸素はたまっていく一方
あるときから酸素を消費する生物が出てきて、酸素の供給と消費が徐々にバランスしていくんだよね。
でも、その後も少しずつ酸素は増えていったのだ。
なぜか?
それは、生物の食物連鎖から一部の有機物(生物により固定された炭素)が外れていったため。

代表的なものは、深海底にたまっている海洋性微生物(プランクトン)等の死骸。
潜水艦から「マリンスノー」として観測されるものだよ。
実は、深海底にも微生物はいて、これらの有機物が酸素を消費せずに分解されてエネルギー生産が行われていることがわかってきているのだけど、そこまで多くの量ではないのだ。
これがつもりにつもって、堆積層の下の方に行って高温高圧下の環境にさらされると、ゆるやかに物理化学的変化を経て石油に変わっていくのだ。
地上にあった植物が地殻変動等で海底に沈んで同じような変化を受けると石炭になるんだけど、こっちは恒常的なものではないんだよね。
あるときアマゾンが海中に沈めば何億年後には石炭化するかも知れないのだ。

もうひとつは、珊瑚などが炭酸カルシウムの形で固定したもの。
これはそのまま石灰岩になるので、生物の食持ち連鎖から外れた炭素固定なのだ。
意外とその寄与は大きいと考えられていて、珊瑚礁の減少も地球温暖化の原因の一つと言われているよね。
こっちはその石灰岩を熱して消石灰などにしない限りは二酸化炭素は大量に出てくることはないのだ。
どんどん二酸化炭素を消費していく一方なわけ。
酸素は酸素で金属をさびさせたり(酸化)して無機物にも固定されていくので、その辺のバランスも見る必要があるのだ。

いずれにせよ、アマゾンから大量に酸素が供給されているのは事実。
でも、同時に、アマゾンで大量の酸素が消費されているのも事実。
なので、酸素の供給源としてアマゾンの自然を保護しようというのはあんまり正しくないのだ。
一方で、人工的に大量の植物だけを伐採したりするとアマゾンの生態系が乱れるので、このバランスに悪影響が出るのも確実。
なので、樹木を守るだけでなく、アマゾンの自然環境全体を守る必要があるのだ。
複雑な生態系では少しの外的な影響が大きく作用することもあるので、できるだけ現状の環境を維持できるようにするのが大切で、植樹をするとかではなく、今の生物多様性をできるだけそのまま保全していくのが大事だということだよ。

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