2021/04/03

焼けた鉄の板の上でおどれ!

うちは記念日とかの特別な日にちょっとゴージャスに外食しよう、となると鉄板焼きを選ぶことが多いのだ。
目の前で手際よく焼いてくれるのは見ているだけで楽しいよね。
米国に留学しているときは、向こうに伝わって鉄板焼きの「ヒバチグリル」に連れて行ってもらったことがるんだけど、さらにパフォーマンスが派手なんだ。
エビのしっぽを高く上げてシェフ帽に載せてみたり、ぐちゃぐちゃとまわりにまき散らしながら豪快にガーリックライスを作ったり・・・。
そんなことしているから肉はたいてい焼きすぎなんだけど(笑)

でも、日本のものはなかなか見事で、注文したとおりに焼き具合で仕上げてきてくれるよね。
鉄板の上でさっさっと肉を切っていくのもすごいのだ。
さすが職人技の国。
そのむかし、グルメ漫画の王道「美味しんぼ」では、鉄板焼きをかなりこき下ろしていたけど、いつものように言いがかりみたいな所もあるんだよねぇ。
山岡さんが問題視してたのは、鉄板の上で作業をし続けるので肉にどんどん余計な日が入ってしまうし、そもそも絶妙な温度調節ができないので、表面にさっと焼き目をつけてあまり高くない温度でゆっくり中に火を通す、なんてことができない、というもの。
ところが、一流と言われるような鉄板焼きのお店では、鉄板の温度にグラデーションができていて、温度が高いところと低いところがあるんだ。
なので、ちゃんとじっくり火を通す、高温でさっと火を通す、なんてこともできるのだ。

そもそも、鉄板の厚さとかにも工夫があって、肉や魚介をのせたときに鉄板表面の温度が下がらないよう、かなり分厚いものになっているんだよね。
家庭用のフライパンやホットプレートでうまくいかないのはこのせい。
肉をのせた瞬間に表面の温度が下がってしまうのだ。
これはその後の加熱も同じで、鉄板が熱いがゆえに温度を上げづらくもあるので、焼いている最中に温度を一定に保ちやすいのだ。
フライパンだとこの温度管理はけっこう難しいんだよね。
なので、海外では焼き目をつけた後はオーブンに入れてじっくりと火を通したりするのだ。

今のような鉄板焼きのスタイルを始めたのは神戸の「みその」と言われていて、寿司屋におけるカウンターから客に提供するスタイルからヒントを得たとか。
どちらも料理人がその場の作ったものを出してさっと食べてもらうというのは確かに同じだよね。
寿司でも草だけど、料理人さんとの会話も楽しめるのだ。
フランス料理のジョエル・ロブションは世界で一番たくさんミシュランの星をもっているシェフとして有名だけど、ジョエル・ロブションのレストランのうち「ラトリエ」の名を冠しているところがまさにこのスタイル。
ゲストに対して料理人さんが張り付いて、目の前で最後の仕上げをして料理を提供するのだ。
厨房でシェフが作ったものをギャルソンが運んでくるスタイルとはかなり異なるよね。
この料理はおいしかった、シェフを呼んで、とか言わなくても、目の前の料理人さんと会話も楽しめるわけ。この日本式鉄板焼きは海外にも広がっているんだ。
最初は日系ホテルの中のレストランで提供されたようだけど、そのスタイルが気に入られ、普及していったようなのだ。
米国ではパフォーマンスに特化する方向に魔進化したところもあるけど、世界に広く受け入れられた日本のソフトパワーの一つなんだ。
ステーキなら生魚の苦手な外国の人も食べやすいし、寿司より抵抗感がないかもね。

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