2019/11/16

一世一代の儀礼

木曜から金曜にかけて、大嘗祭(だいじょうさい)が挙行されたのだ。
毎年五穀豊穣を祈念する皇室の祭祀である「新嘗祭(にいなめさい・しんじょうさい)」が行われているけど、即位後最初に行うのものは特に盛大で、古来より「大嘗祭」として重んじられてきたのだ。
「椎名芽債」だと、宮中三殿の付属施設である神嘉殿で行われるんだけど、「大嘗祭」だけは、特別に「大嘗宮」という専用の祭殿を設営し、そこで行うのだ。
「大嘗宮」は祭祀が終わったら解体され、焼かれることになっているみたい。
今回も、皇居東御苑の中の旧江戸城本丸跡地に「大嘗宮」が設営されて、そこで祭祀が行われたのだ。
一般公開後にやっぱり解体するんだって。

「新嘗祭」は、天皇が五穀の新穀を天神地祇(天津神と国津神)に備えるとともに、自らもそれを食べて、その年の収穫に感謝する収穫祭的な位置づけ。
同時に、神の御霊を身体に移し、生命を養うとも言われているのだ。
稲穂には皇祖神たる天照大神の霊異がこもっていて、その天孫の系譜である天皇がその稲穂を聞こし召す(食べる)ことにより、天照大神の霊異を毎年毎年身に移し、更新していくことが意義なんだとか。
いわゆる「収穫祭」が日本の新党・宮中祭祀の文化の中で儀礼化されていく中で、そういうロジックになっていったんだろうね。

もともとは、太陽太陰暦の霜月二の卯の日に行われていたんだけど、明治6年(1873年)に太陽暦が採用された際、その年の新暦の二の卯日である11月23日に固定されたのだ。
戦後になって、GHQからの政教分離令によって「新嘗祭」をそのまま祝日にすることはできなくなり、新たに「勤労感謝の日」となったのだ。
これには当時から反対意見もあったそうで、皇室の祭祀に関連した日をけっきょく祝日として残したことはけしから、とかなんとか。
紀元節を建国記念の日にしたほどはもめなかったようだけど。
ちなみに、11月14日は二の卯の日にあたるので、今回の「大嘗祭」は14日に挙行されているんだよ。

「新嘗祭」では、神に捧げる供物である神饌(しんせん)として、稲作物(蒸し米、米粥、蒸し粟、粟粥、白酒・黒酒など)、鮮魚(タイ、イカ、アワビ及びサケを甘塩してから三枚におろし、短冊に切ったもの)、干物(干鯛、鰹、蒸鮑及び干鱈)、果物(干柿、かち栗、生栗干及びナツメ)などを供えるのだ。
「大嘗祭」のときは特に気を遣っていて、最も重要な「米」については、事前に「斎田」を指定し、そこで収穫されたものを供えるよ。
今年は栃木と京都なんだけど、東日本と西日本から一カ所ずつ選ぶのだ。
「大嘗祭」では、悠紀殿及び主基伝で2回同じような儀礼を繰り返すので、2カ所を選ぶのだけど、悠紀の方は東日本から、主基の方は西日本から選ぶことになっているみたい。
選ぶ際には、いにしえにならって「亀卜(きぼく)」で選ぶんだって。
これはすごい。

今回の妻子に当たっては、閣僚や両院議長など総勢700名が参加するんだけど、基本は陛下が執り行う祭祀を見守るだけ。
しかも、祭祀自体は悠紀殿及び主基殿の中で行われているので、中で何が行われているのかは見えないのだ・・・。
それでも、14日夕方から15日未明にかけて約半日かけて行われたんだよ。
一世一代のものだから見てみたい気もするけど、それにつきあうのもつらそうだなぁ。
何より、寒そうだからね。

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