2020/09/05

北の国から~サラダ編

最近、またポテトサラダが話題だよね。
料理都市お手はやっているわけではなくて、主婦がスーパーでポテトサラダを買おうとしたら初老の男性に嫌みを言われた、とかいう話で。
作り方は確かにシンプルではあるけど、手間はかかるよねぇ。
そこまで大量に食べるわけでもなく、ちょっとした付け合わせにしたい程度であれば、スーパーのお総菜で十分と思うけど。
へたに手作りするよりそっちの方がおいしいこともあるし。

そんなポテトサラダだけど、実は世界中に広がっている料理なのだ。
中国にもあるそうで、生野菜を食べなれていない中国人向けにロシア料理店で考案された「上海サラダ」というのがひろまったんだって。
ロシアには、オリヴィエ・サラダという名物料理があって、モスクワのホテル「エルミタージュ」のレストランのシェフだったベルギー人のオリヴィエさんが19世紀後半に考案したもの。
別名「首都サラダ」とも呼ばれているのだ。
ゆでたジャガイモをさいの目に切り、固ゆで卵やにんじん・j中利などの他の野菜、鶏胸肉の蒸したものと一緒にマヨネーズで和えるのが基本形。
鶏胸肉に変わってハムや課になんかが入ることもあるとか。
考案者のオリヴィエさんのレシピでは、そのマヨネーズの味が絶妙で評判になったんだけど、そのレシピはすでに失われているらしいのだ・・・。
というわけで、今残っているのはそれを模したものだよ。

これが欧州やトルコ・中東にも広まっていて、ゆでたジャガイモをマヨネーズで和えるサラダは「ロシア風サラダ」と呼ばれるのだ。
このため、ポテトサラダの起源はロシアと言われることがあるのだ。
ボクのいたフランスでも「サラダ・ルッス(ロシアのサラダ)」と呼ばれていたよ。
フランスは生野菜のサラダを結構食べるので、名前はサラダでもどちらかというと前菜扱いだったけど(笑)

一方で、wikipediaでは、ポテトサラダの起源をドイツとしているんだよね。
日本語版は明確に書いていないけど、英語版だと、「広くドイツを起源とすると信じられていて、それが欧州やその植民地に広まった」と書いてあるよ。
米国のポテトサラダは割と日本のものと見た目が似ていて、おそらく日本のものは米国由来。
ジャガイモは形は残っているけど少しつぶれてもいて、全体にもさっとしているのだ。
ロシアのやつは角切りのものがマヨネーズで和えているだけなので、そのもっさり感はないんだよね。

で、その補b名と言われるドイツには、マヨネーズで和えてすらいないポテトサラダがあるようなのだ!
普通にゆでたジャガイモを油と酢を混ぜたドレッシングで和えたもの。
ゆでたジャガイモを葉物野菜と同じようにサラダにしたものだよ。
北欧ドイツは寒冷な気候で葉物野菜が豊富には手に入らないんだよね。
なのでキャベツを発酵させたザワークラウトなんかも伝統食としてあるわけで。
つまり、ジャガイモも野菜だということでそのままサラダにしたものなのd。
そう考えると、それがオリジナルかも、と思えるよね。

マヨネーズは、もともとスペインで発展したソースで、それがフランスに伝わって洗練されたもののようなのだ。
マヨネーズ自体はフランス語で、メノルカ島マオンやマヨルカ島などの地名から来ている、とする説が有力だよ。
どうも三銃士の時代、18世紀後半くらいにフランスに伝わったようなのだ。
それから約100年経ってロシア風サラダが生まれているわけだね。
ジャガイモが欧州に広まったのは17世紀からのようなので、おそらく、マヨネーズが広まる前にすでにドイツではジャガイモを食べるようになっていて、ゆでたジャガイモを普通のドレッシングで和えたポテトのサラダはあったはずなのだ。
その後マヨネーズが伝わると、普通のドレッシングに変わってマヨネーズが使われた可能性もあるよね。
今でもゆでたジャガイモにマヨネーズをつけて食べる人は多いし。

でも、それが洗練された料理となって評判になったのはおそらくオリヴィエさん以降。
推測するに、ゆでたジャガイモをサラダに使う風習はすでにドイツを中心とした文化圏に存在していて、その中にはマヨネーズを使うような種類もあったのだ。
それを参考に洗練された料理として完成させたのがベルギー人のオリヴィエさん。
おいしいと評判になって似たようなものが各地で作られ、世界中に広まる、という流れじゃないかと思うんだ。
そういう意味で、最初に「コロンブスの卵」的発想で、サラダにゆでたジャガイモを使うことを始めたのがドイツ、マヨネーズをベースとして和えた料理として完成した地がロシア、ということなんじゃないかな。

0 件のコメント: