2020/05/16

ひろがりにくくなっている?

日本でもやっとコロナが落ち着いてきた感があるね。
でもでも、すでに海外でもそうなっているように、制限が緩和された瞬間にまたぶり返すこともあるから、油断はできないのだ。
いきなり元の生活に戻るのはまだ難しそうだよね。
で、そんな状況なんだけど、欧米と比べると、どうも東アジア一帯は重症化例や死者が少ないんだよね。
最初はBCGによる自然免疫活性化の効果か、なんて話も出たけど、最近になって、日本を含むこれらの国ではすでに「集団免疫」が獲得されているのではないか、という説が出てきたのだ。


「集団免疫」という概念は、社会やコミュニティやそういった大人数のグループの中で、一定数以上の人が免疫を獲得すると、それ以上感染が広がらなくなる、というもの。
今回のコロナで有名になったもので、「再生産数」というのがあるけど、これは一人の人が感染した後、どれだけの人にさらに感染させるかを数値にしたもの。
これが1より大きい数だと、まさにねずみ算式に感染者が増えていくんだよね・・・。
逆に、これが1以下になると新規感染者数が減っていくので、やがて収まるというわけなのだ。
で、これは数学モデルを当てはめるとある程度計算できるもので、グループの規模や人口密度、人と人の接触の度合い等々を勘案すれば、どれくらいの割合で免疫が獲得されていれば再生産数が1未満になるのかはわかるのだ。
これは「閾値(いきち)」と呼ばれるよ。
集団免疫が確立するまでは、隔離によって強制的に感染の広がりを抑えるしかないんだよね。

この集団免疫を人工的に獲得させる手段が予防接種。
インフルエンザなんかがよい例で、予防接種でしっかり多くの人が免疫を獲得できれば、壊滅的なアウトブレイクは発生しないのだ。
ボクの子供の頃は有無を言わさず予防接種をしていた記憶があるけど、今では希望性なので、ちょっと危ないんだよね。
新生児や妊婦、免疫系の疾患のある人などなどはもともと予防接種ができないので、義務化しても摂取率は100%にはならないのだけど、集団免疫の考え方で行けば、閾値を超える割合の人が予防接種で免疫を獲得していればいいので、それ自体は問題ではないのだ。
でも、予防接種が任意になると、十分な割合で免疫が獲得されないので、「はやってしまう」おそが高くなるのだ。
予防接種の場合、自分では予防接種を受けずに集団免疫のおかげで恩恵を受ける人は俗に「フリーライダー」とも呼ばれるのだけど、「ただ乗り」が多ければ集団免疫が獲得できなくなる、ということなのだ。
ただし、インフルエンザの場合は、流行しそうな株を3種混合して予防接種しているんだけど、この予想は必ずしも当たるわけではないので、予防接種しておけば流行しない、というわけでもないので、難しいんだよね。
インフルエンザ脳症などの重篤な副反応のリスクがある中、子供に対する予防接種を義務化できない、という流れになっているのだ。

今回のコロナで言うと、新しい説では、武漢で最初に流行した重症化しづらい(弱毒)ウイルスを早々に輸入した国・地域では、それに対して免疫が獲得できたので、どこかで変異して欧米で流行したより症状が重い(強毒)ウイルスの感染がそこまで広がらないのではないか、としているよ。
日本や韓国はそれこそ春節の時期にたくさんの中国人観光客を迎えていて、その際に、弱毒ウイルスも入ってきていて、重症化しづらいので目立たないけど、広く感染が広まって集団免疫につながっていたのではないか、とのこと。
確かにそう言われると説得力があるんだよね。

これから抗原検査も始まるけど、ウイルスのキャリアをより補足しやすくなるのだ。
抗原検査はPCR検査に比べれば時間も短く、より簡便にできるので、期待されているよ。
一方で、抗体検査というのもあって、これはコロナウイルスに対する交替の有無を調べるもの。
これって一度でも感染して免疫ができた人であれば陽性になるので、特に症状は出なかったけど陽性の人が非常に多く出てくれば、集団免疫獲得説はさらに信憑性が増すのだ。
新規感染者のサーベイも重要だけど、疫学的には本当にどれだけ感染していたのかもよくよく調査した方がよいかもね。
集団免疫が獲得できているかどうかで、制限解除後の対応もかなり変わってくるはずだから。
それにしても、今回のコロナでみんな伝染病に関する知識レベルは相当上がったよね。

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