2021/07/10

冷凍だけど、熱い

いま、冷凍食品が熱いのだ。
コロナ禍で外食が減り、家庭で食べることが増えたけど、毎回手間暇かけて料理をしていられない・・・。
そこで注目を集めたのが冷凍食品。
レトルト食品もあるけど、今や冷凍食品の方がバリエーションが広いからね。
チャーハンなんかは下手なお店で食べるより冷凍食品の方がおいしいといわれるくらいだし。
しかし、ここまで来るには技術の発展が必要だったのだ。

最初に冷凍食品は普及したのは米国。
しかも、当時はオーブンで焼くのが主な調理法。
アルミ製の皿とかに盛り付けられていて、それを予熱したオーブンで温めるとできあがり、というものだったのだ。
フランスの冷凍食品専門店のピカールが日本にも進出してきているけど、ほぼほぼ電子レンジで調理可能な日本の冷凍食品とは違って、オーブンで焼いたり、フライパンや鍋で加熱する必要がルものが多いよ。
日本は凝り性だし、食べ物への執着は異常なほどだから、冷凍食品でもそれが生かされ、電子レンジだけで簡単に調理できて、しかもおいしい、というのを常に目指しているのだ。
こうやって需要が増えてくるとさらに進化が進むかも。

さて、話は日本の冷凍食品にもどるけど、電子レンジが普及する前は、オーブントースターであたためる、お湯でゆでる、油で揚げる、なんてのが標準的な調理法。
むかしは冷凍のコロッケを揚げる、冷凍のピザトーストを焼く、冷凍うどんをゆでる、といったもの。
バリエーションもそんなにあるわけではないので、限定的な普及だったのだ。
潮目が替わるのは電子レンジの普及以降。
電子レンジはマイクロ波照射により食品中の水分子の運動を活性化し、それで発熱させる仕組み。
なので、表面を温めて中まで熱を浸透させていくオーブンとは違って、中から温まるのが特徴。
ただし、マイクロ波が当たらないと加熱できないので、かつての電子レンジは中でターンテーブルが回っていたのだ。
今はマイクロ波自体をいろんな方向から照射できるようになったので、フラット型が多いよ。

とはいえ、この特徴的な温め方には問題もあったのだ。
中の水分を加熱していくので、温められた水は蒸気になって出て行くんだよね。
なので、そのまま温めると水分が飛んでぱさぱさになって固くなるのだ。
それを防ぐためにラップをかけるわけだけど、ラップをかけると蒸しているような状態になるので、シュウマイのような料理ならよいのだけど、揚げ物なんかはびちゃびちゃになるんだよね。
さらに、水を加熱していくという原理上、食品を温める熱は気化熱で奪われていくので、水分がある限りはせいぜい100度までなのだ。
ラップをして蒸し焼き状態になっ散れば多少温度は上がるんだろうけど。
そうすると、焼き目・焦げ目はつけられないんだよね。
焼き目や焦げ目は、加熱表面が200度とか300度になったときにできるものなので、そもそも表面から温めていないし、温度もそこまで到達しないので、電子レンジをそのまま使っただけでは難しいのだ。

でも、今はこれもある程度克服しているのだ。
ラップをかけずに温めることでびちゃびちゃにならないようにしたのがチャーハンや揚げ物系。
揚げ物については衣に工夫することで、衣の中に微細な油の粒子を混ぜ込んでおいて、加熱したときにその油でちょっとかりかり感が出せるまでになっているのだ。
そして、少し蒸気を逃がしながら温められるような特殊な包装の開発により、しっとり感は保っているけどびちゃびちゃにはならないように温められる、というものも出てきた。
すでに焼いてある焼き餃子とか冷凍パスタなんかがそうだよね。

最後の問題は焦げ目。
むかしからある冷凍グラタンは、あらかじめ御下目をつけた調理済みのグラタンを温め直すだけ、という形式のものだったんだけど、焦げ目の部分が蒸気でびちゃびちゃになってそれっぽくないのだ。
なので、電子レンジで温めた後に少しだけオーブンで焼く、なんて工夫もあったんだよね。
ところが、最近は焦げ目をつける技術ができているみたいなんだよね。
もともと、電子レンジでも温めすぎると水分がなくなって、かりかりに焦げ、最後には発火する、なんてことがあるのだ。
おそらく、これを逆に利用しているんじゃないかと思うんだよね。
あらかじめ焦げやすい部分を作っておいて、全体は温まる程度だけど、そこだけは少しかりかりに焦げる、というように持って行ければ完璧なのだ。
そこまで技術的に完全に到達できているのかどうかはよくわからないけど、確実に進歩はしているみたいだよ。

ちなみに、焼き魚とかハンバーグなんかで焦げ目をつけたいときは、専用の容器やシートを使うことで焼き目をつけることができるようになっているよ。
これは食品だけでなくて、容器やシート自体も加熱されるようになっていて、その熱が表面からも温めるので焼き目がつく、ということみたい。
フライパンやグリルで焼いたのと同等とはいかないけど、こっちも進化しているのだ。
あくなき探究心だなぁ。

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